【銀幕裏の声】ゴジラ関西へ上陸!(中) 最強の敵、ビオランテに込めた秘策 - 産経ニュース

【銀幕裏の声】ゴジラ関西へ上陸!(中) 最強の敵、ビオランテに込めた秘策

平成ゴジラシリーズを手掛けた盟友、大森一樹監督(左)と、ゴジラの思い出を語る川北紘一特技監督
ゴジラ上半身スーツ『ゴジラ2000ミレニアム』(1999年)より TM&?TOHO CO., LTD.
ビオランテ オリジナルモデル『ゴジラvsビオランテ』(1989年)より TM&?TOHO CO., LTD.
“最後の特技監督”と呼ばれた川北紘一さん。平成ゴジラに命を吹き込み続けた
 「ゴジラやモスラ、キングギドラが兵庫県明石市に襲来!?」。世界に誇る日本の特撮(特殊技術撮影)映画などの舞台裏を紹介する「特撮のDNA 平成に受け継がれた特撮“匠の夢”」が9月2日まで、兵庫県明石市の市立文化博物館で開催中だ。同展でコーナーが設けられている特技監督、故川北紘一さんと大森一樹監督のタッグで始まった“平成ゴジラ”シリーズ。その誕生にまつわるエピソードなどを、関係者らが語る企画の2回目は、平成ゴジラ最強の敵でバイオテクノロジーの産物、植物のバラや人、ゴジラの細胞を融合させた怪獣ビオランテの動きの秘密などを明かしてもらった。(戸津井康之) 
■魂を得た平成ゴジラ
 昭和のゴジラ誕生から60年を迎えた平成26(2014)年12月、特撮技術の監督として“平成のゴジラ”に命を吹き込んだ男が亡くなった。
 川北紘一、72歳。“特撮の神様”円谷英二に師事後、シリーズ計6本で特技監督を務めたゴジラを知り尽くした男だ。
 亡くなった年の夏、川北特技監督が客員教授を務める大阪芸術大学で話を聞いた。
 それまでのゴジラより顔が小さく、精悍(せいかん)で獰猛(どうもう)になったといわれた平成ゴジラだが、その造形にたどりつくために、川北特技監督たちはさまざまなアイデアを出し合い、試行錯誤が続けられたという。
 「もし、ゴジラが生物として存在したら…」
 造形のカギとなるモチーフは、よりゴジラを生物に近づけることだった。
 獰猛な眼。鋭いあごを持つ精悍な顔。均整のとれたプロポーション…。川北さんの思いが存分に盛り込まれた“平成ゴジラ”の造形は現在、ゴジラのイメージとして定着している。
■ビオランテの暴走!?
 さまざまなゴジラの顔の表情を撮るため、精巧に作り込まれたアップ専用のゴジラの顔、“ゴジラ・ヘッド”も川北特技監督のアイデアから作り出された。
(「特撮のDNA 平成に受け継がれた特撮“匠の夢”」動画:https://www.youtube.com/watch?v=8iCYQoohREM )
 ただ、この平成ゴジラのデビュー作となる「ゴジラvsビオランテ」は、特撮技術陣にとっても、未知の領域に踏み出す勇気が必要だった。
 川北特技監督はエピソードのひとつを、こう明かした。
 「ゴジラの敵となるビオランテは、元は植物から生まれた怪獣でしょう。動きのない植物とゴジラをどう戦わせるか? とても悩みました。でも、秘策があったんです」
 歴代ゴジラの対決シーンの中でも語りぐさになっている、あるワンシーンを思い浮かべる映画ファンは少なくないだろう。
 どっしりと根を下ろしたビオランテとゴジラとの対決場面。
 そこで川北さんは、「あっ」といわせる奇策に出る。
 それまで、ずっと動きのなかったビオランテが、突如、根ごと猛スピードで動き出し、ゴジラに襲いかかってくるのだ。
 「植物は動かないというイメージを持っているだけに、見る者はよけい新鮮に驚くでしょう。それも、圧倒的な大きさのビオランテが、ゴジラを襲ってくるんですからね…」
 川北さんは「ゴジラvsビオランテ」以降、「ゴジラvsキングギドラ」「ゴジラvsモスラ」などゴジラシリーズ計6作で特技監督を務めていく。
■“着ぐるみDNA”継承
 撮影当時、芸大生らとともに特撮の新作映画を撮っていた川北特技監督は「ハリウッド版? 日本のゴジラをリスペクトして撮っていることが分かるし、CG技術のクオリティは高い。でも、少し悔しいね」と心情を吐露した。
 川北特技監督は、CGではなく、生き物の動きをよりリアルに再現する日本特撮伝統の着ぐるみやミニチュアにこだわっていた。
 同展の会期中には、川北特技監督がゴジラなどで培った日本特撮の秘伝の“技”を継承しようと、芸大生とともに製作した特撮映像「装甲巨人 ガンボット」で使用された大型ロボットの着ぐるみなども展示される予定だ。   =つづく
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 期間中の主なイベントは次の通り。
 ■大森一樹監督トークショー「1990年代のゴジラ」
 8月12日(日)午後1時30分~午後3時。定員80人(事前申込制、申込者多数の場合は抽選)。
 希望者は往復はがきにイベント名、参加者全員の氏名、代表者の郵便番号、住所、電話番号、参加人数を記入し、〒673-0846兵庫県明石市上ノ丸2の13の1、明石市立文化博物館へ。7月31日(火)必着。
 ■ギャラリートーク
 7月21日(土)、28日(土)、8月18日(土)、25日(土)午後2時~(各回30分程度)。当日自由参加。
※いずれも無料だが、当日の観覧券が必要。
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 【会期】7月14日(土)~9月2日(日)※会期中無休
 【開館時間】午前9時半~午後6時半(入館は閉館の30分前まで)
 【会場】明石市立文化博物館
 【アクセス】JR・山陽電車明石駅より北へ徒歩5分
 【当日券】大人1000円、高校・大学生700円、中学生以下無料。
 【問い合わせ】同館((電)078・918・5400)