代替輸送のフェリーに脚光 鉄道、高速道路不通で運送会社がシフト

西日本豪雨
西日本豪雨による土砂崩れなどで寸断された広島呉道路、JR呉線など=平成30年7月12日、広島県坂町(本社ヘリから、鳥越瑞絵撮影)

 西日本豪雨により高速道路の通行止めや鉄道の運休が続く中、陸上の貨物輸送をフェリーなど船に振り替えようとする動きが広がっている。陸路の輸送正常化には1カ月以上かかると見込まれており、運送会社にとって代替輸送手段の確保が急務だ。ただ、近年はフェリー輸送の需要が高まっていたこともあり、満車で乗船できないケースも出ている。(阿部佐知子、大島直之)

「お断りしなければいけない状況」

 大阪と北九州を結ぶ名門大洋フェリー(大阪市西区)には、コンテナを積んだトラックを船で運ぼうとする運送会社から問い合わせが増加。通常は日曜日の利用が平日の5割程度だが、豪雨発生直後の8日はトラックで満車となった。神戸や大阪と北九州を結ぶ阪九フェリー(北九州市)も、先週末はトラックの利用が通常より2割ほど増えた。

 ただ、フェリーは平日便の多くがすでにトラックで満車という。近年の配送量増加に加え、人手不足や働き方改革を背景に、運転手が休息できるフェリーの利用が増えているからだ。名門大洋フェリーの担当者は「豪雨で問い合わせは増えているが、お断りしなければならない状況」と話す。

 大阪・神戸と九州を結ぶ「フェリーさんふらわあ」(大分市)でも、平日便はトラックの利用が多く、予約を取りにくい。11日に大阪発の便に乗船した運転手、坂本利幸さん(66)は、「今回は神戸発の予約が取れなかった」と話す。

JR貨物も船舶輸送にシフト

 JR西日本は、広島県内の山陽線などで運転見合わせが1カ月以上にわたると見込んでいる。このためJR貨物は12日、代替手段として船舶での輸送を開始。荷受け後に滞留していた貨物の輸送に乗り出した。

 JR貨物ではトラックで代替することはあったが、「船舶での輸送はめずらしい」(担当者)という。同社は山陽線の不通区間を経由する輸送の新規受け付けを8日から中止しているが、再開する準備も進めている。

 一方、佐川急便や西濃運輸は、関東や東北地方などから九州への荷受けを見合わせているが、船舶などでの代替輸送の様子をみて再開を検討する考えだ。