【鬼筆のスポ魂】選手への信頼感測るモノサシは「規定打席」 阪神は若手使い続ける我慢の育成を - 産経ニュース

【鬼筆のスポ魂】選手への信頼感測るモノサシは「規定打席」 阪神は若手使い続ける我慢の育成を

今季は三塁に2年目の大山(手前)を固定しようとした金本監督だったが…
 選手に対する信頼度をベンチは何を基準に測るのか。明確なラインを示したのは中日・土井正博打撃コーチ(74)だ。かつて西武で清原、松井稼、中村剛らを育て上げた名伯楽はキッパリとこう言い切った。
 「もっとも注目するのは規定打席だね。例えば今季の開幕スタメンを決めるとき、前年の規定打席到達者をまず重要視する。規定打席に到達しているということは、その打者が体力的、技術的にさまざまな試練を乗り越えてそれだけの打席に立ったということ。力がある証拠になる」
 前半戦終了まであと1カード(広島-阪神は3連戦中止)となった9日時点でセ・リーグの規定打席到達者(32人)を見てみよう。規定打席とはチームの試合数の3・1倍の数なのだが、リーグトップは巨人と中日の7人。ヤクルトが6人で広島は5人、DeNAは4人。阪神は3人(糸井、糸原、福留)だけだ。
 土井打撃コーチの言葉からすると、阪神はベンチが信頼できる選手がリーグで一番少ないことになる。だが、阪神の規定打席到達者が少ない理由は「ベンチの信頼感」の有無だけの問題なのだろうか…。
 土井打撃コーチは選手育成の観点からも「規定打席」を大きな目標に掲げている。
 「いかに選手を使い続けて規定打席を打たせるか。特に若い子は結果が出なくても使い続けないといけない。コレと思った選手はベンチに置いていたらダメ。育たない。これは西武時代から根本(陸夫・当時管理部長)さんによくお願いしていた」
 阪神のライバル球団はこの言葉を実践中だ。巨人の岡本は6月26日の広島戦(マツダ)の第2打席で14号ソロを放ってから7月5日のDeNA戦(東京ドーム)の第2打席で左中間適時二塁打を放つまで32打席ノーヒットだったがベンチは使い続けた。8日の広島戦(東京ドーム)では試合を決める15号2ランを放ち、長いトンネルから抜け出そうとしている。
 阪神の金本監督の大きなテーマは生え抜きの若手野手育成だ。「一度チームを壊すぐらいの覚悟で…」と語り、大型補強に頼らず、ドラフトで指名した若手野手を育てることで骨太のチームにする、とファンに約束したはずだ。しかし、就任3年目の前半戦ターンの段階で規定打席に到達している若手選手は糸原の一人だけ。昨季は規定打席に到達して20本塁打を放った中谷、そして高山、大山、江越、梅野ら期待された若手たちは誰も規定打席に達していない。
 「選手は長いシーズンで調子のいいときもあれば悪いときもある。しかし、悪くなったら即、代えられていたら悪い状態から這(は)い上がる術(すべ)を身につけられず、選手としてのレベルが上がってこない。金本采配を見ているといい状態の選手を取っ換え引っ換え使っているだけ。あれでは若手は育たないだろう」とは球界の元監督経験者の言葉だ。
 阪神は74試合消化して35勝38敗1分け。チーム防御率3・72はリーグトップで、逆にチーム打率2割4分3厘、本塁打42、得点280はいずれもリーグ最下位。投手陣が踏ん張っているうちに打線が活性化すればまだまだ後半戦にチャンスはある。コレと思った選手を我慢して起用し続け、調子を上げさせれば2つの果実を同時に得られるかもしれない。鉄人は我慢が必要だ。
(特別記者 植村徹也)
 うえむら・てつや 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しようへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/ )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )、に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。