【関西の議論】カー娘もぐもぐイチゴでも注目 韓国や中国での農産物「盗作」からブランドどう守る - 産経ニュース

【関西の議論】カー娘もぐもぐイチゴでも注目 韓国や中国での農産物「盗作」からブランドどう守る

平昌冬季五輪で、休憩タイムにイチゴを食べるカーリング女子の日本チーム。話題になった光景だが…=今年2月
地域団体商標などの活用事例が紹介された特許庁など主催のセミナー=和歌山市(近畿農政局提供)
 農産物のブランド化に向けた取り組みが進んでいる。地域産品のプロモーションに商標などの知的財産の活用を考えようと、特許庁などは「巡回特許庁」として各地でセミナーを開催。こうした動きは海外市場への進出を狙う上でも重要となる。アジアでは、日本の優良品種をもとに無断交配・栽培されるなどした果物が安価で流通しているとされ、平昌(ピョンチャン)五輪カーリング女子日本代表の選手が食べて話題になった韓国のイチゴが「日本から流出した品種をもとに交配されたもの」と指摘されたことでも注目を集める。農産物の“盗作”をどう防ぐかは喫緊の課題だ。(福井亜加梨)
ブランドで差別化
 「ブランドは有田みかんを守っていく上で強い味方になる」。和歌山市内のホテルで2月5日に開かれた特許庁などが主催するセミナーで、JAありだ営農販売部の上田浩晶部長はこう語った。
 セミナーは「知財のミカタ 巡回特許庁」の一環として、近畿では神戸と和歌山の2市で開催。この日は約100人が参加し、パネルディスカッションで同庁の地域団体商標制度や農林水産省の地理的表示(GI)保護制度などを活用した事例が紹介された。
 上田部長は、有田みかんが平成18年に地域団体商標に登録されたことについて「類似品との差別化ができ、有利な販売につながる」と説明したが、シンガポールや香港、台湾への輸出に関しては、「海外からの評価はまだまだで、これから高めていかなければならないと感じる」と話した。
海外への流出
 農産物で人気のある品種は、違法業者による海外への無断持ち出しや、現地での勝手な栽培・流通も懸念されている。
 平昌五輪でカーリング女子日本代表の選手が食べて注目された韓国のイチゴについて、斎藤健農林水産相が「以前に日本から流出した品種をもとに、韓国で交配されたものが主だ」と指摘したことで、問題への関心は高まっている。
 イチゴに限らず、高級ブドウの「シャインマスカット」は中国での無断増殖が確認されている。苗などが持ち込まれたとみられるが、流出経緯は明らかになっていない。
 農水省は、海外での品種登録の出願にかかる費用を補助する事業を28年度から実施。3月8日に京都市内で開かれた出願説明会・相談会には和歌山県の関係者も出席した。
県関係者も懸念
 和歌山県によると、県内で育成された品種が海外で無断栽培された事例は今のところ確認されていない。それでも担当者は「青果物を海外に売り込もうと取り組んでいるのに、ようやく輸出できたら向こうで無断で作られていた、ということだけは防がないといけない」と危惧する。
 JAありだの上田部長も「海外市場では、ブランドの価値を高めながら守っていくということが国内よりもはるかに難しい。さまざまな団体や機関と一緒になって取り組んでいきたい」と話す。
 知的財産は一定の価値が認められるアイデアや創造物、技術など。農産物の場合、国内では生産者の利益の保護や関連地域・産業の発展を図るため、地域名と商品・サービス名を組み合わせた呼称でブランドとして登録する特許庁の「地域団体商標制度」や、地域の伝統的な生産方法、気候・風土など生産地の特性が品質に結びつく産品を登録して保護する農林水産省の「地理的表示(GI)保護制度」などが導入されている。
 中国や韓国などでは知財や著作権に関する意識が低く、農産物に限らず日本のオリジナルがコピーされるなどして出回る状況が以前から問題視されている。