【軍事ワールド】F35、開発試験終了 最新鋭機が極東に集中する可能性も - 産経ニュース

【軍事ワールド】F35、開発試験終了 最新鋭機が極東に集中する可能性も

垂直着陸を行うF-35B。この状態で空中に静止できる(2018年4月、岡田敏彦撮影)
米海兵隊岩国基地で訓練飛行を行うF-35B(2018年4月、岡田敏彦撮影)ニコンD500:AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR
米海兵隊岩国基地で訓練飛行を行うF-35B(2018年4月、岡田敏彦撮影)ニコンD500:AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR
垂直着陸を行うF-35B。この状態で空中に静止できるほどの安定性を持つ(2018年4月、岡田敏彦撮影)
米海兵隊岩国基地で訓練飛行を行うF-35B。垂直着陸とは別に、このような通常着陸も行える(2018年4月、岡田敏彦撮影)
垂直着陸を行うF-35B。垂直着陸用の下向きのファンを備えた機体背面と下面のカバーが開き、後部のエンジンノズルも下方を向いている(2018年4月、岡田敏彦撮影)
F-35Bとともに訓練飛行を行ったFA-18(2018年4月、岡田敏彦撮影)ニコンD500:AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR
 レーダーに映りにくい「ステルス機」のなかで最新鋭のF-35ライトニングIIを製造する米国ロッキード・マーティン社は13日、2006年から実施してきたF-35の開発飛行試験(SSD)を終了し「システム開発と実証の段階をクリアした」と発表した。今後は初期運用テストと評価(IOT&E)に進み、大量生産が加速するとともに段階的な能力向上にも着手される。同時に部隊配備や他国への供与も加速するとみられ、特に極東では日本と韓国への配備が軌道に乗ると共に、台湾への供与の可能性も高まっている。(岡田敏彦)
 難産の末
 米ロッキード・マーティン社によると、F-35は06年の初飛行以来、11年間にわたり9200回、1万7千時間以上の飛行試験を行い性能や耐久性を確認したとしている。F-35には空軍型のA型、海兵隊向けのB型、海軍の空母航空団向けのC型の3タイプがあり、特にSTOVL(短距離離陸、垂直着陸)が可能なB型については試験で1500回以上の垂直着陸試験を実施したとしている。
 軍用機も含め一般的な工業製品は設計、試作機の製作と試験を経て性能を実証してから量産されるが、F-35の場合はA~C型といったバリエーション(派生型)を開発することなどから、試験と量産や部隊配備が平行して行われている。
 今回終了したSSDとは、高度や速度の限界域を調べる試験や、飛行時の特性など飛行性能に関する試験と、搭載する武装の投射などの試験。だがこの試験は何度か中断されている。主に搭載するエンジン「F135」のトラブルに起因するもので、2013年にはエンジンのタービンブレードに亀裂が見つかり、既に軍に引き渡されていた約50機が飛行停止に。2014年6月にはエンジン火災事故が発生し全機が一時飛行停止となっている。
 F135エンジンは同じくステルス戦闘機でF-35の“先輩”にあたるF-22ラプターに搭載されていたF119エンジンがベースだが、小型化したうえで最大推力を4万ポンド(F119は3万5千ポンド)に引き上げるなど高性能化を図ったことから“難産”となったといえる。こうした問題でSSDの遅れが指摘されていた。
 このSSDの終了で「ハード」の開発はいったん区切りが付いたといえるが、実は「ソフト」の開発は現在進行形だ。
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 「米海軍研究所」(USNI)のニュースサイトはSSD終了後のスケジュールについて「初期運用テストと評価(IOT&E)は9月に始まる」としたうえで、多種のミサイル運用やデータリンクなど、完全な戦闘能力を発揮するのに必要な最新ソフトウエア「ブロック3F」を載せた機体能力を「IOT&Eで実証する必要がある」としており、海軍型のC型が初期作戦能力(IOC)を獲得するのは19年2月以降とみている。
 日本の米海兵隊岩国基地に配備されているF-35B型はIOCを15年夏に獲得しているが、ソフトは「ブロック2B」で、「3F」の持つ最新対空ミサイル(AIM-120DやAIM-9X)の運用能力は持っていない。F-35については今後、こうした最新ソフトウエアの実証実験と実装に焦点が置かれるとみられる。
 海外顧客
 一方で開発終了とF-35供与を期待する国は多い。日本ではF-4ファントムII戦闘機の後継として42機を導入予定で、今年1月には初号機(A型)が航空自衛隊三沢基地に配備された。空軍型に加え、海上自衛隊の護衛艦「いずも」「かが」に配備するためSTOVL能力を持つB型の導入検討が俎上にのぼっている。
 また40機を導入する計画の韓国に対しても、韓国空軍向けの1号機が3月28日に米国テキサス州フォートワース工場で完成した。中東では、4月9日にシリア空軍基地へのミサイル攻撃を行うなど、周辺諸国への軍事行動も辞さないイスラエルが50機を導入予定で、16年末に同国空軍初号機が引き渡され、すでに実戦配備されている。
 一方、台湾でも採用の動きがある。ロイター通信などによると3月26日、米上院の有力議員2人が中国軍への抑止として、F-35の台湾売却を許可するようトランプ米政権に要請した。米中関係の冷え込みや蔡英文政権の対中姿勢、さらに中国でも人民解放軍の元幹部(南京軍区副司令官・中将)の王洪光氏が台湾の武力統一についてシミュレーションした結果「米軍来援前の100時間以内に台湾を攻略できる」との主張を展開するなど、中台の緊張関係も影響している。
 北朝鮮の核・ミサイル問題や中国の軍拡の動きにより、中東とともに“ホット・スポット”となっている極東地域に、今後は最新鋭ステルス機F-35が“集中”する可能性がある。