【関西の議論】地震被災地でも大阪は韓国人の旅行先1位「安くて近くておいしい」 - 産経ニュース

【関西の議論】地震被災地でも大阪は韓国人の旅行先1位「安くて近くておいしい」

夜になっても訪日外国人らでにぎわう心斎橋筋商店街と戎橋=7月上旬、大阪市中央区
夜になっても訪日外国人らでにぎわう心斎橋筋商店街と戎橋=7月上旬、大阪市中央区
夜になっても訪日外国人らでにぎわう心斎橋筋商店街と戎橋=7月上旬、大阪市中央区
夜になっても訪日外国人でにぎわう心斎橋筋と戎橋=7月上旬、大阪市中央区
夜になり、いっそう訪日外国人らでにぎわう道頓堀=7月上旬、大阪市中央区
夜になり、いっそう訪日外国人らでにぎわう道頓堀=7月上旬、大阪市中央区
 6月18日の大阪北部地震後、大阪を訪れる訪日外国人への影響が懸念された。直後の数日間、近年急激に増加した韓国人の宿泊キャンセルが相次ぎ、韓国の大手旅行会社の集計でも6月は日本全体の旅行者は約1割、大阪方面は3割程度、減ったという。そんな中、韓国で大阪が、今年上半期の人気海外旅行先として1位、今夏の旅行先としても1位と報道された。一時は地震でキャンセルが相次いだ韓国の別の大手旅行会社では「すでに回復した」と分析。大阪・ミナミ(大阪市中央区)は、訪日外国人で沸騰するようなにぎわいを見せている。過去3年で2倍以上に伸びた大阪を訪れる韓国人旅行者は今年も増え続けるのだろうか。(張英壽)
キャンセル続出から回復
 最大で震度6弱を観測した大阪北部地震から8日が経過した6月26日、大阪観光局の溝畑宏局長は定例記者会見で、外国人が多く利用する大阪市内の大規模ホテル12カ所のキャンセル状況を明らかにした。
 対象となったのは客室数200室以上の大規模ホテル12カ所で、地震発生日の6月18日からの1週間、20%から10%近くの客室がキャンセルされていた。内訳をみると、18日20.8%、19日21.5%、20日16.6%、21日13.9%、22日14.1%、23日9.5%、24日9.1%だった。大阪観光局によると、韓国人のキャンセルが圧倒的に多かったといい、「韓国は大規模地震が少なく、敏感になっていたのではないか」と推測した。
 大阪観光局の担当者は「地震の後、交通機関も復旧し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や大阪城、道頓堀などは人出が回復してきた」とし、「夏休みシーズンの7、8月は通常に戻るだろう」と望みをかけた。
 韓国人が多い大阪市内のビジネスホテルはどうだろうか。3~4割が韓国人客という道頓堀ホテル(大阪市中央区、115室)では、18日に23室、19日に43室、20日に21室のキャンセルが出た。キャンセルは韓国人客が多かったという。7月の予約は同月上旬の段階で「例年と比べると、1割ほど落ちている。韓国人の予約が減っているのが大きい」とした。
 韓国の大手旅行会社「ハナツアー」(ソウル市)によると、6月の日本への旅行客数は対前年比で10%程度、大阪方面に限ると30%程度、減少したという。ただ、ハナツアーの趙一相(チョ・イルサン)広報チーム長は「日本は過去にも災害はあった。旅行先として脚光を浴びており、回復する」とみる。
 一方、同じく韓国の大手旅行会社「モドゥツアー」(ソウル市)によると、地震直後の数日、大阪方面で約500人のキャンセルが出たが、突発事態であることを考慮してキャンセル料をとらなかったことも影響しているという。モドゥツアーの元亨珍(ウォン・ヒョンジン)広報チーム次長は「大阪は地震後、2週間程度はキャンセルも多く、追加予約も入らなかったが、すでに回復している」と指摘。日本全体では7、8月の予約とも前年を上回っているという。
 元次長は「大阪は地理的に近く、治安もよく、おいしい食べ物も多い。(韓国では冬に氷点下10度以下になることもあるが)寒くもない。ほかに代わりになるところがない」と魅力を語る。そのうえで人気の背景として「格安航空会社の飛行機が多く、国内旅行より安くなっており、大阪旅行は大衆化した。円安という事情もある」と分析した。
訪日韓国人の3分の1が大阪へ、東京の1.6倍
 大阪で地震による観光への影響が懸念されていた6月25日、韓国では、今年上半期の人気海外旅行先の1位が大阪だったというニュースがネット上に流れた。
 朝鮮日報電子版などによると、ホテル検索エンジンのデータの分析結果では今年上半期の韓国の旅行客に人気がある海外旅行先は大阪が1位。しかも大阪は2013年から昨年まで5年間、1位を続けているというのだ。
 朝鮮日報電子版では、大阪は「今回の上半期でも圧倒的な水準で不動の1位」と表現。2位は東京、3位は韓国に近い福岡で、記事では日本の都市が人気を集める理由として、円安や格安航空会社の路線拡大をあげている。
 さらに2日後の6月27日には、韓国で今年夏の海外旅行先として大阪が1位に選ばれたとする報道がネットに流れた。韓国経済新聞電子版によると、海外旅行のガイドアプリが、加入者が入力した7~8月の10万件あまりの旅行日程を分析した結果、大阪が13%で1位。大阪の後は、ベトナム・ダナン、福岡、東京、タイ・バンコク、札幌と続き、大阪のほかにも日本の都市が人気だった。
 大阪観光局が日本政府観光局(JNTO)などの統計をもとに推計した資料によると、大阪府内を訪れた訪日外国人は昨年、1千万人を突破して1111万4千人となった。このうち韓国は241万人で、中国の402万4千人より少ないが、前年からの伸び率では53%増で、中国の8%増をはるかに上回っている。平成27(2015)年は、韓国は108万1千人で、過去3年で2.2倍の伸びを示している。
 一方、東京都内を訪れた韓国人は昨年、153万2千人で、大阪府内の訪問人数の方が1.6倍ほど多い。東京は前年からの伸び率も31%増で、53%増の大阪の方が高い。ほとんどの国・地域の訪日外国人の訪問地としては、大阪より東京の方が多くなっており、韓国などは例外だ。
 JNTOによると、昨年の訪日韓国人の全体数は714万200人。大阪観光局の資料とつき合わせると、訪日韓国人の約3分の1が大阪府内を訪れたことになる。ちなみに平成15(2003)年の訪日韓国人数は145万9333人。14年後の昨年はほぼ5倍になっている。
沸騰・道頓堀では「大阪が一番有名だから」
 7月上旬の夕方、大阪で訪日外国人の人気スポットになっているミナミの道頓堀(大阪市中央区)を訪れた。暗くなると、食事を楽しむ外国人でさらににぎわう。回転ずしやラーメン店前の行列、たこ焼きをほおばりながら歩く人たち、中国語や韓国語、香港人が使う広東語、英語、スペイン語、どこの国かわからない外国語…。地震直後は人通りが少ない気もしたが、すっかり例年の夏のにぎわいを取り戻したようだった。
 韓国はすでに夏休みシーズンに入っており、若い韓国人が目立った。地震について尋ねてみた。
 「地震のことは知っていました。キャンセルしようと思ったのですが、地震後に大阪に行った人に聞くと『大丈夫』といっていたので」と話したのはソウルから南に約80キロ離れた天安(チョナン)市の女子大学生(20)。関西国際空港から到着したばかりといい、「大阪は初めて。たこ焼きやお好み焼きが楽しみ」と笑顔を見せた。
 2泊3日のグルメ旅行のためにやってきた首都圏・城南(ソンナム)市の飲食店経営の男性、崔鍾胤(チェ・ジョンユン)さん(31)は「日本は地震対策がちゃんとできている。ちょっと迷ったけど来た」と打ち明け、「大阪は食べ物がおいしい。きょう来たけど、もう7食食べた。思う存分、おいしいものを食べたい」と旅を満喫する意気込みをみせた。
 「ちょっと怖かったけど、立てた計画なので延ばさなかった」という韓国南西部の全州(チョンジュ)市からやって来た男子大学生(19)は「韓国の人は大阪が好き。近いし、安い飛行機もあり、経済的な負担がない」と説明した。
 釜山(プサン)市の女性会社員(26)は「インターネットで検索したら、大きな余震がないということだったので来た。大阪は2回目」といい、満面に笑みを浮かべて「大阪は好き」と答えた。
 道行く韓国人に聞いてみると、ネットや、SNSのインスタグラム、フェイスブックなどで、事前に情報を収集してきたという声が聞かれた。
 大阪は韓国から近く、格安航空券も多いため、若者でも気軽に異文化を体験できるという魅力がある。
 韓国西部の瑞山(ソサン)市からやってきたいずれも19歳の男子大学生、朱炳俊(チュ・ビョンジュン)さん、金恩権(キム・ウングォン)さん、李昇●(=日へんに文)(イ・スンミン)さんのグループは「日本は地震への備えがある」として6月30日に来阪。ラーメンやすしなどの食べ物、大阪城やUSJなどの観光スポットを楽しんだが、こんな感想も話してくれた。
 「日本では通り過ぎるときでも『すいません』という。人に迷惑をかけないように気をつけている。人々は親切だし、エチケットは学ばないといけない部分もあると思った」
 最後になぜ大阪を選んだのかと聞くと、「大阪が一番旅行先の中で有名だから」という答えが返ってきた。
 ソウル市の男性会社員、朴廷洙(パク・ジョンス)さん(34)も「日本は初めてだけど、日本旅行というと大阪が思い浮かぶ」と明かした。
 韓国で、大阪は日本の最も代表的な観光地になっている。