ゴジラ関西へ上陸!(下)「最大の魅力は都市破壊の映像表現」大森一樹監督が語るミニチュアセットの臨場感

銀幕裏の声
「ゴジラ最大の魅力は都市を破壊する映像表現だ」という大森一樹監督

 「着ぐるみやミニチュアのセットは日本の特撮映画が生み出した独特のアナログ技術。CG映像の進化によってデジタル化が進む将来、もう二度と、こういう展示はできなくなるかもしれません」(大森一樹監督)。世界に誇る日本の特撮(特殊技術撮影)映画などの舞台裏を紹介する「特撮のDNA 平成に受け継がれた特撮“匠の夢”」が、9月2日まで兵庫県明石市の市立文化博物館で開催中だ。平成元年に公開された“平成ゴジラ”第1弾「ゴジラvsビオランテ」を、亡くなった川北紘一特技監督とともに手掛けた大森監督はしみじみと語った。   (戸津井康之)

■「ゴジラだから許された」

 CG全盛の現代と違い、昔はロケやセットでの撮影が多かった。特撮のイメージが強いゴジラ作品も例外ではない。

 同展では、実際に「ゴジラvsビオランテ」の撮影で使用された「92式メーサービーム戦車」など、ゴジラと戦った数々の自衛隊の秘密兵器の模型も展示されている。

https://www.youtube.com/watch?v=8iCYQoohREM

 「『ゴジラvsビオランテ』は、陸上自衛隊が初めて全面協力した特撮映画なんです」と大森監督はいう。「大阪城公園にゴジラが出現し、迷彩服姿の自衛隊員と対決するシーンなど、当時としては画期的な作品でした」。

 同作のプロデューサーを務めた元東宝映画社長、富山省吾さんにとって強く印象に残っているのが、関西国際空港の建設予定地でのロケだった。「当時、地盤沈下が問題視されており、破壊などは映画でもとんでもないと猛反対されて…。結局、ゴジラだから許されたのだと思います」と教えてくれた。

■撮影チャンスは1回

 「ゴジラvsビオランテ」では、精巧に再現された大阪のまちなみも話題を集めた。映画では、ゴジラが大阪市内に現れ、大阪城公園や大阪ビジネスパーク(OBP)などで暴れ回る映像が迫力満点に示され、見る者に衝撃を与えた。

 ところが、ビルや道路など大阪の街並みはすべて東京・成城にある東宝スタジオ内にミニチュアセットを作って再現されていた。

 「日本最大の東宝第9ステージなどを使い、OBPなどをそのまま再現した。それをゴジラが破壊していく。CG(コンピューターグラフィックス)ではないので、撮影のチャンスは1回だけ」と大森監督。セット撮影特有のリアル感や重量感、臨場感あふれる内容に仕立てた。

 同作に続き、大森監督は川北特技監督と組んで「ゴジラvsキングギドラ」(3年)を製作した。メーンとなる舞台は、前作の大阪から東京・新宿副都心へ。

 前作同様、東宝第9ステージなどに新宿副都心がミニチュアで再現された。

 大森監督は振り返る。「実はミニチュアセットで市街地すべてを再現しているのは、この作品が最後。それ以降、次々とCG映像が採り入れられていく。つまり、ゴジラシリーズも“アナログからデジタルの時代へ”と変遷していった」

 近年のハリウッド版ゴジラでは、破壊される都市は、日本特撮陣が得意としたミニチュアセットなどではなく、また、ゴジラ自体も着ぐるみではなく、最新CG技術などを駆使して製作されているという。

 今回の会場では、映画で使用されたゴジラやゴジラと戦った怪獣の着ぐるみなども展示されているが、大森監督は「CGではすべてコンピューターで映像が作られるので、展示できる“造形物”は存在しない」と言い、こう続けた。

 「やはりゴジラ映画の最大の魅力は、着ぐるみのゴジラが、ミニチュアで再現された都市を破壊する独特の映像表現にあったのではないでしょうか…」

        =おわり

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 期間中の主なイベントは次の通り。

 ■大森一樹監督トークショー「1990年代のゴジラ」

 8月12日(日)午後1時30分~午後3時。定員80人(事前申込制、申込者多数の場合は抽選)。

 希望者は往復はがきにイベント名、参加者全員の氏名、代表者の郵便番号、住所、電話番号、参加人数を記入し、〒673-0846兵庫県明石市上ノ丸2の13の1、明石市立文化博物館へ。7月31日(火)必着。

 ■ギャラリートーク

 8月18日(土)、25日(土)午後2時~(各回30分程度)。当日自由参加。

※いずれも無料だが、当日の観覧券が必要。

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 【会期】7月14日(土)~9月2日(日)※会期中無休

 【開館時間】午前9時半~午後6時半(入館は閉館の30分前まで)

 【会場】明石市立文化博物館

 【アクセス】JR・山陽電車明石駅より北へ徒歩5分

 【当日券】大人1000円、高校・大学生700円、中学生以下無料。

 【問い合わせ】同館((電)078・918・5400)