琵琶湖名物「花噴水」どうなる? ポンプ寿命も費用ネックで改修計画なし

関西の議論
ライトアップされた「びわこ花噴水」。琵琶湖のランドマークとなっており、観光客に人気だ=平成23年、大津市

 琵琶湖のランドマークとして親しまれている大津港(大津市浜大津)の「びわこ花噴水」が老朽化に直面している。誕生から23年がたち、噴水の心臓部のポンプが標準的な耐用年数を超え、水が出なくなる可能性も指摘される。ところが、全面的な改修には多額の費用が必要とされ、管理する滋賀県もすぐには手が付けられない状況。観光業者からは「噴水は知名度が高く、止まると影響がある」と心配の声もあがっている。(杉森尚貴)

「恋愛成就」の観光名所

 びわこ花噴水は平成7年、県が約4億7千万円をかけて設置。大津港の防波堤上にあり、噴水が並ぶ横の長さ(約440メートル)は世界最大級だ。

 斜めに水を噴き上げる放射噴水66本と、約40メートルの高さまで垂直に噴き上げる直上噴水2本で構成し、コンピューター制御で噴き上げる組み合わせを演出。夜間は約190灯の照明灯でライトアップし、幻想的な雰囲気をつくる。

 琵琶湖の観光船「ビアンカ」や「ミシガン」が帰港する際には間近で噴水を楽しめるほか、毎年8月のびわ湖大花火大会では花火と噴水のコラボレーションが人気だ。

 夏季と冬季の電力需要期は運転時間が変わるが、通常は平日が昼と夜の2回、休日が夕方を追加した3回、それぞれ60~90分間放水している。

 観光船を運航する琵琶湖汽船によると、ロマンチックな夜の景観がカップルに人気で、若者らの間では「噴水を見ると恋愛成就の効果がある」ともいわれている。

耐用年数超え

 噴水を支えるポンプは14台あり、1台あたりの能力は消防車約10台分に相当。維持費のポンプを中心とした電気料金(年間約1千万円)と電気配線の交換などの修繕費(同数百万円)は県と大津市が折半して負担しているが、県によると、ポンプの設備業者から最近、設備更新の打診を受けているという。

 業者などによると、ポンプの標準的な耐用年数は15~20年で、サビや汚れの固着が多く、更新の時期が来ている。このままでも事故などの恐れはないが、噴き上げの角度が下がったり、噴水の何本かについては水が出なくなる可能性もあるという。

 県と市、民間事業者などでつくる運営協議会で噴水の老朽化が話題に上ったこともあったが、管理する県河川・港湾室は「(不具合が出た際に)その都度予算計上して対応する」との方針を示している。

噴水が止まれば観光に影響

 すぐ改修とはならない背景には、県などの厳しい台所事情がある。設備を取り換えた場合の詳しい試算額はないが、総工費に近い費用が必要になるとの見通しもあり、同室は「予算を計上しにくい」とする。

 同室は大津と彦根、長浜竹生島の4港を管理するほか、河川など琵琶湖に関わる水の管理を一手に担っており、「観光の重要性は承知しているが、どうしても他の港の施設の耐震化などが優先される」という。

 噴水が出なくなり、休止ともなれば、観光への打撃も予想される。観光業界の関係者は「パンフレットの写真などで噴水を大きく打ち出しており、噴水が止まった場合は観光への影響はあるだろう。使えない期間が長引けば、パンフレットの差し替えも検討しなければならない」と話す。

 別の観光業者も「このままポンプを放置しておくわけにもいかないと思う」と対策の必要性を説く。

 ただ、県観光交流局は「(噴水の)運営協議会にオブザーバーとして関わっているが、耐用年数の話は聞いたことがない」といい、噴水の扱いについては地元で議論が深まっているとはいえない状況だ。

 一方、ポンプの設備業者は「消耗品なので可能ならば取り換えるべきだが、オーバーホール(分解点検修理)で寿命を伸ばす対応も十分可能」という。

 どうやら抜本的な改修という点では早急に打つ手はないようで、夏の観光シーズンを迎え、今後も関係者が頭を悩ませる状況が続きそうだ。