ステルス機に漫画登場機、「宇宙の騎士」も 米海兵隊のフレンドシップデーに20万人超 

軍事ワールド
エンジンノズルを下に向けて垂直着陸体勢にはいるF-35B(2018年5月、岡田敏彦撮影

 日米友好の絆を強める航空祭「第42回岩国航空基地フレンドシップデー」が5日開催された岩国基地(山口県岩国市)では、約21万5千人の観客でにぎわった。開催前の「今年は(航空自衛隊の)ブルーインパルス(BI)が来ないから入場者も少ないのではないか」との関係者の心配をよそに、ふたを開けばBIが参加した昨年の約20万人を上回る人気ぶり。実はマニアの間では、3つの目玉が注目を集めていた。(岡田敏彦)

 アジア地域で初

 海上自衛隊と米海兵隊の共催となるフレンドシップデー。今回も日米の機体が多数展示された。特に自衛隊では、人気漫画「US-2 救難飛行艇開発物語」で取り上げられている海上自衛隊のUS-2や、TVアニメ『ひそねとまそたん』で主役級のメカとなる航空自衛隊のF-15Jイーグル戦闘機も展示。身近な漫画やアニメに登場する機体を展示するサービスが観客の人気を集めた。

 そして最大の注目は米ステルス戦闘機F-35「ライトニングII」だ。今回はアジア地域初の展示飛行を行うことが4月12日に海兵隊によって発表され、航空機マニアの間で話題となっていた。

 F-35には空軍向けのA型とSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)の可能なB型、空母艦載向けのC型の3タイプがあり、岩国の米海兵隊が運用するのはB型。米海兵隊は上陸作戦で先陣をきる役割があり、橋頭堡(きょうとうほ)を確保する能力が求められる。つまり通常の固定翼(ヘリではない航空機)攻撃機が離着陸に必要とする2千メートル級の滑走路を構築する間もない状況で任務を行う必要があるため、STOVLは重要な能力とされている。

 岩国では米海兵隊は昨年まで同様の短距離離陸などの能力を持つAV-8Bハリアー戦闘攻撃機を運用。海兵第311攻撃飛行隊(VMA-311)「トムキャッツ」などがハリアーを装備していた。そのハリアーと交代する形で登場したのがF-35Bだ。

 開催前日の4日には運用部隊のVMFA-121「グリーン・ナイツ」のパイロットで、5日の展示飛行を行うジェス・ペッパーズ少佐が報道陣の質問に応じ「アジア地域初のF35B飛行展示という役割で参加できることを光栄に思う」とコメントした。

https://www.youtube.com/watch?v=OzPpfZ5vKBE

 20トンが空中で静止する

 F-35の展示飛行は5日午後に行われ、ステルス機として電波反射を抑制するために課せられた外形的な制約をものともしない機動性を発揮した。空中に静止したかと思えば、そのまま左右の翼を上下に振って機体姿勢制御システムの優秀性を披露。さらにターンテーブルに乗っているかのように空中で水平姿勢のまま回転するなど、STOVLの機能を存分にアピール。重量約20トン(機内燃料込み)と荷物を満載した大型トラック並みの重さの物体が空中に浮くようすは信じがたい光景ではある。

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 ちなみにUH-1ヘリは満載時(最大離陸重量)が約4トンだから、F-35Bはその5倍以上のパワーを持っていることになる。

 その重量を支えるのは、まず後部にあるジェットエンジンのノズル。ただの円筒形ではなく、斜めの輪切り状に3分割されており、それぞれの回転量を変えることで、推力を90度下向きに変える。さらにコックピット(操縦席)の後ろには下向きに空気を送るファンがあり、短距離での離着陸時などには上下のカバーが開いて大量の空気を下側へ放出する。

 ベイダー見参

 もうひとつの注目は、「ベイダー機」と呼ばれる特別塗装機だ。

 米海軍と海兵隊では隊長機や部隊司令機は派手なマーキングを施すのが通例だった時期があり、特に1976年の米国建国200周年記念(バイセンティニアル)時には部隊ごとに派手さを競うかのようなカラフルな塗装が施された。

 その後、80年代には一転して低視度(ロービジビリティ)迷彩の規定が厳格に実施され、グレー2色の何とも地味な塗装の時期が続いたが、「士気にかかわる」など様々な意見が出た結果、00番の隊長機など(いわゆるダブル・ナッツ=ゼロ2つをナット2個に例えた言い回し)は“色つき”が復活の兆しをみせていた。

 昨年の岩国ではEA-18G「グラウラー」装備のVAQ-141(第141電子攻撃飛行隊)が日本展開に合わせ日章旗をあしらったマーキングを尾翼に施していた。そして今回の岩国では、スター・ウォーズの人気キャラクター「ダース・ベイダー」の顔を尾翼にあしらったVAQ-209「スター・ウォリアーズ」の隊長機が地上展示されたのだ。

 VAQ-209は1977年創設の比較的新しい部隊で、これまでEA-6A「イントルーダー」やEA-6B「プラウラー」を運用してきた、電子戦一筋の部隊。いかにも未来的なイメージがベイダーにふさわしいということだろうか。

 一方でF-35も特別塗装機が公開された。日章旗の一部をあしらい「岩国」の漢字と厳島神社の大鳥居をモチーフにしたと思しき鳥居のマーキングを施したもので、地元愛にあふれる出来映え。機体の周りには近づいてよく見ようという観光客らで人垣ができていた。

 基地開放

 会場では展示機の前にテントを広げ、パイロットたちが自ら部隊の記念グッズを販売。基地職員らも家族とともにピザやハンバーガーの出店を出すなど、雰囲気は「地域の文化祭」のよう。ただ飛行機を飛ばすだけではなく、こうした家族連れも楽しめるブースを出すことには理由がある。

 フレンドシップデーの開始と同時に、岩国基地司令のリチャード・ファースト大佐は報道陣に談話を発表した。海上自衛隊と同じ基地を使い、フレンドシップデーも共催することについて「この相互関係は、この地域における同盟関係の成功のために非常に重要です。同じ基地での駐留とフレンドシップデーの共催は、私たちの協力関係のレベルの高さを表しています」と指摘。

 「岩国基地は岩国市や山口県、広島県で地域の一員であることに感謝しています。このフレンドシップデーは、地域住民の皆さんと日本の皆さんに私たちの感謝の気持ちを示すために開催しているとともに、岩国基地の透明性を示すひとつの方法でもあるのです」と強調している。