部活中の熱中症死亡事故 25%が野球部 屋内競技でも多数

関西の議論

 100回記念大会となった夏の甲子園では連日、猛暑の中で球児らの熱戦が繰り広げられている。ただ一方で、球児をめぐっては不幸な事故も起きている。高校や中学のクラブ活動中に熱中症で死亡する生徒の4人に1人は野球部員であることが、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(JSC)がまとめた調査結果で分かった。特に高1に被害が多いことも別の調査で判明した。

■野球部トップの理由

 JSCは、学校管理下で発生した災害に医療費や見舞金を支給する「災害共済給付」制度を設けており、死亡見舞金の支給データを基に調査・分析を行った。

 JSCのまとめによると、昭和50年から平成29年(速報値)の間、クラブ活動中に熱中症で死亡したのは146人。このうち37人が野球部の活動中で最も多く、全体の25・34%。次いでラグビー部17人、柔道部16人、サッカー部14人、剣道部11人、山岳部9人-などだった。野球部が最多だったのは、競技人口が多いことに加え、練習時間が長いことが原因とみられるとしている。

■高1、肥満体型の選手は特に要注意!

 またJSCの別の調査によると、熱中症で死亡した野球部員を学年別でみると、平成2~24年度に亡くなった18人のうち、高1が11人を占め、高2(3人)や中1と中2(各2人)を大幅に上回った。

 高1が多い理由としては野球経験の少ない初心者が含まれていることが大きいとみられ、肥満体形の部員がランニングやダッシュの繰り返しなど長時間に及ぶ守備練習の終了間際に発症する傾向が出ていた。比較的暑くないとされる午前11時までや、午後6時以降の練習中に発症して死に至ったケースもあった。

■柔道や剣道、バレーなど室内競技でも死亡例

 一方、屋内で行うクラブ活動でも死亡するケースもある。熱中症による死亡事例は屋内で行うクラブ活動や、休憩を挟んだ練習再開後にも起きており、JSCは注意を呼びかけている。

 JSCが報告した事例では、剣道部の高3男子は午前10時半から午後6時まで練習した後、1時間の休憩を取ったが練習再開後に具合が悪くなった。その後、意識障害を起こし、病院へ搬送されたが、亡くなった。

 また、柔道部では、中2男子が他校の武道場で合同練習中、準備運動、寝技、投げ込みを済ませた後で、意識がもうろうとし、救急車で病院に搬送されたが、死亡。

 バレーボール部では、高1男子が練習中に体調が悪くなったので見学し、友人と一緒に下校していた際、坂を登りきったところで自立できなくなった。友人のジュースを飲んだが、意識を失い、亡くなった。

■スポーツ庁は地域ごとの予防策を求める

 JSCによると、体育の授業なども含めた学校管理下での熱中症の死者数は減少傾向にある。教員らへの予防策の普及効果とみられるが、猛暑が続く今夏は、熱中症で救急搬送される生徒は後を絶たない。スポーツ庁は7月、各都道府県の教育機関に対し、地域の実情に応じた対策を明文化するように通知している。

 通知は、気象庁の高温注意情報が出た地域や時間帯は屋外での活動を原則として行わない-など明確な基準づくりを求めている。

 同庁は今年3月、「1日の活動時間は平日2時間、休日3時間」などとするガイドライン(指針)を提示。7月の通知には指導者らの「現場の判断」に頼らないことで確実に熱中症を防ぐ狙いがある。

 通知は、他にも、児童・生徒のこまめな水分・塩分の補給、休憩の取得、観戦者の軽装や着帽、健康管理の徹底などを求めている。

■暑い中でトレーニングは効果あがりにくい

 今年は日本列島が長期にわたり高気圧に覆われ、7月23日に埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41・1度を記録するなど、各地で猛烈な暑さが続いた。

 総務省消防庁によると、熱中症のため今年4月30日~8月5日の約3カ月に救急搬送されたのは累計7万1266人で、年間で過去最多だった平成25年(6月1日~9月30日)の5万8729人を上回った(速報値)。

 愛知県豊田市で校外学習から戻った小1男児が死亡したほか、熊本市の高校で部活の朝練中の女子生徒4人が救急搬送された。

 JSCによると、暑い中でのトレーニングは体力を消耗するだけでなく、効果も上がりにくい。担当者は「教員らは児童・生徒の体調を把握し、気温に合わせて運動強度を設定するなど適切な指導を行う必要がある」と話している。