【森友文書改竄】「ごみ撤去費9億8千万円」業者が試算 特捜部、合理性認め不起訴処分 - 産経ニュース

【森友文書改竄】「ごみ撤去費9億8千万円」業者が試算 特捜部、合理性認め不起訴処分

森友学園が小学校建設を目指していた大阪府豊中市の国有地=1日午前(宮沢宗士郎撮影)
検察審査会の仕組み
 学校法人「森友学園」(大阪市)に国有地が約8億2千万円値引きされて売却された問題で、国有地で学園が計画していた小学校の建築工事を請け負っていた建設業者が大阪地検特捜部に対し、ごみの撤去費を約9億8千万円とする試算を提出していたことが1日、関係者への取材で分かった。特捜部もこの試算の合理性を認めているといい、背任罪を不起訴処分と判断した重要根拠になったとみられる。特捜部は31日の記者説明で値引きの適正額などを明らかにしていなかった。
 関係者によると、業者は以前、実際の工事結果などからごみの撤去費を約9億6100万円と試算。これを、調査ポイントのサンプル数を増やすなどして精査したところ、国有地の地中に埋まったごみの量は地下3メートルまでで約1万7千立方メートル、撤去費は少なくとも約9億8千万円になった。この試算は特捜部に提出。基となったデータや計算方法などから、特捜部はこの試算が合理的だとの認識を示したという。
 ごみの撤去費は、財務省近畿財務局から見積もり依頼を受けた国土交通省大阪航空局が、過去に実施した試掘結果を基に、ごみの量を約1万9500トンと計算し、約8億2千万円と算定。財務局は鑑定評価額からこれを値引きし、国有地を1億3400万円で学園側に売却していた。
財務局、ごみ把握も学園に押されて値下げ
 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却で、大阪地検特捜部は値引きの適正額を明示しなかったが、国に損害を与える背任罪には当たらないとした。ごみの撤去費がいくらなのかは埋まっていたごみの量に左右される。国側はもともと国有地には一定のごみがあったと認識していたが、最終的には学園側に押される形で値引き額を決めた。国有地のごみとはどのようなものだったのか。
 学園は平成27年5月、小学校開校を予定していた大阪府豊中市の国有地について財務省近畿財務局と定期借地契約を締結。一定のごみが埋まっていることは分かっており、大阪市内の工事業者が27年7月以降、地下3メートルまでについて土壌改良を行ったり、建築に支障のあるものを撤去したりした。費用は約1億3千万円で、学園が立て替えた後、国が学園に支払った。ただ、関係者によると、生活ごみなどの産業廃棄物は建築に支障がないため、地中に残された。
 産経新聞が入手した工事業者や財務局などの協議記録(同年9月4日付)によると、この産廃について、工事業者は「すべて撤去すると膨大な金額となる」と指摘。財務局側は「建築に支障があれば(国に)処分費用負担義務が生じるが、それ以外は到底予算はつかない」と回答。建築に支障がない産廃は「借り主(学園)との紛争も避けたいので、場内処分の方向で協力お願いします」と埋め戻しを依頼した。
 財務局はこの時点で、国有地には一定のごみが地下に埋まっていることを認識していた。
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 学園は27年12月、大阪府吹田市の建設業者と小学校の建設工事を契約。この工事の過程で、地中からごみが出てきた。
 財務省が公表した交渉記録や交渉を記録した音声データによると、28年3月11日、学園前理事長の籠池泰典被告(65)と妻の諄子被告(61)は、財務局に大量のごみが出てきたと報告。開校が遅れる可能性に触れて損害賠償も辞さない構えを見せた。
 籠池被告が指摘したごみには「場内処分」としたものも含まれていたとみられ、建築に支障がなく掘り出す必要性がないと判断したはずだったが、財務局は「大量のごみを想定していなかった」と応じ、対応を検討することになった。
 交渉の音声データによると、財務局は「3メートルより下にあるごみは国が知らなかった事実なので、そこはきっちりやる必要があるでしょ、というストーリーはイメージしている」と発言。学園側は「3メートル下から出てきたかどうか分からない」としたが、財務局は「言い方としては混在と、9メートルの範囲で」と応じ、学園側も「言葉遊びかもしれないけど9メートルまでごみが入っている可能性は否定できない」としていた。
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 こうした経緯を経て、国は、ごみが埋まっているのは地下9・9メートルの部分と、地下3・8メートルの部分があると設定。撤去費は約8億2千万円と算出した。これを差し引いた売却価格は1億3400万円になった。
 この金額は、学園側が当初から財務局に購入上限額としていた1億6千万円に収まった。国土交通省大阪航空局が示した当初の費用約6億7千万円から、財務局がごみの埋まっている範囲を拡大するように働きかけたことが判明しており、結論ありきだった疑問は残っている。
森友問題、舞台は検察審査会へ
 一方、学校法人「森友学園」をめぐる一連の問題で、大阪地検特捜部が財務省職員らに対する背任罪などすべての告発内容を不起訴としたことを受け、告発人らは処分を不服として検察審査会(検審)に審査を申し立てる意向だ。
 有権者から選ばれた11人で構成される検審は、検察の処分を審査し、「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」のいずれかの議決を行う。11人中8人以上が「起訴すべきだ」と判断すると「起訴相当」の議決となり、検察官が再捜査して処分を決定。検察官が再び不起訴とした場合、検審で改めて起訴議決をすれば、裁判所が指定する弁護士によって強制的に起訴される。
 これまで強制起訴された事件は平成21年の制度導入から9件で、このうち現時点で有罪となったのは2件にとどまる。