九州豪雨、住宅解体の申請5割未満…放置で二次被害の恐れ - 産経ニュース

九州豪雨、住宅解体の申請5割未満…放置で二次被害の恐れ

 昨年7月に起きた九州北部の豪雨で被災した福岡県朝倉市で、損壊した住宅の解体・撤去が遅れている。市が実施する公費解体に対し、所有者からの申請は対象家屋の半数に満たない。5日で豪雨から11カ月。被害が集中した山間部では崩れた家屋が多く放置されており、住民は梅雨を迎え、二次被害を懸念する。
 山間部にある平榎集落に住んでいた農業、坂本正広さん(67)は、自宅に土砂や流木が流れ込んだ。豪雨1カ月後、全壊と認定され、直ちに公費解体を申請したが、着手の見通しは立っていない。
 集落には同様に全壊した家屋や家財道具が残る。坂本さんは「再び豪雨が起きたら、被害を拡大させてしまうのではないか」と心配する。
 公費解体は廃棄物処理法に基づき、行政が所有者に代わって解体・撤去する措置。今回の豪雨では全壊や大規模半壊の場合、行政が解体費用を負担する。
 朝倉市内で379棟が対象となるが、申請は5月末時点で157件にとどまっている。市によると、所有者の多くは高齢者で、担当者は「遠方に避難したことで元の集落コミュニティーから孤立し、周囲に相談できず、解体するべきか決めきれない人が少なくない」とみる。
 一方、解体工事自体もほとんど進んでいない。被害認定の調査に時間がかかったほか、業者不足の影響も深刻で、解体が完了したのは申請分の約2割。山間部は大型重機が入れず、作業が難航しているケースがあるという。
 九州北部は5月28日、昨年より23日早く梅雨入りした。九州大大学院の島岡隆行教授(廃棄物工学)は「再び災害が起きる危険があり、早急な撤去が求められる」と解体工事の遅れに懸念を示す。倒壊や流失の恐れが高い家屋については「所有者からの申請を待つだけでなく、行政側が危険性を十分説明して了承を取り付け、解体を進めることも選択肢だ」とした。