道路のキャパ超えた交通量 「地震渋滞」どう解消?南海トラフへ重い課題

大阪北部地震
車道も歩道も大渋滞となった新淀川大橋=6月18日午前18時32分、大阪市(本社ヘリから、上が梅田方面)

 大阪北部地震では鉄道の運行が長時間ストップし、この影響で大阪府内に激しい渋滞が起きた。公共交通機関がまひする中、出勤や家族を迎えに行く人など、さまざまな目的の車が都心部に殺到。交通量は道路のキャパシティーを超え、大規模な「地震渋滞」を招いた。将来の南海トラフ巨大地震などを念頭に、専門家は「行政が車の使用を控えるよう呼びかけるべきだ」と指摘。渋滞・輸送対策として、複数の乗客が1台のタクシーに相乗り乗車するサービスに期待する声もある。

鉄道、高速ストップで大渋滞へ

 6月18日午前10時ごろ、大阪北部を縦断する幹線道路「新御堂筋」(国道423号)。新大阪方面から難波方面へ向かう男性客を乗せたタクシーの男性運転手(50)は、なかなか動かない車列に困惑していた。「朝の新御堂の渋滞は珍しくないが、こんなに動かないのは初めて」と運転手。「余震も怖いし、渋滞がいつ解消されるのか情報も乏しく、ただ待つしかできなかった」と振り返った。

 阪神高速道路の全17路線と西日本高速道路の関西エリアの高速道路が通行止めになり、大量の車両が幹線道路に流入した。日本道路交通情報センターによると発生2時間後の18日午前10時時点で、大阪中央環状線の茨木市~東大阪市間で合計20キロ弱の断続的な渋滞が続いたほか、大阪外環状線でも東大阪市付近で6・5キロの渋滞を記録。周辺の迂回路(うかいろ)も激しく混雑した。

 大渋滞を招いた要因の一つが、通勤ラッシュの時間と重なった鉄道網のまひだ。通勤の車に加え、身動きがとれなくなった家族を迎えに行くなどの目的で、多数の車が大阪に押し寄せ、大混雑につながった。

「行政は車の不使用呼びかけを」

 都市部の輸送は鉄道への依存度が大きく、トラブル時に有効な代替手段がないのが特徴だ。明治大学研究・知財戦略機構の中林一樹研究推進員(都市防災)によると、一般的な10両編成の満員電車には計約2500人が乗車できる。災害時、これを60~70人乗りのバスで代替しようとする場合、40台近くのバスが必要だ。中には乗用車を利用する人もおり、「物理的に道路が厳しい事情になるのは明白」(中林氏)。今回、道路被害が少なかったことも拍車をかけたという。

 一部では救急車の到着が遅れるなどの深刻な影響も出た。中林氏は「行政や警察が『災害時は車を使わないで』と積極的に呼びかけるべきだった」と指摘。「直接被害だけが災害でない。渋滞問題も災害の一つとして受け止め、計画を練る必要がある」と訴える。

タクシー相乗りサービスに期待も

 JR新大阪駅などのタクシー乗り場では当日、乗車を待つ長蛇の列が深夜まで続いたが、相乗りサービスが、こうした問題への切り札になるとの期待もある。

 国土交通省などは今年1~3月、東京都内で相乗りタクシーサービスの実証実験を実施。「割り勘」で運賃を安くし、よりタクシーを利用しやすくなるといったメリットがある。利用にはスマートフォンの配車アプリを活用。乗車地や目的地を入力し、同じ方向の利用者がいた場合は相乗りが成立する。運賃はそれぞれの乗車距離に応じて自動的に計算される仕組みだ。

 タクシーの相乗りは道路運送法により原則禁止されている。しかし、東京五輪などの大型イベント時の車両不足対策に加え、地震や大雪時の輸送対策にも相乗りサービスが有効との意見もあり、国交省は実証実験の結果を踏まえ、本格導入の是非を検討する方針だ。