【大阪北部地震】電話不通の中、「SNS」が威力 「家族に無事伝えられた」安否確認に重宝も - 産経ニュース

【大阪北部地震】電話不通の中、「SNS」が威力 「家族に無事伝えられた」安否確認に重宝も

 災害時に家族らの安否を確認する手段として、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に注目が集まっている。大阪北部地震では大阪府内などで電話がつながりにくくなったものの、インターネットに接続できれば利用できる無料通信アプリ「LINE(ライン)」や交流サイト「フェイスブック」などで、家族らの無事を確認した人も多かった。「SNSを通じてデマが拡散された」といった課題を指摘する声もあるが、今後も非常時の「通信インフラ」として、存在感を増していきそうだ。
電話とデータ通信の違いのイメージ
公衆無線LAN開放
 《結構揺れたけど、こっちは無事だよ》。地震発生直後の18日午前、大阪市北区に単身赴任中の男性会社員(39)はLINEの「グループ機能」を使いメッセージを送った。グループ機能では、複数人でのメッセージのやりとりが同時に可能で、グループには東京に住む母親や妻が参加。投稿の直後、妻からこう返事があった。《よかった。電話がつながらなくて心配だった》。男性は「早く家族に無事が伝わりうれしかった」と振り返る。
 大阪北部地震の影響で、電話回線は大きく混乱。NTT西日本によると、通信設備に故障が発生し、大阪府で約1万2800件の加入電話が一時的につながらない状態になった。
 NTTドコモによると、電話の集中や一部の基地局に被害が発生したことなどで、大阪府を中心としたエリアで携帯電話がつながりにくい状態になった。ただ、通話はできなくてもデータ通信が可能な場合も多く、SNSが安否確認ツールとして重宝されたようだ。
電車が止まり、JR大阪駅構内には階段に座り込み不安そうにスマートフォンを見つめる人々の姿が見られた=18日、大阪市北区(志儀駒貴撮影)
 電話の場合は、独占して回線を使う一方、データ通信の場合は、細切れにデータをやりとりするため、効率的に回線を使うことができ、比較的つながりやすいのだという。
 このほか、大手携帯各社などが、公衆無線LANを無料開放するといった対応を取ったこともあり、インターネット回線を通じて、SNSを活用した人も多かった。
LINEで避難訓練
 総務省によると、平成24年に41・4%だったLINEやフェイスブックなどのSNSの利用率は、28年に71・2%に増加。若者だけでなく幅広い世代で利用され、今後もさまざまな場面での活用が見込まれる。
 23年6月からサービス提供が始まったLINE。受け取ったメッセージを開くと、「既読」マークが相手に表示されることが有名だが、導入のきっかけは同年3月に起きた東日本大震災だとされる。電話が通じない災害時、家族や友人の安否確認を簡単に取れるようにするため備えられた機能だという。
 28年の熊本地震の教訓を踏まえ、LINEを非常時の有効な連絡手段と評価するのは熊本市だ。今年4月にはLINEを活用した避難訓練を実施。避難者数や負傷者の有無などの情報をLINEで伝え、グループ機能で共有し課題を探った。
AIによるSNS情報分析のイメージ
AIで情報解析
 SNSと最新技術を組み合わせ、防災・減災に寄与しようとする取り組みも進む。慶応義塾大の山口真吾准教授(情報通信政策)らは今年4月、SNSで発信される情報を人工知能(AI)で収集・解析し、効果的な支援を行うための訓練のガイドラインを作成。国や自治体などに提言した。
 災害の発生直後は「火災が起きている」「赤ちゃんのミルクがない」などの膨大な量の情報がSNSで投稿される一方、人員に限りのある行政側が的確に把握することは不可能に近く、初動の遅れにつながることもある。
 このため山口准教授は、AIに情報を的確に整理・分析させることで、行政や警察の初動を早めたり、避難生活後も十分なケアが可能になると考えている。
 山口准教授は「今回の地震でもSNSが威力を発揮することが明らかになった。同時に受け手のリテラシー(読み解く力)の養成なども不可欠になる」と話した。