河川敷のヨシを食べる 枚方・交野の「リサイクル」街おこし

関西の議論

 大阪府枚方(ひらかた)市と交野(かたの)市の間を流れる天野川(あまのがわ)に自生する「セイタカヨシ」。高さ2メートルにもなるイネ科の植物だ。これを加工して、食品の原料とする取り組みが進んでいる。河川敷に青々と生い茂るイメージから、「食べられるの?」と懐疑的な意見もあるが、味に癖はなく「健康食品」のように利用できる。かつては草刈り後に処分されていた植物。この「究極のリサイクル」は成功するのだろうか。(小泉一敏)

今年の収穫は約50キロ

 6月初め、交野市の私市(きさいち)橋近くの天野川。その名前から、織姫と彦星が年に一度会う「七夕伝説」のゆかり川に、地元の大学生や住民らでつくる「天野川を美しくする会」のメンバー約50人が集まった。

天野川に自生するセイタカヨシを収穫する人たち=大阪府交野市

 とはいえ、川の清掃に集まったのではない。自生するセイタカヨシを刈り、それを食品などの原料にするためだ。メンバーらは、草刈り機や鎌で約50キロを収穫し、そこから必要な葉の部分をちぎって丁寧に洗った。

 これを岡山県内にある工場に送ると、約9キロのセイタカヨシの葉から鮮やかな緑色の粉に変わった。

セイタカヨシの粉(枚方・交野天の川ツーリズム推進協議会提供)

食べるには「抵抗」

 セイタカヨシは、イネ科で、冬でも枯れない南方系の植物。天野川周辺の地質は生駒山系の花崗岩(かこうがん)でやせた土地であることが生育に適しているという。

 大量に自生しており、これまでは川の清掃の後、処分されてきたが、同会は以前、地元の日本酒のラベルの原料としたこともあった。昨年、佐藤義也・交野市星のまち観光協会長らが「さらにインパクトある何かにいかせないか」と提案。有効利用を考え、食品化を思い立った。

 そこで、協会はヨシに関する意識調査に着手。枚方・交野両市民100人にアンケートを行った。

 「食べることに関しては抵抗があまりに大きい」「商品化しても購入する気持ちは低く、何度も購入はできないと思う」など厳しい意見が目立ったが、「地域特産物を作る取り組みは大いに興味がある」など肯定的な声もあった。

 アンケートでは、天野川についても調査。川のことは大半の人が知っていたが、セイタカヨシが自生していることを知っているのは、わずか1割程度だった。佐藤会長は「存在は知られていないものであれば、うまくアピールすれば強く印象に残るのではないか」と思ったという。

試作品として作られたシフォンケーキ(枚方・交野天の川ツーリズム推進協議会提供)

 そこで、地元の飲食店の協力を得て、セイタカヨシの粉を使った試作品作りに取りかかった。小麦粉に粉を交ぜてクッキーやシフォンケーキ、パンを試作。生地に練り込み緑色の皮が鮮やかな餃子も作られた。試食したところ、どれも味は良かったが、調理方法の模索が続いている。

 栄養素を分析すると、粉にはカリウムや葉酸、食物繊維が豊富に含まれていた。これまでに大阪府内の食品加工販売店や和食店など約20店舗に粉を配布し、作ってもらっている。8月から販売も開始し、収益は天野川の清掃費用などに充てるという。

滋賀では先例

 ヨシを食用とする取り組みはすでに行われている。

 滋賀県安土町商工会の女性らでつくる「よしきりの会」は13年、琵琶湖のヨシの若葉で巻いた「ヨシちまき」を開発。その後、ヨシの粉末化に成功し、16年にはうどんやサブレなど商品化し、販売している。

天野川に自生するセイタカヨシ。高いもので約2メートルになる=大阪府交野市

 同会は、枚方・交野天の川ツーリズム推進協議会にも、ヨシの食用化についてアドバイスした。同会の代表、重野久子さんは「琵琶湖のヨシは古くから利用されてきたもので、水質の保全の効果もある。さらにほかの地域で食品化されて広がることで、さらにヨシが見直されるきっかけになれば」と話した。