【関西の議論】仮想通貨にハンモック…独自の「コンセプトカフェ」が増加、差別化図り生き残り狙う - 産経ニュース

【関西の議論】仮想通貨にハンモック…独自の「コンセプトカフェ」が増加、差別化図り生き残り狙う

仮想通貨「ビットコイン」をテーマにしたカクテル=大阪市浪速区の仮想通貨カフェバー「コインズ」
仮想通貨カフェバー「コインズ」の店内。壁に設置されたモニターには、12種類の仮想通貨の価格が示されてる=大阪市浪速区
「リバルティ」の店内。「アウトドアをインドアに詰め込んだお店」がコンセプトで、ハンモックのほかテント席も人気という=大阪市中央区
仮想通貨カフェバー「コインズ」の店内。壁に設置されたモニターには、12種類の仮想通貨の価格が示されてる=大阪市浪速区
カラフルなハンモックが天井から下がるハンモックカフェ「リバルティ」の店内=大阪市中央区
 アニメのキャラクターや動物など、さまざまなテーマを持った「コンセプトカフェ」が相次いでオープンしている。店内にいながらアウトドア気分が楽しめる「ハンモックカフェ」が人気を集めている一方で、5月には仮想通貨をテーマにしたカフェバーまでがオープンした。店主らが意識しているのは他店との差別化。「普通の店では埋もれてしまう」と危機感を抱き、来店客らがインスタグラムやツイッターなどのSNSを通じて発信したくなるような話題作りにあれこれと知恵を絞っている。(中井美樹)
身近に感じられる「仮想通貨」…決済も可
 「リップルが盛り上がっていますよね」「でも、僕はネム派なので、リップルは買っていないんですよ」
 大阪市浪速区日本橋に5月にオープンした「仮想通貨カフェバーCOINS(コインズ)」。店内5カ所に設置されたモニターには、12種類の仮想通貨の市場価格が表示されており、刻々と値段が変動していることが分かる。カウンター席では、男性客らがビールを飲みながら店のスタッフらと仮想通貨談義に華を咲かせていた。
 仮想通貨の取引を始めて1年ほどという兵庫県宝塚市の男性会社員(29)は「ここなら気兼ねなく仮想通貨の話ができるから楽しく過ごせます」と笑顔を見せる。実は、職場の同僚や友人らには「怪しいことをしていると思われそう」と仮想通貨をしていることは話していないという。
 同店は、東京・秋葉原や日本橋でメイドカフェを経営している「ぱるてのんプロ」(東京)が運営。メニューも仮想通貨をテーマにしたフードやドリンクを考案した。
 フライドポテトは「P2P」、枝豆は「BITBEAN」と仮想通貨の名前や専門用語からネーミング。オリジナルドリンクにも、仮想通貨のマークが描かれたクッキーやマシュマロなどのスイーツをのせて、見た目でも仮想通貨の世界が楽しめる。もちろん、支払いは現金だけでなく、仮想通貨による決済でも可能だ。
 川瀬駿雄店長(28)は「話題性は抜群だと思っている。仮想通貨をしていなくても、関心を持っている人は多い。誰もが仮想通貨を身近に感じられる場にしたい」と意気込んでいる。
「インスタ映え」が追い風にハンモックカフェ
 若者の街で知られるアメリカ村にある「ハンモックカフェ&ダイニング REVARTI(リバルティ)」(大阪市中央区)では、女性客らが天井からぶら下げられたハンモックに揺られながらくつろいでいた。
 共同経営する豊田康介さん(32)と須藤貴之さん(32)は平成27年10月にオープンするにあたって「他の飲食店に埋もれないように必死になってコンセプトを考えました」と振り返る。そこで浮かび上がったのが、ハンモックカフェ。繁華街の中にありながらアウトドアの雰囲気を楽しめる店を目指したという。
 オープンから数カ月は1日の売り上げがわずか数千円の日もあったが、「初めて体験したハンモックの気持ち良さに感激してくれた」来店客らの反応を見ているうちに徐々に手応えを感じてきた。
 「気に入ったら、お友達も誘ってくださいね」などとコツコツと“口コミ”作戦を続けているうちに、翌28年2月頃から来店客が増えてくるようになり、3月には開店前から行列ができるまでになった。
 特に“追い風”になったのは、昨年の流行語大賞にもなった「インスタ映え」。ハンモック席でくつろいでいる姿を撮影した若者たちが、写真共有アプリ「インスタグラム」などで拡散。これが話題を呼び、新規の来店客が訪れる“呼び水”になった。豊田さんらは「コンセプトを持つことの重要性を思い知らされました」と話している。
「星カフェ」は予約で満席の人気店に
 大阪市中央区のカフェバー「星カフェSPICA(スピカ)」は、来月でオープン7周年を迎える。
 経営する山口圭介さんは元公務員。自分で事業をしたいと飲食店開業を模索していたときに「普通にやっても人は来ない。何かコンセプトを打ち出さなければ厳しい」とアイデアを練ったという。
 田舎へのドライブで星空の美しさに感動したことをきっかけに、プラネタリウムに通ったり、星座についての勉強をしたりしており、大阪のまちなかでも星座が観察できることを気づいた。「見えないと思い込んでいただけで、都会でも見えるんです。天文に詳しくなくても、夜空に星座が見えたときの感動が大きい」と星をコンセプトにすることを決めたという。
 最初の2年間は自転車操業だったが、SNSを通じた発信を積極的に行い、解説トークや天候によってサービスを変えるなどの工夫を重ねてきた。3年目ぐらいで満席になる日ができるようになり、それが前日から予約で埋まるように。現在では、週末は2週間ほど前から予約で満席になるほどの人気店になった。
 それに伴い、望遠鏡販売や、星に関するイベント開催などの事業も展開し、社員2人とアルバイト1人を雇用して人材育成も進めている。山口さんは「エンターテインメントとして星空を楽しんでもらう、というセールスポイントが明確なので、スタッフとも思いを共有しやすい」と話し、今後は関東進出も視野に入れている。
 多彩なコンセプトカフェが増えていることについて、飲食店の経営コンサルタントの松尾洋一さんは 「コンセプトを絞るのはリスクも大きい。情報の消費がはやい現代社会で、流行を取り入れても、来年はどうなっているかも分からない。流行にのるだけでは店を継続させるのは難しい」と指摘している。