「おしゃれ」「入浴」「リハビリ」特化型デイサービス増加…自分にピッタリ合う施設のみつけ方とは

関西の議論
カフェのようなおしゃれな空間で、フラワーアレンジメントの作品に取り組む利用者たち=大阪市生野区の「夢の箱 生野」

 高齢化社会が進むなか、介護保険制度で利用できる通所施設(デイサービス)の多様化が進んでいる。まるでカフェのようなおしゃれな施設があるかと思えば、リハビリや入浴に特化した施設もある。平成12年の制度スタートで、自宅で生活をしながら介護サービスを受けられるようになったが、在宅支援を目的とするデイサービスは「子供のように扱われるのが嫌」などと利用を控えるお年寄りも少なくない。介護事業者側もあの手この手で工夫を凝らして、さまざまなニーズにこたえようとしている。そんな施設を紹介するとともに、探し方のポイントなどをアドバイスする。(北村博子)

おしゃれな空間で「生きがい」探し

 大阪市生野区のデイサービスセンター「夢の箱 生野」で、木目調の長テーブルを囲んで女性グループが談笑していた。ダークブラウンの壁紙に上品なフローリング、周辺にコーヒー豆の香りが漂い、まるでおしゃれなカフェと錯覚してしまいそうだ。施設を手がける社会福祉法人「基弘会」によると、次世代の高齢者のニーズを分析し、3年前にリノベーションしたという。

 外観だけでなくソフト面にも力を入れており、選択制の教室を開くなどして利用者主体のサービスを提供している。

 今年2月には職員を含めた男性限定の「紳士倶楽部『男の料理教室』」を開催。お好み焼き作りとノンアルコールビールで盛り上がり、次回開催のメニューのリクエストが上がったほどだ。

 フラワーアレンジ教室を受講していた岡田光子さん(83)は「お花を触っていると、いろいろなことを思い出します。普段は1人で過ごしているので、ここへ来るのが楽しみになっています。みんなが頑張っているから、私も頑張らないと…」と陽気に話した。このほか、編み物教室で制作された作品を販売して共有の備品を購入したり、書の得意な利用者に正月用の箸袋のデザインを書いてもらったりするなど、利用者の新たな社会参加の場を作っている。基弘会の川西収治本部長は「利用者のみなさまは『ありがとう』と言う立場ですが、誰かの役に立って『ありがとう』と言ってもらえる機会になれば」と意義を語る。

 センスの良い制服を着た職員は、利用者らへの対応も丁寧で、こういったコンセプトを気に入ったお年寄りや家族らからの問い合わせも増えているという。

リハビリ兼ねて「親を通わせたい」施設

 ふくらはぎのマッサージを施すことで血流促進を図る「ふくらはぎ健康法」を導入している「タオ」(大阪市東淀川区)は、リハビリ特化型施設だ。もともとは整骨院だったが、東洋医学のマッサージを応用し施術をしたところ、「不眠や体の不調が治った」などと大きな反響を集めたことから、平成11年に介護事業に参入してきた。

 熱伝導率が高い天然鉱石「トルマリン」を使った同社開発の医療機器「トルマリンホットパック」でふくらはぎを温めた後、ひじから手首の腕の部分に体重をかけて深部のコリをほぐしていく。足に持病があるという薮内佐智子さん(75)は「以前は足をひきずっていましたが、普通に歩けるようになりました。気分がいいし、前向きな気持ちになりました」と笑顔を見せる。

 栗山綾統括マネジャーは「利用者は人生の先輩たちですから、赤ちゃん言葉なんて使えません。自分の親を通わせたくなる施設を目指しています」と話す。

 大阪市旭区の「うらら デイサービスセンター大宮」は、檜風呂(ひのきぶろ)の浴槽4台を備える入浴特化型の施設だ。今川孝郁(たかふみ)施設長は「このあたりはお風呂のない家が多い。銭湯に行く方法もありますが、手すりがないので転倒する危険もありますしね」と需要の高さを説明する。

 入浴は利用者1人につき4人体制でサポート。寝たきりの人でも入れる可動式のいすも備え付けられており、多い日には1日約20人が利用するという。

 「時間がかかっても、できることはご自身でやってもらいます」と言い、リハビリも兼ねて体を洗うのは利用者本人で行う。手が届かない背中や、あかがたまりやすい足や脇などについては「自尊心を傷つけない程度に手伝う」と今川さん。檜風呂のほかにも、足湯や岩盤浴もある。

目的を絞り込んで希望を伝えることがポイント

 大阪市阿倍野区の「デイサービス弘輪(こうりん)」では、リハビリと体力作りのためにノルディックウォーキングを取り入れている。

 専門家の指導のもと、週1回のペースで施設の周囲約2キロを約30分かけて歩く。ポールを持って歩くことで自然と腕が振れて歩幅が広がり、上半身の筋肉も動くようになる。血流や姿勢も良くなり、機能回復が期待できる。準備運動をするにしても、2本のポールが支えになって安定感があるという。

 施設を利用している谷川和美さん(82)は「最初は恥ずかしかったけど、みんなと一緒だから楽しめます。全身が達者になったみたいです」とすがすがしい顔で語る。代表理事の足立博子さんは「ノルディックウォーキングを導入した最大の理由は転倒防止です。効果は抜群。みんなに元気になってほしい」と話す。

 利用者のニーズが広がるにつれて、さまざまなサービスを打ち出すようになったデイサービス。しかし、大阪府内だけでも2294件(平成29年11月現在)もあり、自分に合った施設を探すのは一苦労だ。地域の施設を紹介する冊子が地域包括センターなどで配布されているが、詳細まで理解するのは難しい。

 NPO法人「介護保険市民オンブズマン機構大阪」(O-ネット、大阪市東成区)の堀川世津子事務局長は「担当のケアマネージャー(ケアマネ)に目的を絞り込んで希望を伝えることが大切です」とアドバイスを送る。

 例えば、「リハビリを行いたい」という希望があっても、「1人で歩けるようになりたい」「マンツーマンがいい」「体の痛みをやわらげてほしい」などとより具体的な希望をケアマネに伝えると、的確な情報提供が得られやすいという。そのうえで、実際に施設を訪れて質問などをした方が、不安も少なくなると指摘する。

 ただし送迎などの関係から、各施設とも受け入れ地域は限定されるので注意が必要。見学、体験可能な施設も多いので、参考にしてほしい。