【衝撃事件の核心】3つの山口組がひしめく大阪・ミナミ…商業好調でシノギ争奪戦懸念 - 産経ニュース

【衝撃事件の核心】3つの山口組がひしめく大阪・ミナミ…商業好調でシノギ争奪戦懸念

恐喝事件の関係先として大阪府警が家宅捜索した兼一会の事務所=3月1日、大阪市中央区
 指定暴力団神戸山口組から離脱した任侠(にんきょう)山口組が3月に指定暴力団となり、六代目山口組を交えた三つどもえの対立構造がいよいよ深刻化してきた。その“最前線”ともいえるのが、西日本最大級の繁華街・大阪ミナミだ。3団体の傘下組織などがモザイク状に乱立し、引き抜きなど組織の切り崩しが過熱している。任侠山口組系の幹部が白昼堂々と襲撃される事件も起き、大阪府警は抗争激化への警戒を強めている。
まさかの「絶縁処分」
 「複数の男が相手を取り囲んで暴行している」
 2月7日未明のこと。飲食店やスナック、風俗店などがひしめく大阪市中央区の島之内地区で、乱闘を目撃した通行人から110番があった。
 現場は神戸山口組傘下組織「兼一(かねいち)会」の組事務所付近。警察官が駆けつけたときには男らの姿はなかったが、現場には多数の血痕が残り、激しい暴行があったことをうかがわせた。
 府警の捜査で、同じ神戸山口組の関係者らが、兼一会の組事務所を訪ねた際に事件が起きたことが判明。襲撃したのは事務所内から出てきた5、6人の男らという。つまりは身内同士のトラブルだった。シノギ(資金獲得活動)をめぐる対立が、ふとした拍子に表面化したとみられる。
 暴力団に詳しい関係者によると、兼一会はミナミでシノギを展開し、数百人規模の構成員を誇る有力組織だ。その会長は、神戸山口組の井上邦雄組長(69)がトップを兼任する直系団体「山健組」内で、ナンバー3の立場にあったとされる。
 同じ神戸山口組内のいざこざでもあり、当初は穏便な解決も見込まれていたという。だが、井上組長は兼一会会長に対し、暴力団社会からの追放を意味する「絶縁処分」を決定。分裂騒動の最中で組織を引き締める必要があったこと、殴られた側の幹部が神戸山口組内の序列で兼一会会長よりも上位だったこと、などが厳罰の理由とみられている。
勢力拡大に躍起
 神戸山口組の内紛はここから異例の経過をたどる。対抗組織である六代目山口組側が、兼一会の勧誘に動いたのだ。
 「分裂前の暴力団社会では、絶縁された組織を他団体が迎え入れることはご法度とされていた」とある捜査関係者は明かす。
 ところが六代目山口組の直系団体「極心連合会」(本部・大阪府東大阪市)が、兼一会会長を同連合会の副会長という厚遇で受け入れた。
 捜査関係者は「各組織はなりふりかまわず勢力拡大に躍起になっている。六代目山口組は兼一会を獲得することで、神戸山口組の勢力が強いミナミへの進出の足がかりにしようとしている」と分析する。
幹部登用で移籍促す
 一方で、昨年4月に神戸山口組から離脱した織田絆誠(よしのり)代表(51)らが結成し、今年3月に指定暴力団となった任侠山口組も、他団体からの引き抜き工作に余念がない。
 捜査関係者らによると、任侠山口組の直系組長は結成時から倍増の約60人で、神戸山口組の23人や山口組の54人を上回る。
 ただ構成員は約460人にとどまり、六代目山口組の約5200人、神戸山口組の約2千人とは大きな開きがある。
 構成員との比率で突出した組長の多さは何を意味するのか。
 「任侠山口組は織田代表を頂点としたピラミッド型ではなく、それぞれの直系組長を横並びにした組織を構成している」と解説するのは元暴力団関係者。いわばマネジメントの違いであり「上納金の徴収額を抑えることで、六代目山口組や神戸山口組から若い世代の移籍を促そうとしている」とみる。
任侠が標的に
 3つの山口組がしのぎを削る大阪では、急速に勢力を拡大する任侠山口組を牽制するかのような事件が続発している。
 兼一会の事件があった翌日の2月8日未明には、大阪市西区の任侠山口組の直系団体「山本会」の組事務所に何者かが運転するトラックが突っ込んだ。けが人はなかったものの壁などが損壊した。3月24日には同区内のパチンコ店内で、山本会会長が男に殴られる事件も発生した。
 織田代表らが結成した任侠山口組は昨年4月、暴力団としては異例の記者会見を開き、神戸山口組の井上組長らの組織運営を批判。神戸市長田区で昨年9月、織田代表を乗せた車が襲撃され、護衛役の組関係者が射殺される事件につながった。
 織田代表が出入りする任侠山口組の直系団体「絆(きずな)連合」の組事務所はミナミにあり、乱闘事件のあった兼一会の組事務所とは約100メートルしか離れていない。神戸山口組の直系団体「宅見組」の組事務所も近い。3つの指定暴力団の有力組織がひしめくミナミは、まさに分裂後の縮図だ。
 一方、ミナミが商業地域として活況であることも緊張感を高めている。
 国土交通省が3月27日に発表した公示地価では、訪日外国人の増加が顕著なミナミがJR大阪駅周辺のキタを抜いたが、こうした状況がシノギをめぐる争いの激化につながることも予想される。
 捜査幹部は「大阪ではインバウンド景気で飲食や宿泊などの業界が好調な上、万博やカジノを含む統合型リゾート施設の誘致実現も期待されている。他地域の暴力団までもが甘い汁を吸おうと大阪に進出する動きを見せている」と話し、「今後も徹底して暴力団排除を進めていく」と語気を強めた。
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