うめきた2期 魅力ある「緑」で都市競争力高めよ

西論
「うめきた2期」開発後のJR大阪駅北側のイメージ。緑の多さが分かる

 「関西最後の一等地」と言われ続けた梅田北ヤード再開発の最終最後となるJR大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」(大阪市北区、約16ヘクタール)の開発事業者が三菱地所やオリックス不動産、阪急電鉄などを中心としたグループに決まった。今回のまちづくりのコンセプトは「希望の杜(もり)」。敷地中間部に整備される約4・5ヘクタールの都市公園に加え、民間開発の南北の商業施設や2棟の高層マンション、3つの宿泊施設なども緑化が施され開発エリアの半分(約8ヘクタール)が豊かな緑に覆われる。

 道路と公園が一体となり、歩行者天国にもなる広場や、1万人規模のイベントにも対応できる緑地、池の周りに木々を配した「うめきたの森」など、都心でありながら四季を感じられる空間が整備される。大阪市が平成16(2004)年に策定した「大阪駅北地区まちづくり基本計画」の柱のひとつとなる「水と緑あふれる環境づくり」が具体化した形だ。

 国際都市としてステップアップをめざす大阪の都市格にふさわしく、関西の持続的な成長を支えるシンボルになるだろうか。

 ◆都市緑化は世界の潮流

 都市の緑化は、世界の潮流となっている。米・ニューヨークのタイムズスクエアとグランド・セントラル駅のほぼ中間に位置する高層ビル街に、広大な芝生広場を中心とする約4ヘクタールの公園「ブライアント・パーク」がある。かつてはホームレスや麻薬の密売人らが集まる危険な場所とされたが、1980年代末から大規模な改修を行い、市民の憩いの場となった。

 国土交通省の「新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」が平成28年にまとめた最終報告書によると、ニューヨーク市はほぼすべての住民の徒歩10分圏内に、約1千平方メートルの公園を2030年までに整備する目標を掲げた。また、フランス・パリ北西部では、貨物駅の跡地約50ヘクタールの再開発に伴い、10ヘクタールの公園をはじめ、民有地や屋上の緑化を柱とした都市再生を進めているという。

 この報告書は「海外では都市全体の計画の中での緑とオープンスペースの価値が高まっている」とした上で、世界的な都市間競争の中で、大都市では緑豊かな環境共生型の都市形成による国際競争力の強化が必要だとした。

 こうした潮流のなかで、大阪の現状はどうか。国交省がまとめた平成28年度末の都市公園等整備現況によると、大阪府(政令指定都市を除く)の都市公園の面積は3046ヘクタールと国内7位の規模だが、住民1人あたりの公園面積は5・7平方メートルと国内ワーストだ。

 政令指定都市の比較でも、大阪市の1人あたり公園面積は3・5平方メートルと、東京特別区(3・0平方メートル)に次ぐワースト2位につけている。大阪市の都市公園面積は計953ヘクタールと、東京特別区(2770ヘクタール)の3分の1にとどまる。大阪市は昨年12月にまとめた「新・大阪市緑の基本計画」で平成37年度末までに1人あたり公園面積を約4平方メートルに、将来的には約5平方メートルに拡大する目標を掲げている。

 うめきた2期の開発は、数値の改善にプラスの効果をもたらすのは間違いない。

 ◆玄関口を緑で飾る

 うめきた2期を含む大阪・キタは、JR大阪駅や私鉄を合わせて1日あたり平均250万人の乗降客数を持つ、国内でも有数のターミナルだ。

 加えて、平成35年春にJR西日本の新駅「うめきた(大阪)地下駅」(仮称)が開業し、関西国際空港に乗り入れる特急「はるか」で梅田と関空が直接結ばれる。43年春には同駅から大阪市内を南北に貫く新線「なにわ筋線」も開業する予定で、うめきたは文字通り大阪の“玄関口”となる。

 先行開発区域の複合ビル群「グランフロント大阪」は、知的交流施設「ナレッジキャピタル」を中心に、起業支援など新産業育成を手がけた。

 今回の、うめきた2期では「みどりとイノベーションの融合拠点」を掲げ、技術革新につながる実証実験や、研究・開発を進める。国内外から、こうした先駆的な企業や研究者を誘致する際に、都心ターミナル直結の利便性と豊かな緑に囲まれた環境は、東京にない大きなセールスポイントとなるだろう。

 うめきた2期では居住者やオフィスで働く就労者、街を訪問する人らの了解を得た上で、脳の活動や脈拍、血圧などの生理データを集め、製品やサービスの開発に活用する計画もある。既存のビッグデータよりも、それぞれの属性などを掘り下げた「ディープデータ」を基に、イノベーションを生み出す考えだ。そのためにも「魅力ある緑」による集客は大前提となる。

 ただ、広大な都市公園の維持には、毎年かなりの費用と適切な管理体制が欠かせない。開発計画では公園と街のマネジメントを行う組織(MMO)を中心に、専門家や開発事業者が、「みどり」を一体的に管理運営するとした。大阪・関西の価値向上に向け、官民をはじめ、すべてのステークホルダーが、こうした運営組織を支える取り組みが必要だ。   (経済部長・内田博文)