JR草津線/横田の渡しが往時伝える

鉄道アルバム・列車のある風景
(1)渡しを行き交う人の道しるべだった常夜燈が、今は行き交う電車を見守る=滋賀県湖南市(三雲-貴生川)

 東海道は53次(品川~大津)とも57次(~守口)とも言われるが、その宿の数もさることながら多くの川を渡る必要があり、今も沿道には船による「渡し」の跡が残っている。

 「越すに越されぬ大井川」や、伊勢湾奥の低地を避けた「七里の渡し(熱田~桑名)」は有名だが、ここ滋賀県にもある。琵琶湖へ注ぐ野洲川(横田川)の「横田の渡し」だ。JR草津線三雲駅(湖南市)近くの踏切前に、常夜灯が立っていた=写真(1)。

 夜間の往来も多く、火を入れて岸辺の船着き場の目印としたのだろう。対岸には更に大きなものがあり、京・大坂の人たちまでもが寄進して文政5(1822)年に造ったとされる(甲賀市観光ガイドHPより)から、この渡しの重要性がよく分かる。

 さて東海道の往時の様子を堪能したら、隣の貴生川駅までの路線で撮影ポイントを探す。やがて行き着いた野洲川(正確には杣(そま)川)を渡る鉄橋の直前、田んぼの真ん中を堤となって仕切りながら続く見事なカーブが撮影心をくすぐった。「ここだ!」。やがて濃い新緑と田園の風景にぴったりの草色の電車が走ってきた=写真(2)。

 早過ぎよ人の心の横田山みどりの林陰に隠れて(海道記)。

 横田山には盗人(緑林)がいるからここは早く通り過ぎてください、ですと?。うーん、そう言われてもなあ、と梅雨の晴れ間の景色をつかの間楽しんだ。(藤浦淳)