友情を経済で圧倒、台湾と断交のパナマで中国支援の鉄道計画

世界ミニナビ
北京から米ヒューストン経由でパナマ市の国際空港に到着した中国国際航空の就航第1便。昨年6月に台湾と断交し中国と国交を樹立したパナマでは、鉄道建設の調査など中国との関係強化の動きが矢継ぎ早に起きている=4月5日(ロイター)

 昨年6月に台湾と断交し中国と国交を樹立した中米パナマで、中国支援による鉄道建設に向けた調査が始まった。パナマ同様、台湾と断交し中国と国交を結んだ隣国コスタリカに接続する。台湾と外交関係を持つ19カ国のうち、10カ国は中南米とカリブ海に集注する。中国との国交がもたらす果実を目の前で見せる、ショーケースとなりそうだ。

 パナマのバレラ大統領は4月、ロイター通信のインタビューに対し「中国とともに、約450キロの鉄道の実現可能について調査している」と認めた。実施されれば初期投資で50億ドル(約5500億円)という大きなプロジェクトだ。

 計画を報じたキューバメディアのプレンサ・ラティナによると、首都パナマ市からコスタリカ国境地域まで約2時間半でつなぎ、貨物列車も走らせる。パナマと中国は大統領府相をトップとする高いレベルの委員会を設置したという。

経済で中国が圧倒

 台湾とパナマは、清朝時代の外交関係を引き継いだとされる長年の友好国だった。蔡英文総統は総統就任直後の2016年6月に訪問してパナマ運河拡張工事の完成式典に出席し、友好関係を再確認していた。

 わずか1年後にパナマが中国に乗り換え、蔡政権には大きな打撃となった。台湾はパナマに多額の援助を行ってきたが、経済で中国に太刀打ちできない状態だ。パナマにとって中国は米国に次ぐ貿易相手国で、運河の通行量でも中国は米国に次ぐ重要顧客だ。

 国交樹立でパナマと中国の関係強化は急速に進む。昨年10月、中国企業が1億6500万ドルを投じてクルーズ船用港湾の建設を始めたとロイターが報じた。同11月に訪中したバレラ氏は自由貿易協定(FTA)に向けた調査開始や中国向け経済特区の設立などで合意。今年4月には、中国国際航空が北京とパナマ市を米ヒューストン経由で結ぶ路線を開設した。

次はニカラグア?

 中国は世界最大の人口と第2位の経済力で、台湾を寄せ付けない力量を見せつける。コスタリカは2007年、台湾と断交して中国と国交を樹立した。さらにその隣のニカラグアは台湾と外交関係を持ち、中国が狙う次の国交樹立国とも目されている。中国系企業による運河建設など中国の影がちらついているからだ。

 ニカラグアには4月はじめ、台湾から6度目の海軍艦船による親善訪問があった。台湾は「友情の絆を強くする」などと関係維持に必死だが、取り巻く状況は極めて厳しい。

 5月1日、カリブ海のドミニカ共和国が突如、台湾と断交して中国と国交を樹立した。前年のパナマに続いて2年連続、この地域で台湾から中国への乗り換えが起きたことになる。

 米紙ワシントン・ポストによると、台湾は中国による「金銭外交」を強く非難したが、ドミニカ共和国側は「将来の可能性などに基づき判断した」と冷静だ。

 米国と目と鼻の先の国々で起きる中国傾斜は、メキシコ国境に「壁」を築こうとするなど米国のこの地域への影響力低下とも関係がありそうだ。台湾が恐れる最後の砦(とりで)での断交ドミノが、現実味を帯び始めている。