育て「eスポーツ」の星 大阪の通信制高校に日本初の育成コース - 産経ニュース

育て「eスポーツ」の星 大阪の通信制高校に日本初の育成コース

eスポーツの選手を育成する通信制の「ルネサンス大阪高等学校」=大阪市北区(前川純一郎撮影)
アジア大会の「eスポーツ」でタイチームと対戦する中国チーム=(共同)
 コンピューターゲームの腕前で勝敗を競う「eスポーツ」がインドネシアで開催中のジャカルタ・アジア大会で公開競技として行われ、盛り上がりを見せている。急速に競技人口や市場規模が広がる中で、日本でも普及の動きが活発化。今年2月、東京に一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が発足し、大阪の通信制高校では今春、選手を育成する日本初のコースが開講した。連合幹部は「スター選手の誕生が期待できる」と意気込んでいる。
 8月上旬、大阪市北区にある通信制高校「ルネサンス大阪高等学校」。デスクトップ型パソコン19台が並ぶeスポーツコースの教室内にマウスのクリック音が鳴り響いていた。
 男子生徒2人と女性講師がパソコンに向かってプレーしていたのは、米国生まれの対戦型ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」。世界の競技人口は約1億人とされ、生徒2人は講師から実技指導を受けていた。
 「ここでしっかり成長し、将来はプロゲーマーになりたい」。生徒の一人、山下葉留(はる)さん(15)は目を輝かせた。趣味を将来の仕事にしようと進学を決め、「父は入学を喜んでくれた」という。週2日登校し、eスポーツの強豪として知られる近畿大eスポーツサークルに所属する学生が講師を務める。
 コースは実技指導や動画投稿サイト「ユーチューブ」で上級者の試合を観戦する授業のほか、国際大会出場を見据えて英語のレッスンや精神面を養うメンタルトレーニングも行う。定員は20人だが、全国から入学希望者が相次いでおり、同校は急遽(きゅうきょ)寮を用意し、通学態勢を整えた。
 大阪市内の専門学校にもプロゲーマーを育てるコースが生まれており、ルネサンス大阪高法人営業部の福田和彦部長は「こんなに需要があるとは驚き。選手の養成機関は増えていくのでは」と見る。
 今年2月、それまで3つに分かれていたeスポーツの業界団体が統合して発足したJeSUの担当者は、「毎月2、3回は大会が開かれるなど徐々に裾野は広がりつつある」と語った。JeSUは、100人以上が参加する国内大会での優勝者らに「プロライセンス」を付与。8月31日現在、13歳以上の116人の選手と法人格を持つ8チームが「プロ」として認定されており、大会の賞金などで数千万円の年収を得る選手もいるという。
 eスポーツの市場規模は現在、約700億円で、米金融大手ゴールドマン・サックスによると、2022年までに約30億ドル(約3300億円)に達する。アジア大会で公開競技として採用されたのも、アジア各国で競技人口が多いことや市場規模の大きさが背景にあるが、日本は韓国や中国に比べると、普及が遅れている。
 ゲーム情報誌「週刊ファミ通」などを発行するメディア「Gz(ジーズ)ブレイン」会長でJeSU副会長の浜村弘一氏は「2022年の杭州(中国)アジア大会でeスポーツは正式競技になる。日本も大会数や競技人口、市場規模に伸びしろがある」と展望する。
 通信制高校や専門学校で選手を育成する流れを歓迎し、「eスポーツにとって追い風。世界で活躍するスター選手が育ってくれたらうれしい」と期待を込める。(岡野祐己)