【関西の議論】広がる「リアル謎解きゲーム」…「アニメの聖地」活性化にも一役 - 産経ニュース

【関西の議論】広がる「リアル謎解きゲーム」…「アニメの聖地」活性化にも一役

レンガ造りの砲台など廃墟のような雰囲気がアニメ「天空の城ラピュタ」の舞台を彷彿させる友ケ島。リアル謎解きゲームの舞台にもなっている(和歌山市観光課提供)
友ケQのゲーム画面イメージ(友ケ島汽船提供)
 街中やビル内を歩き回り、主催者から与えられたヒントをもとに謎を解き明かしていく「リアル謎解きゲーム」という体験型イベントが人気を集めている。ヒントは壁や柱にこっそりと貼られていたり、スマホの画面で提供されたりし、参加者は小説の主人公よろしく、それらを解いて“ゴール”にたどり着く。アニメや映画とタイアップした企画も増え、アニメのモデルになった地域がゲームの会場に選ばれるなどして“聖地”の活性化にも一役買っている。(尾崎豪一)
急成長の業界
 密室空間の中で壁や柱に書かれたヒントを探し、参加者は真剣な表情で設問を解いていく-。
 現実空間でRPG(ロールプレーイングゲーム)のような非日常感を味わえるとして人気の「リアル謎解きゲーム」。こうしたイベントが広まったのは、イベント企画の「SCRAP(スクラップ)」(東京都)が平成19(2007)年に「リアル脱出ゲーム」の名称で始めたゲームイベントに端を発する。
 16年ごろにインターネットで脱出ゲーム「クリムゾンルーム」などが流行したが、それを現実空間に置き換えたもので、参加者がヒントを頼りに制限時間内に部屋を脱出するというゲームだ。
 その後、脱出に限らず、謎解きを体験できるゲームとして裾野を広げ、ゲームの種類や企画・運営する専門の会社も増加、数百~数千円程度の参加料から算定した市場規模も拡大した。
 ゲーム産業を支援するNPO法人「国際ゲーム開発者協会日本」の謎解き専門部会で世話人を務める南晃氏によると、ゲームの形式が固まり始めた21年はまだ参加者は数千人、市場規模は1億円にも満たなかったが、現在は約400万人が参加し、50億円以上の市場規模にまで成長したという。
 南氏は「23年5月に東京ドームで謎解きを開催し、一風変わったイベントとして紹介された。これで人気に火がつき、口コミで広がり、テレビ番組で取り上げられるようになったこの2年ほどで急成長した」と説明する。
謎解きとアニメ聖地
 そんな業界で近年増えているのが、アニメや映画などのコンテンツとタイアップしたゲームイベントだ。アニメのストーリーに沿って謎解きを行うような形式で、24年には「週刊少年サンデー」(小学館)の人気作品「名探偵コナン」とリアル脱出ゲームがタイアップし、全国各地でゲームが展開された。
 29年につくられたリアル謎解きゲームは約2300タイトル(種類)。そのうち約7割はアニメや映画などを題材にしていた。そんな中で、アニメのモデルになった舞台(聖地)をゲームの会場にし、地域活性化につなげようとする動きも出ている。
 23年に放映されたアニメ「花咲くいろは」は、金沢市の湯桶温泉をモデルにした作品として知られ、作中の架空の祭り「ぼんぼり祭り」が同年から現実世界でも開催され、温泉はアニメの聖地として人気を集める。
 その湯桶温泉では26年9月から、「花咲くいろは×リアル宝探し 喜翆荘(きっすいそう)の純恋歌~恩返しは宝探しから~」というタイトルでゲームが開催されている。宝探し(謎解き)をしながら聖地を巡る人気イベントとして定着。ゲームを企画した「タカラッシュ」(東京都)の担当者は「宝探しをきっかけに舞台の雰囲気を気に入って何度も来てもらう。そんな手助けになっていると思う」と話す。
 このほか、「ガールズ&パンツァー」の茨城県大洗町や「ラブライブ!サンシャイン!!」の静岡県沼津市など、現在人気のアニメの聖地でもリアル謎解きゲームが行われている。
ラピュタの聖地でも
 近畿では アニメ「天空の城ラピュタ」の舞台に雰囲気が似ているとして「ラピュタの島」と呼ばれる和歌山市の友ケ島で、4月末からゲームが始まった。島への渡し船を運航する「友ケ島汽船」が同市のシステム開発会社の協力を得て、ウェブのクイズゲーム「友ケQ」を開発。GPS(衛星利用測位システム)を利用したウェブの地図をスマホで見ながら島内を巡り、各スポットでクイズに挑戦するゲームで、島の雰囲気を体感してもらうことに主眼が置かれている。
 友ケ島は、四方を海に囲まれ、レンガ造りの砲台があちらこちらにある廃虚のような独特の雰囲気がラピュタの世界に似ていると話題になり、18年度に1万5854人だった観光客は、29年度に8万6329人を記録。今回、ゲームを取り入れたことで、若者を中心にさらなる増加が期待されている。
 ゲームを開発したシステム会社の担当者は「謎解きブームに合わせて作ったわけではないが、ちょうど良い時期にブームが来ている」といい、友ケ島汽船の担当者も「多くの人に楽しんでもらいたい。訪れた人が(ゲームを)SNSなどの口コミで拡散してくれれば」と期待する。
 大阪などに比べ、和歌山ではまだ本格的なリアル謎解きゲームは少ないが、南氏は「大阪などでゲームの制作を学び、地域密着型の謎解き制作団体が出てくれば、和歌山でも謎解きゲームによる地域活性化の芽が出てくるのではないか」と話している。