「妹の死を無駄にしないで」 土砂崩れの犠牲者の兄、早めの避難訴え 台風影響で追悼式中止

紀伊半島豪雨7年

 奈良県五條市大塔町で4日に予定されていた紀伊半島豪雨の追悼式が、台風の影響で中止となった。7年前の豪雨で妹の中西麻紀代さん=当時(37)=を亡くし、追悼式に参加する予定だった兄の勇次さん(50)は「妹の死を無駄にせず、災害時には自分の命を最優先に考えて行動してほしい」と訴える。

 7年前の9月4日早朝、大規模な土砂崩れが大塔町宇井地区を襲い、麻紀代さんと両親が住む家は一瞬で土砂に押し流された。両親は助かったが、麻紀代さんは行方不明に。手掛かりのないまま5年が過ぎた。

 だが、昨年6月、約20キロ下流の同県十津川村の風屋ダムで、奇跡的に麻紀代さんの遺体の一部が発見された。勇次さんは「両親は『形見がないまま墓を作ることはできない』と話していた。ありがたいという気持ちでいっぱい。本当によかった」と、気持ちに区切りがついたと話す。

 今回の追悼式では、被災者家族代表として追悼の言葉を述べる予定だった。だが、県内は7年前と同様に台風に見舞われ、五條市には避難勧告が発令された。勇次さんは「近年、想定外の災害が頻繁に起きている。紀伊半島豪雨での多くの犠牲を教訓に、常識や固定観念にとらわれない、早めの避難を心掛けてほしい」と話した。