在庫切れ多発…西日本豪雨で高まるハザードマップの重要性 地域で独自防災マップづくりも

 
防災マップ作成のため、町を歩いて見つけた危険箇所などを地図に書き込む大阪府和泉市岡町の住民ら(和泉市提供)

 9月1日は「防災の日」。国や自治体は、改めて住民にハザードマップの活用を呼びかけている。西日本豪雨で甚大な浸水被害が出た岡山県倉敷市真備(まび)町では実際の浸水域が予測浸水域とほぼ重なり、その有用性が改めて実証された。各自治体には豪雨後、「ハザードマップがほしい」といった問い合わせが増加。地域ごとに危険箇所や避難経路などを盛り込んだ独自の防災マップを作成する取り組みも広がり始めている。

在庫切れ訴え

 「在庫がなくなったので追加で送ってほしい」

 西日本豪雨後、大阪市危機管理課には区役所からハザードマップの“注文”が相次いだ。在庫切れを訴えたのは全24区のうち都島、福島、西など11区と、半数近く。自治会の役員が地区の住民に改めて配布したいと200部以上を求めるケースもあった。ホームページから閲覧することもできるが、「紙で見たい」と役所を訪れる高齢者もいるという。

 担当者によると、ハザードマップは平成27年2~3月に市内全世帯に個別配布したが、「どこにいったか分からない」「捨ててしまった」という市民も多いとみられる。

 淀川、大和川といった大きな河川と海に囲まれた大阪市は、市街地の9割が平坦(へいたん)な低地で、自然排水が困難な地形。集中豪雨や津波により大きな浸水被害が起こりやすいとされる。

 国土交通省では昨年、「千年に1度の大雨」で淀川水系が氾濫したとの想定で浸水区域を公表。大阪、京都の27市町で浸水し、大阪市の河口部周辺は50センチ以上の浸水が最長18日間続くとした。

 担当者は「西日本豪雨を受けて、自分たちの地域はどうなるのだろう、と関心を持つ市民が増えた」と指摘している。

住民自ら作成

 一方、ハザードマップに加え、住民自らが地域ごとの詳しい防災情報を地図に落とし込み、独自の防災マップを作成する取り組みも進んでいる。

 将来、南海トラフ巨大地震が予測される大阪府では26年ごろから、市町村に対し防災マップづくりを推奨。府職員が自治体と連携し、地域住民とともに町を歩いて危険箇所を探し、マップを作成するワークショップも開催してきた。

 府に先駆けて取り組んできたのが、同府和泉市だ。22年ごろから、地域ごとに手作りの防災マップを作成。29年度までに市内の山間部を中心とした20町でマップを完成させた。

 作成の方法はまず、町会の役員ら20~30人が4、5班にわかれて町を歩き、水があふれそうな場所や倒壊の恐れがあるブロック塀など危険箇所をチェック。次に避難所までの経路や注意すべき河川・水路、災害時に支援が必要な住民の所在地を確認し、A3程度の紙の地図に書き込んでいく。裏面には町会の役員の連絡先など地域の情報を記載。完成したマップは、町内全戸に配布した。冷蔵庫など目につきやすい場所に貼っておくことを勧めているという。

 同市の担当者は「防災マップは実情にあった危険箇所・避難経路の確認ができるうえ、町歩きなどを通して住民の防災意識が高まる」と効果を強調する。

 23年の紀伊半島豪雨で被害が大きかった奈良県でも、地域の防災力向上につなげてほしいと防災マップ作りを進めている。担当者は「地図を描いて近所の人と話し合うことで、地域の危険箇所を詳しく知ってもらい、いざという時に役立ててほしい」と話している。

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 ハザードマップは市区町村の窓口やホームページ、国土交通省のポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)で閲覧できる。