「コナモン」店が全国で減少…個人経営の後継者難、大阪は5年で17%減

関西の議論
関西や広島などで愛されているさまざまなコナモン(オタフクソース提供)

 「コナモン」の代表格のお好み焼きや焼きそば、たこ焼きを販売する店舗が減っているという国の統計がある。平成21年は1万9480店だったが、26年は15%減の1万6551店に落ち込んだ。都道府県別の店舗数では、本場の大阪が1位を続けているが、府内でもこの間に17%減少した。専門家によると、かつて子供たちや近所の人たちが愛した個人経営の店舗が後継者不足で閉店するケースが増えているためとみられる。実際、大阪の街頭でお好み焼き店に行くかと聞くと、「近所に店がない」「行くのはチェーン店」などという答えが返ってきた。「コナモン」の店はどうなるのだろうか。(張英壽)

店舗数1位は大阪、1万人あたりでは広島

 総務省などが平成21年から始めた「経済センサス」という調査。さまざまな業種の事業所数などを分析しているが、「コナモン」を扱う店舗数が分かる貴重な統計だ。「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き」という3種類の店舗数をまとめており、21年、24年、26年、28年と計4回にわたって行っている。

 この経済センサスによると、「コナモン」3種類の店舗数は21年に1万9480店だったが、24年は1万7192店、26年1万6551店と徐々に減少。5年間で15%減にまで落ち込んだ。

 28年の調査は今年3月に発表されたが、一部の店舗が対象になっておらず、6月にそれらを含んだ統計が発表される予定。比較するには6月の公表を待つ必要があるものの、3月発表のデータは1万2864店で、21年と比べると34%減となった。

 お好み焼きソースで有名な「オタフクソース」(広島市西区)が経済センサスをもとに算出した統計などによると、都道府県別の上位5位はいずれの年でも、(1)大阪(2)兵庫(3)広島(4)東京(5)愛知-で、変わらない。「コナモン」の本場・大阪が1位を続けているが、府内店舗数は21年の3449店から、24年3012店、26年2850店と減り、26年は21年の17%減。28年の調査では21年比39%減の2115店となっている。店舗数が少ないのは東北各県、沖縄など。

 一方、人口1万人あたりの店舗数を都道府県別に比較したところ、トップは大阪ではなく、いずれの年でも(1)広島(2)兵庫(3)大阪(4)徳島(5)高知-の順だ。26年でみると、広島5.9店、兵庫3.5店、大阪3.2店、徳島3.1店、高知2.8店。広島の店舗数が突出して多く、兵庫が大阪の上位になっていることや、四国の2県が入っていることが目を引く。

チェーン店が「入りやすい」敬遠される個人店

 都道府県別の「コナモン」店舗数では1位を続ける大阪。この3種類を扱う店のうち、落ちついて食事するならお好み焼き店が好まれるが、府民は利用しているのだろうか。大阪・梅田(大阪市北区)で道行く人たちに聞いてみた。

 「あんまり行きませんね。半年に1回あるかないか」と話した大阪市東淀川区のフリーターの男性(32)は外食する場合は、居酒屋が多いという。「居酒屋では、いろんなつまみがあり、おいしくお酒を飲める。お好み焼き店だと、お好み焼きや焼きそばなどメニューが決まってくる」。

 大阪府高槻(たかつき)市の40代前半の男性会社員は「お好み焼き店には、しょっちゅう行っている」と教えてくれたが、「行くのは梅田やミナミ(大阪・難波周辺)の有名チェーン店で、家の近くではあまり行かない。近所には、おばちゃんがやっているような店がなくなっているから」と打ち明けた。

 大阪府吹田(すいた)市の女性会社員(48)は「2カ月に1回くらい家の近くのチェーン店に行く」と話したが、「まちのお好み焼き店は入りにくい。外から中が見えないし、常連さんしか入れないようなイメージ」と印象を語った。ただ「十数年前はチェーン店はあまりなく、まちのお好み焼き店に行っていた」と振り返った。

 吹田市の男性会社員(23)は「お好み焼きは好きでも嫌いでもないが、店に行くのは半年に1回くらい。友達が『行こう』というときだけで、入るのは家の近くのチェーン店。おばちゃんがやっているような店には行ったことがない」。外食で一番好きなのはラーメンという。

 「チェーン店しか行かない」という大阪市住之江区の男子大学生(20)は「チェーン店はメニューや値段が分かるし、入りやすい」と強調した。

 チェーン店の人気が高く、個人経営の店には足が向いていないようだった。

お好み焼き店だけど「居酒屋」も

 お好み焼きの業界では、何が起きているのだろうか。

 オタフクソースが運営する「Wood Egg お好み焼館」(広島市西区)の松本重訓(しげのり)館長(59)は「店舗数は減少していると思う。かつて住宅地にある家の1階を改装するなどして個人が経営する店がたくさんあったが、経営者が高齢になり、後継者不足に直面していることが大きい」と指摘する。お好み焼きは近年、スーパーやコンビニでも販売され、こうしたまちの店に行かなくても、簡単に手に入るということも背景にある。

 一方で、若い世代は開業しようとすれば、繁華街で店を開き、お好み焼きだけでなく、さまざまなサイドメニューを充実させる傾向にあるという。「店の名称も、お好み焼きのほか、鉄板焼き、居酒屋などさまざまな言い方がされ、線引きが曖昧(あいまい)になっている」と分析する。

 お好み焼きは、昭和30年代以降、広まったとされる。そんな中、個人経営の店も増え、焼いた薄い生地に麺や野菜を重ねて焼く広島のお好み焼きや、具を混ぜてから焼く関西のお好み焼きが親しまれてきたが、時代の曲がり角に来ているのだろうか。

 松本館長は「市場規模はそれほど変わっておらず、店舗数が減少した分、1店舗あたりの売り上げは伸びているのではないか」とし、店舗数については「下げ止まりがある」とみる。

なじみの店に通う広島、厳しい常連客の大阪

 「コナモン」の普及に努める日本コナモン協会の熊谷真菜会長は、「お好み焼き」「焼きそば」「たこ焼き」の店舗減少について「なかなか難しい問題。大阪でも、梅田やミナミでは、行列する店がある一方で、郊外の個人経営の店は後継ぎに悩んでいる。ただ、そんな郊外の状況の中でも、後継者に恵まれ、残っている店も多い」と話す。

 郊外の店がなくなれば、子供の頃に「コナモン」に親しむきっかけがなくなる可能性も出てくるが、大阪では「コナモン」文化が家庭に根付いているという。「スーパーなどで買ったり、自宅でお好み焼きをつくったりすることも多く、家でたこ焼きを楽しむ『タコパ』(たこ焼きパーティー)も行われている」と指摘する。

 国の統計では、全国的に「コナモン」3種類の店舗数が減っているが、1万人あたりの店舗数でトップを続ける広島県は平成21年6.2店で、24年は5.8店に落ちたが、26年は5.9店と増加している。

 熊谷会長は「広島のお好み焼き店は個人経営の店が多く、地元の常連客がなじみの店に通う傾向が強い。一方、大阪では、なじみの店に対して常連客は厳しく、店側はつねに細やかな努力を惜しまないと生き残れない場合が多いのではないか」と分析している。