和菓子と日本酒のマリアージュ、各地で人気上昇中

関西の議論
奈良市で開かれたイベント「オトナの女性が日本の伝統文化を楽しむ集い」。日本酒と和菓子の意外な組み合わせを楽しむ参加者たち=奈良市

 和菓子の老舗「虎屋」(東京都)が昨年、和菓子とお酒の相性に焦点を当てた企画展「和菓子で酔う」を都内で開いて好評を得た。お酒のあてに和菓子という組み合わせが広まりつつある。蔵元が多い関西でも、イベントやフリーペーパーで日本酒と和菓子のマリアージュ(組み合わせの良さ)が紹介され、じょじょに認知が進む。お酒のあてにほんのり甘い和菓子-それがオトナの文化である。   (木村郁子)

■蔵元が和菓子店でイベント

 明治26(1893)年創業という老舗の蔵元「梅乃宿酒造」(奈良県葛城市)は6月末、奈良市の和菓子店「中西与三郎ならまち本店」で「オトナの女性が日本の伝統文化を楽しむ集い~日本酒と和菓子が合うんです。」を開催。20~60代の約50人の女性が参加、和菓子と日本酒というオトナの文化を楽しんだ。

 菓子制作を担当したのは、同店の和菓子職人、鈴木さやかさん(33)。白味噌と白醤油を隠し味に利かせた菓子「月ヶ瀬」は、見た目は梅そのもの。その色、形を愛でて口に入れると、ほのかな甘さと塩辛さが漂う。お正月に食べる花びら餅のような味だ。すかさず純米吟醸「紅梅」を口に含めば、酒のさわやかな酸味に、芳醇な味わいが口いっぱいに広がる。まさにお互いが引き立て合う存在といえる。

 「ワインとチーズが、お互いの味の幅を広げるように、和菓子と日本酒にも効果はあるようです。アイデアは佗茶(わびちゃ)の祖、村田珠光の文献です。お餅の上に白あんと味噌、山椒を効かせた菓子がヒントになった」と鈴木さん。白あん玉に醤油や味噌などの発酵食品を加え、より味わいが深いものになったという。

 参加した女性は「晩酌のお供に和菓子を合わせたくなる。飲み方に広がりができました」と喜んだ。

■試飲、試食企画を連載

 和菓子と日本酒の取り合わせについては、雑誌に特集が組まれることも。

 本物を知る「京おんな」のためのフリーマガジン「ハンケイ500m」(京都市左京区)は、「京の日本酒と和菓子」企画を昨年5月から毎号掲載中だ。

 編集長の円城新子さんは「京は和菓子も酒造も多い土地柄。同じ地場の水で作られているから、親和性があるのでは、と実験的に始めた」という。同企画では、京伏見の酒造メーカー「月桂冠」の日本酒に合う和菓子をリサーチ。編集者と杜氏(とうじ)が試飲、試食を重ね、テーマに沿った日本酒に合う和菓子を見つけていく。

 3月発行の42号のテーマは「にごり酒」。このお酒に合う菓子として選んだのは、長生堂(左京区)の黄身しぐれ。もっちりとしたあんの粒子と、にごり酒のなめらかな舌触りが合うという。

 「(和菓子とお酒は)お酒もおいしくなるし、和菓子もおいしくなる」と円城さんはいう。

■お酒のイメージ脱却を

 もう一つの酒所の灘五郷にある白鶴酒造(神戸市東灘区)は、神戸らしく洋菓子との組み合わせも模索する。クリスマスやお正月、バレンタインなど家族でお菓子を食べる機会が多い冬の季節に「スイーツとお酒」フォトコンテスト(平成29=2017=年12月22日~30年2月22日)を開催。日本酒と菓子を楽しむ写真をWEB上で募集した。「美味しそうで賞」「意外で賞」などの賞を設け、従来の日本酒のイメージから脱却できるようなシーンを幅広く募集。応募総数は135件に登った。

 「日本酒の原材料は米と麹のみですが、造り方によって味の濃淡があったり、飲む温度によって味わいが異なったりします。料理とのバランスやハーモニー、料理の後味を洗い流すウオッシュ。その三つの相性が合うものが味わいを深めます」と同社広報担当の大岡和広さん。

 同社では長年、日本酒と料理との味わいの研究を重ねており、平成18(2006)年からは菓子との楽しみ方も提案。28年にスイーツキャンペーンを実施するにあたっては、菓子とのさまざまな組み合わせを試みた。和菓子では、くりきんとんなどの濃厚な味わいが日本酒と合ったほか、菓子自体に洋酒を使う洋菓子も日本酒と相性がよかった。チョコレートやマドレーヌなどの焼菓子、ショートケーキにも合うといい、今後もスイーツと日本酒の幅広い楽しみ方を提案していくという。

 お互いを引き立て合うという菓子と日本酒のマリアージュ。オトナの文化の味わいを、楽しんでみてはいかが。