【関西の議論】熱中症対策で見直される「梅干し」 猛暑で和歌山の出荷工場は連日フル回転 - 産経ニュース

【関西の議論】熱中症対策で見直される「梅干し」 猛暑で和歌山の出荷工場は連日フル回転

梅干しのパック詰め作業に追われる工場の従業員ら=8月、和歌山県田辺市(JA紀南提供)
和歌山県田辺市・梅娘の表敬を受け、名産の梅干しを酸っぱそうな表情で試食する安倍晋三首相=5日午後、首相官邸(春名中撮影)
梅干しのパック詰め作業に追われる工場の従業員ら=8月、和歌山県田辺市(JA紀南提供)
 厳しい暑さが続く中、熱中症対策として梅干しが注目されている。手軽に食べて塩分補給ができることから人気を集め、今夏の甲子園でも選手たちが練習の合間に食べるなど、さまざまな場面で活用されている。異例のブームに一大産地の和歌山県の出荷工場では過去に例がないほど注文が殺到し、一日あたり8トンを加工、従業員らがフル回転で作業に当たっている。
工場は大忙し
 同県田辺市中芳養にあるJA紀南の梅干し加工工場では7月上旬以降、例年の1・5~2倍の梅干しの注文が相次ぎ、従業員らは梅干しの味付けやパック詰めなどの作業に追われている。
 この時期はもともと夏場の暑さ対策やお中元などで梅干しの需要は高いが、猛暑の今年は特別で、この工場では例年のピーク時の2倍の一日あたり約8トンの梅干しを加工。それでも出荷が追いつかない状況が続いているという。
 工場の稼働時間も通常午前8時から午後5時までのところを、午後9時までに延長。従業員らが休日を返上したり残業を増やしたりして対応し、別の担当課の従業員も勤務後に手伝いに入るなどしている。
 ある従業員は「20年以上働いているが、ここまで注文が殺到するのは初めて」と驚きを隠さない。JA紀南加工部営業課の坂本征司課長(55)は「梅干し人気はありがたいが、あまりにも忙しい。しばらくは暑さの影響で需要も続きそうで、一致団結して乗り切っていくしかない」と話す。
クエン酸が豊富、カルシウム吸収も促進
 汗をかいたときは塩分補給に梅干しがいい-とは以前からいわれていたが、田辺市内の梅干し製造業者などでつくる「紀州田辺梅干協同組合」によると、今夏のブームは、7月に人気テレビ番組で医師が梅干しの効能を紹介したことなどがきっかけで「梅干しパワー」が見直され、広まったという。
 梅干しは熱中症対策に欠かせない塩分だけでなく、疲労回復や疲労防止に効果があるといわれるクエン酸を豊富に含んでいるので、熱中症の予防や夏バテ対策にも効果があるという。ほかにもカルシウムの吸収を促進し、血流の改善などにも有効といい、同組合の芝邦浩副理事長は「梅干しは昔から日常的に日本人の生活に取り入れられ、常備薬のように使われてきた」と話す。
 医師(神経内科)で作家の米山公啓氏も「手軽に多くの塩分を摂取できる梅干しは(熱中症対策に)非常に効果的だ」と太鼓判を押す。さらに最近の食生活は減塩が進んでいるので、逆に塩分が不足しがちだと指摘。「塩分を摂取するのは実は難しい。梅干しは塩分以外にも栄養が豊富で、熱中症対策には1日3粒くらい食べるのが好ましい」と話す。
甲子園や豪雨の被災地にも
 梅干しは今夏の甲子園でも注目を集めた。ベスト16入りした常葉大菊川高校(静岡県)では練習の合間に食べて塩分をチャージし、酷暑の中で戦う選手たちを支えた。
 同校では4月から選手の体調管理を食で支えようと、管理栄養士の安原叶(かのう)さん(25)が野球部の寮の食事を担当している。安原さんは炎天下での試合となった7月の県大会初戦で、選手たち5人ほどが足をつったり熱を出したりと熱中症の症状が出ていることに気付いた。そこで熱中症対策として以後は梅干しやはちみつレモンなどを用意。特に梅干しは試合や練習の合間に選手たちに愛用され、手軽に手に入ることから甲子園大会でも現地で購入したという。
 一方、NPOと企業の連携支援活動などを行っている和歌山市のNPO法人「わかやまNPOセンター」は西日本豪雨の被災地に対し、熱中症対策として県特産の梅干しを送ることを計画している。同センターは平成28年の熊本地震の際にも、熱中症対策や栄養補給に便利だとして梅干しを送った。
 今回は約20万円分の寄付が集まり、この寄付金を使って梅干し約4千粒を被災地に送る予定で、すでに岡山県社会福祉協議会で受け入れが決まり、他の被災自治体とも調整中だという。
 同センターの担当者は「和歌山特産の梅干しが少しでも現地で役立ってくれれば」と話している。
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