「朝鮮半島完全非核化」に被爆者から歓迎と失望感

米朝首脳会談
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)との会談で指を立てるトランプ米大統領=12日、シンガポール(AP=共同)

 米朝首脳会談で北朝鮮が「朝鮮半島の完全非核化」を約束したことを受け、被爆地・広島市の原田浩さん(78)=安佐南区=は「会談を評価し、一歩でも二歩でも非核化につながることを期待する」としながらも、「具体的なことは盛り込まれないままの合意で、約束を何度もほごにしてきた北朝鮮の過去を考えると、不安はある」と述べた。

 同市中区の平和記念公園の「原爆の子の像」のモデル・佐々木禎子さんの親友で、自身も被爆者の川野登美子さん(75)=中区=は「世界の多くの国は核兵器を持たず、平和を望んでいる。双方の首脳は、そのことを第一に考えてほしい」と要望。「北朝鮮は何度も約束を破ってきているので、今回合意されたことが守られることを祈るばかりです」と述べた。

 また、広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之(みまき・としゆき)副理事長(76)は「突っ込んだ話にはならなかったにしても、『非核化』の言葉が文書に盛り込まれたことは一歩前進かなと思う」とし、「北朝鮮にとっては今回が最後のチャンス。世界が注目していた中で、今回裏切れば世界から完全に疎外される」と話した。

 また、長崎の爆心地から約2・4キロの自宅で被爆した長崎市の城台(じょうだい)美弥子さん(78)は「国際社会が注目する中で、非核化に合意した。金氏は本気だと思う」と評価した。日本政府に対しても「これを機に、核廃絶へ真剣に取り組んでほしい」と注文を付けた。

 一方、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(78)は「トランプ氏はもっと踏み込むと思っていたが、合意は中身が薄い。拍子抜けだ」と失望感をあらわにした。