【関西の議論】「中国式白タク」横行で、W杯・五輪仕様のナンバープレートに想定外の余波 - 産経ニュース

【関西の議論】「中国式白タク」横行で、W杯・五輪仕様のナンバープレートに想定外の余波

白タクと見られるワンボックスカーにベビーカーなどを積み込む運転手ら=3月7日、京都市東山区
白タクと見られるワンボックスカーから荷物を降ろす観光客=3月6日、京都市東山区
 訪日外国人客を相手に無許可でタクシー営業し、全国的に問題化している「白タク」。警察は、主に中国語を話すドライバーによる中国人客を対象にした「中国式白タク」と呼ばれる違法行為の取り締まりに乗り出しているが、捜査の目をかいくぐり、関西空港や京都の観光地で目撃情報が絶えない。こうしたなか、2019年ラグビーワールドカップ(W杯)や20年東京五輪・パラリンピックの開催を記念した特別仕様のナンバープレートが思いも寄らない迷惑を被っている。その理由とは…。(桑村大)
運転手も客も中国人
 3月6日、世界遺産・清水寺(京都市東山区)に通じる五条坂の道ばたに「なにわ」ナンバーの白いワンボックスカーが止まった。中国語を話す家族連れとみられる男女7人が降車し、車は近くの駐車場に入った。
 「白タクだろう。あの運転手はよく見る。昨日は別の客を乗せていた」。駐車場の男性管理人(63)がつぶやいた。付近で白タクらしき車が目立つようになったのは1~2年前から。中華圏の旧正月にあたる今年2月中旬は、多い日で20台近くが客の送迎を繰り返していたという。
 客待ちのタクシー運転手(56)は「営業妨害だ。マナー違反で正規のタクシーとトラブルになる白タクもある」と明かす。
 国土交通省によると、中国式白タクは訪日客が多い東京や沖縄でも確認されている。正規タクシーと違って運転手は2種免許を持たないため、運転技能が担保されておらず、任意保険への加入がない場合は事故時の補償が不十分になる恐れがある。
専用アプリで予約、決済
 京都府警は2月、違法に京都市内や奈良県内などで客を送迎したとして、道路運送法違反容疑で中国籍の男を逮捕。料金は1日あたり約3万5千円と、正規タクシーより3~4割ほど安かった。3月1日には、大阪府警が同容疑で中国籍の男女3人を逮捕した。
 中国式白タクはスマホの中国語アプリを使い、手軽に予約できるのが特徴だ。目的地や時間を指定し、決済までできる。料金が安く設定されていたり、言葉が通じたりすることなどが人気の要因となっている。
 「白タクは一般車と見分けが難しい」と捜査関係者。出国前に支払いをインターネットで済ませて「友達を乗せている」と言い逃れされれば、それ以上の追及は困難になるという。
 配車アプリ「皇包車」には、在日中国人と思われるドライバー約4千人が登録しているが、実態は把握しきれていない。これから春の本格的な観光シーズンを迎えるが、京都府警は「難しい面もあるが、摘発を強化していく」としている。
W杯、五輪ナンバー大迷惑
 このように白タクが横行する陰で、とばっちりを受けているのが、ラグビーW杯や東京五輪・パラリンピックの開催を記念した特別仕様プレートだ。
 特別仕様ナンバーは、白いプレートに大会ロゴや図柄がデザインされており、マイカー向けとタクシーなどの事業用車向けに国交省が昨年から導入した。
 国交省によると、W杯仕様が約22万枚、五輪仕様約19万7千枚が全国で交付されている(いずれも1月末現在)。通常のナンバープレートに比べて交付費用が割高で、いずれも大会の開催機運の盛り上げに一役買おうという善意で成り立っている。
 しかし、事業用プレートは通常は緑色だが、特別仕様は白いプレートを緑色の枠で囲ったのみで、白タクと見間違えられ、110番されるケースが多いのだという。
 京都府警によると、W杯プレートが導入された昨年4月には約10件の110番があった。現在は月数件に減ったが、依然相談などが絶えず、担当者は「見間違いの可能性があるとしても、ためらわずに通報してほしい」と話す。
 「同業者間でも『白タクか』と混乱が生じることがある」。京都府タクシー協会の坪倉啓三専務理事(70)は打ち明ける。
 同協会は近畿運輸局に対し、白タクと混同される問題が起きていることを伝えたが、デザイン変更などはなされていない。「国際的な大イベントに協力したい気持ちはもちろんある。しかし、プレートに関しては一目で事業者用と分かる他の識別方法が必要ではないか」と坪倉氏。
 さらに今年10月には、全国で、地域の観光名所や特産品がデザインされた「地方版図柄入ナンバープレート」の交付が始まる。京都府も昨年11月、日本三景の天橋立や五重塔を花紋様で表現したデザイン案を発表している。だが、事業用については、W杯などと同様に緑色の枠で区別する予定で、坪倉氏は「同じ問題が繰り返されるのでは」と危惧している。
 こうした懸念について、国交省担当者は「ホームページやチラシ、ポスターなどを通じてプレートが浸透するよう広報活動を続けていきたい」と述べるにとどめている。
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