カフェスクールに通う女性増加、チャレンジ体験も…高い廃業率のリスクを避けるノウハウとは

関西の議論
プロのシェフから実演講義を受ける「カフェズライフ」の受講生たち=大阪市北区

 自立や自分に合ったライフスタイルを実現したいと、カフェ経営を目指す女性が増えている。だが、飲食業の廃業率は開業から2年間で50%ともいわれ、数百万円もの初期費用もかかることから実際に経営するのは非常に高いリスクを伴う。そんななか、カフェ経営のノウハウを実践的に学べる専門スクールが登場し、期間限定でカフェ経営の体験ができる講座も人気を呼んでいる。「一生の仕事にしたい」と夢を描く女性たちをサポートする現状を探ってみた。(上岡由美)

「専門スクール」の受講者は7割が女性

 平成28年11月にオープンした「カフェズライフ」(大阪市北区)は、カフェの開業から経営までを実践的に学べる専門スクールだ。

 人気カフェのオーナーやバリスタ、シェフなど実際にカフェを経営している専門家らを講師に迎え、「カフェ開業の流れ」や料理の提供法などの講義を行っている。さらに、古民家を借りて実店舗を立ち上げる実体験型の授業も取り入れている。

 同校代表の野田貴之さんは「カフェをやる以上はつぶれない方がいいですよね。授業を通じて開業までの全ステップを経験すれば、カフェ経営の具体的なイメージがつかめると思います」と説明する。昨年秋に卒業した1期生は46人。受講生の7割は女性で40代が最も多く、主婦やシングルマザーが増えているという。

 「結婚や出産でいったん職場を離れることが多い女性の場合、再スタートの一歩を踏み出すことはなかなか大変です。しかし、カフェ経営ならば、自分のペースで働ける。今後も一生の仕事としてカフェ経営をしたいと希望する女性は増えてくると思います」と野田さんは指摘する。

「チャレンジカフェ」で経営体験

 大阪市天王寺区の「クレオ大阪中央」3階の交流サロンの一角に、今年4月からの期間限定カフェ「Grace(グレイス)cafe~1号店」がオープンしている。

 店を切り盛りしているのは、同施設が実施している「カフェ開業チャレンジ講座」の受講修了者、北村佳子さん(53)。公募で選ばれ、6カ月間のカフェ経営を体験している。火を使う調理はできないが、店名からメニュー、価格、室内インテリアなどは運営者自身が決められる。利用料は1カ月で3万円(光熱費込み)だ。

 パンが好きな北村さんが提供しているメニューは、コーヒーとトーストのみで、いずれも300円均一。「お客さんの入り具合に、こんなに波があるとは思いませんでした。でも、小学生がお小遣いを持ってきてくれたり、いろいろな人と接するのは楽しい」と笑顔を見せた。

 施設を管理する市男女いきいき財団事業開発リーダーの岸上真巳(きしがみまみ)さんは「以前から『カフェをやりたい』という相談を受けていたので、平成17年に講座を開設しました。同時に館内で飲食したり、交流したりできるスペースがあったらいいとの声もありました」と話す。年2回の講座には毎回、20~60代後半の女性約30人が参加しており、運営者に選考されると仕入れや在庫管理、接客などの実務経験を積むことができるという。

 しかし、実際にカフェを経営するとなると、買い出しや仕込み、閉店の片付けなどかなりのハードワーク。ときには、お客さんから思わぬクレームが飛んできて、対応に追われることも少なくない。

 岸上さんは「覚悟がないまま開店して、負債を抱えて閉店に追い込まれるのを防ぎたい。大阪市内には大阪産業創造館など、起業をサポートする態勢も整っているので、経営相談なども活用してほしい」とアドバイスする。

日替わり店主でカフェ経営をシェア

 日替わり店主が店に立つユニークな形態の「common cafe(コモンカフェ)」(大阪市北区中崎町)も注目される。

 平成16年にオープンした、カフェやバーなどの飲食店開業を目指す人たちが試験的に営業する貸し店舗で、週に1回や月に1回だけなら仕事をやめなくても店主になることができる。いわゆるカフェのシェアだ。

 「カフェという場のつくり方」(学芸出版社)の著者で、同店代表の山納洋(やまのうひろし)さん(47)は「カフェ経営は、自分のやりたいことを自分の好きな空間でできるすてきな生業(なりわい)だと思います」と話したうえで、「ただし飲食店開業には数百万円の初期投資が必要で、経験もなくいきなり開業するのはかなりハードルが高い。利益を出しながら経営を続けることは難しいことも知るべきだ」と強調した。

 「小さい頃からカフェを開きたいと思っていた」「子育てが一段落したので、夢を実現したい」と目を輝かせて語る女性が増えている一方で、厳しい現実とも向き合わなくてならないのも事実。女性たちのライフスタイルを実現できるカフェ経営には、しっかりとした事前準備と心構えが欠かせない。