【関西の議論】藤井七段、タイトル挑戦に「壁」 棋王戦で強敵、菅井王位と対決へ - 産経ニュース

【関西の議論】藤井七段、タイトル挑戦に「壁」 棋王戦で強敵、菅井王位と対決へ

藤井聡太七段
菅井竜也王位
斎藤慎太郎七段
里見香奈女流四冠
 将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(15)が今年度、タイトル挑戦の可能性のある対局が、棋王戦のみとなっている。将棋の八大タイトル戦(棋聖(きせい)、竜王、名人、王位、王座、棋王(きおう)、王将、叡王(えいおう))のうち3つの棋戦で本戦に進出した藤井七段だが、竜王戦、王座戦の2棋戦で敗退した。残る棋王戦の相手は、昨年完敗を喫した菅井竜也王位(26)。最年少でのタイトル挑戦に向けた対局が続く藤井七段の前で、大きな「壁」となって立ちはだかっている。
 ■「西の王子」と大一番
 「負けたのは自分の力不足。収穫もあったので、それを力にして頑張りたい」
 7月6日、大阪市福島区の関西将棋会館で指された王座戦挑戦者決定トーナメント(本戦)準決勝。藤井七段はあと2勝すれば中村太地王座(30)への挑戦権が得られる大一番だったが、関西の若手実力者、斎藤慎太郎七段(25)に阻まれた。
 奈良市出身の斎藤七段は端正なルックスから「西の王子」と呼ばれ、関西で最も人気を集める棋士の一人として知られる。昨年、第88期棋聖戦五番勝負で羽生善治(はぶ・よしはる)棋聖(47)に挑戦するなど活躍。王座戦本戦では昨年に続き今年もベスト4入りした。藤井七段が4連覇して話題となった「詰将棋解答選手権」を斎藤七段も平成23年、24年と2連覇しており、終盤の切れ味は定評がある。
 藤井七段との対局では、中盤までは拮抗(きっこう)していたが、終盤で攻め込み、終始正確な指し回しで押し切った斎藤七段。「藤井さんが後手番ながら積極的に動かれ、勢いで激しい将棋になった。あまり自信はなかったが、こちらの玉がしっかりしているので勝負できるのではないかと思った」と勝利の感想を語った。
 ■タイトル挑戦最年少記録なるか
 藤井七段は、平成29年度の棋士の成績を対象とした対局数、勝数、勝率、連勝の記録全4部門で1位を独占する活躍ぶりだった。勢いは続き、今年度の成績は10勝2敗(未放映のテレビ棋戦を除く)となっている。
 今年度、八大タイトル戦では竜王戦、王座戦、棋王戦で本戦に進出。しかし、6月29日の竜王戦決勝トーナメント2回戦で「東の天才」と称される増田康宏六段(20)に敗れた。王座戦も斎藤七段に退けられ、残るは棋王戦のみとなった。
 7月19日で16歳となる藤井七段だが、このまま棋王戦で勝ち進みタイトル挑戦者となれば、屋敷伸之九段(46)の持つタイトル挑戦の最年少記録17歳10カ月を更新する。今年度中に記録が達成される可能性があるのが、棋王戦のみとなった今、藤井七段の棋王戦での戦いはより注目度を増している。
 ■対抗意識あらわに
 渡辺明棋王(34)への挑戦権を争う棋王戦挑戦者決定トーナメント(本戦)で、藤井七段と初戦で対戦する菅井王位。昨年、当時王位を保持していた羽生棋聖からタイトル戦初挑戦にして4勝1敗で奪取。岡山出身者としては34年ぶりのタイトルだった。
 「菅井流」と呼ばれ、定跡にとらわれない独創性ある新手を次々に編み出している研究家でもあり、昨年、王将戦1次予選で藤井七段に完勝している。
 菅井王位は、藤井七段について「普通の棋士と同じように見ていません」と強い対抗意識をのぞかせる。そして、「負けたくない。皆さんの期待通りにはいかないと思います」と話す。
 このほか、来年度の「第90期ヒューリック杯棋聖戦」の1次予選では、6つある女流タイトルのうち、女流王座・女流名人・女流王将・倉敷藤花(とうか)の4つを保持している里見香奈女流四冠(26)が藤井七段と対戦することが決まった。
 里見女流四冠は、島根県出雲市出身で、終盤の強さから「出雲のイナヅマ」とも呼ばれる。最近まで女性初の棋士を目指して養成機関の「奨励会」に入り、三段リーグを戦っていたが、原則26歳の年齢制限を迎え、勝ち越せずにこの3月で退会となった。しかし、棋士とは別制度の女流棋士でいながら、あえて厳しい戦いとされる三段リーグに挑んだ姿は、多くの将棋ファンの共感を呼んだ。
 大阪が地震に見舞われた6月18日、里見女流四冠はヒューリック杯棋聖戦1次予選初戦で村田智弘六段(37)に勝利し2回戦に進出した。
 里見女流四冠は、プロデビュー前の藤井七段と三段リーグで戦い、敗れている。昨年、里見女流四冠は「インタビューの受け答えを聞いていても中学生と思えない。終盤の切れ味がすごく鋭いと感じた」と藤井七段の印象を語っていた。
 史上最年少のタイトル挑戦に向けて邁進(まいしん)する藤井七段。対する関西人気棋士らの戦いぶりも含めて目の離せない対局が続く。
      (中島高幸)