【関西の議論】かつての「大津百町」、今は商業不毛の地?パルコ跡地の新施設は成功するか - 産経ニュース

【関西の議論】かつての「大津百町」、今は商業不毛の地?パルコ跡地の新施設は成功するか

オープンに向け改装工事が進む「Oh!Me大津テラス」=4月19日、大津市打出浜
オープンに向け改装工事が進む「Oh!Me大津テラス」=4月19日、大津市打出浜
約20年の営業を終え、来店者に深々とおじぎをする大津パルコの店員ら=平成29年8月
 県庁所在地にも関わらず近年、商業施設や大型スーパーの撤退が相次いでいる大津市。昨年8月には20年以上にわたり営業を続けていた「大津パルコ」が閉店した。それから8カ月後の今月、跡地を購入した大阪市の不動産会社が後継の商業施設をオープンさせる。滋賀県内ではかつて、店舗がなくなっても営業を続け「明るい廃虚」と揶揄(やゆ)された商業施設「ピエリ守山」(守山市)が、経営者の交代を機に復活を果たした例があり、大津の新施設にも「活性化の糸口になってほしい」と期待がかかる。(川瀬充久)
27日にグランドオープン
 大津市中心部の打出浜にある大津パルコ跡地に27日にオープンするのは、「Oh!Me(オーミー)大津テラス」。名前には、滋賀の旧国名「近江」と「自分の場所」という2つの意味を持たせた。
 自宅や職場から離れた第三の居場所(サードプレイス)をコンセプトに、地上8階の旧大津パルコの建物を全面改装。1、2階は「大地」、3~5階は「水」、6~8階は「山」「空」をそれぞれイメージした内装とした。
 入居する主なテナントは、平和堂のスーパー「フレンドマート」▽家電量販店ヤマダ電機の「テックランド」▽カフェを併設した「TSUTAYA BOOK STORE」▽100円ショップ「キャンドゥ」▽フィットネスジム「カーブス」▽ホットヨガスタジオ「LAVA」-など。
 パルコ閉店後も上映を続けていたシネマコンプレックス「ユナイテッド・シネマ大津」が引き続き営業するほか、かつて人気を集めたFMラジオ局「エフエム滋賀」のサテライトスタジオも復活する。
 オープンから3日間は、千円以上の買い物をした人に記念品も用意されるといい、早くも話題となっている。
空洞化進む大津市
 大津パルコは8年、若者向けファッションビルとして開業。一時は売り上げが年間100億円を超えたが、その後、郊外に大型商業施設が相次いでオープンすると客足とともに売り上げは急速に減少。28年度は全盛期の約3分の1の35億円にまで落ち込んだ。
 かつてのセゾングループの中核企業だったパルコ。西武グループ、セゾングループにゆかりの深い滋賀県からパルコが消えるというニュースは、市民を落胆させた。
 江戸期に「大津百町」と呼ばれ栄えた大津市中心部だが、京阪神へのアクセス向上で県外へ向かう人が増えたことや郊外型商業施設の進出で空洞化が進む。
 巻き返しをはかって市が計画した活性化事業も十分な効果を上げているとはいえない。主要駅周辺でタワーマンション建設が相次ぐ一方、中小の商店や飲食店は苦戦を強いられ、地元商工関係者からは「このままでは市中心部はもぬけの空になってしまう」という不安の声が上がる。
 平成28年には、JR大津駅前にあった大型スーパーも撤退している。
街の復活は
 パルコ跡地にオープンする大津テラスに期待がかかるが、引き合いとされるのが「ピエリ守山」だ。
 ピエリ守山は20年、琵琶湖畔にオープンし、約13万平方メートルの広大な敷地に、当初は200店を超えるテナントが入居した。
 ところが、近隣の商業施設に客を奪われ、2年後に運営会社が破綻。テナントの撤退が相次ぎ、照明がこうこうと輝きBGMが流れ続ける人気のない館内の様子が「明るい廃虚」「生ける廃虚」と呼ばれ、ネットで話題となった。
 26年にいったん閉館したが、約10カ月後に別の会社が管理運営を引き継ぎ再開。ネットでの話題性に加え、ファストファッションブランドの「ZARA」や「H&M」など他店にはない魅力的な店舗の誘致、湖畔を生かしたイベントの開催などでにぎわいを取り戻した。現在は2月時点で114店舗が出店している。
 一時閉店に伴い運営会社が交代するという状況は大津テラスも同じで、地元からは「再び人が集まる場所になってほしい」との声が相次ぐ。
 大津テラスを管理運営する「アーク不動産」(大阪市)は「既存の店舗の意見も聞き、地元のニーズにあった商業施設にしていきたい」としている。空洞化に歯止めをかける新たな起爆剤となるか、注目だ。