塀倒壊の予見可能性は 行政側の刑事責任捜査

大阪北部地震
倒壊したブロック塀は撤去され白いフェンスに囲まれた高槻市立寿栄小学校のプール=17日午後、大阪府高槻市(柿平博文撮影)

 大阪北部地震で大阪府高槻市立寿栄(じゅえい)小のブロック塀が倒れ、4年の三宅璃奈(りな)さん(9)が下敷きになって死亡した事故では、大阪府警捜査1課が業務上過失致死容疑で捜査している。立件のポイントは、地震によって塀が倒壊するかもしれないことを、行政側がどこまで予見できていたかどうかだ。

 「災害時に通学路としての安全が保たれるのか。このままでは厳しいものがある」

 今回の地震に先立つ平成27年11月、寿栄小を訪れた防災アドバイザーは、プールのブロック塀を一目見て圧迫感を覚えた。このため学校側に注意喚起し、後に対策の必要性についてメールも送った。

 倒壊したブロック塀は、約1・9メートルの基礎部分の上にブロックを8段積み上げた構造で、全体の高さは約3・5メートルに上っていた。建築基準法施行令の高さ制限(2・2メートル以下)を超過し、補強用の「控え壁」も未設置だった。

 基礎部分とブロックをつなぐ鉄筋はあったものの、本来は塀の最上部まで届いていなければならないのに、塀側に20センチ、基礎側に13センチしか入っておらず、現地を調査した専門家は「脆弱(ぜいじゃく)で、非常に倒れやすい構造」と指摘した。

 大地震が来ること、ブロック塀が倒壊する危険があったことについて、学校側にどこまで予見可能性があったのか。

 同志社大の川崎友巳教授(刑法)は「日本では幾度となく地震が起きている。大地震の予見可能性がなかったとはいえない」と述べる一方、それに続く塀倒壊の危険性の認識については「管理責任者がどの段階で、どれだけの情報を持っていたかが重要になる」と話す。

 結果論で言えば、危険な塀だったことは明白だ。ただ地震後に各地で行われた緊急調査で、基準不適合のブロック塀は多数見つかっている。

 裏を返せば、ブロック塀をただちに改修しなければならないという差し迫った認識が、学校関係者の間では一般的に乏しかったともいえる。ある府警幹部は「寿栄小の塀だけ責任を問う妥当性も検討しなければならない」と説明。管理責任を判断する上では市側の職員が数年で異動する点もネックになるとみられ、「当時の関係資料が残っていない場合もあり、捜査に時間がかかるのは間違いない」とした。

 寿栄小では防災アドバイザーの忠告を受け、28年2月に高槻市教委の職員が点検を実施し、「安全性に問題はない」と判断されていた。別件で立ち寄った際に目視や棒でたたいてチェックしただけだったが、まったく放置したわけでもない。「この点検方法が合理的だったといえるかどうかも、責任者がどこまでの情報を持っていたかにかかっている」(川崎教授)という。