琵琶湖のレジャー有料化へ議論…ゴミ・騒音・釣り糸被害、処理の応分負担求め続く模索

関西の議論
琵琶湖岸のバーベキュー禁止地域に散乱した大量のゴミ(滋賀県提供)

 手軽に釣りや湖水浴などが楽しめる京阪神屈指の水上レジャースポットの琵琶湖(滋賀県)で、レジャーの有料化論議が高まっている。レジャー客のゴミ撤去費などが県税でまかなわれるなど、実質的に県民負担となっているからだ。県は遊漁料や入山料などを徴収している国内外の自治体の事例を調査しており、利用者に一定の負担を求める仕組みを模索している。(川瀬充久)

バーベキュー禁止を先行

 「釣り客はゴミを出すなど琵琶湖に負荷をかけている。負担してもらう仕組みは考えられないか」。昨年11月に同県近江八幡市で開かれた首長会議で、出席者の1人がこう発言した。

 ブラックバスなどの外来魚が問題となっている琵琶湖だが、皮肉にも“バス釣りの聖地”として多くの釣り人が訪れる。

 業界団体が釣り具の売り上げの一部を環境美化にあてる取り組みを進めているが、一部の釣り客が切れた糸を捨てたり、漁の仕掛けを壊したりなどのトラブルは後を絶たない。

 バーベキューや遊泳、ボートでもゴミ放置や騒音などの問題が頻発(ひんぱつ)している。県は今春から、禁止区域内でバーベキューをした場合、5万円以下の過料を徴収するよう規制を強化したが、レジャー全体にどこまで効果があるのかは未知数だ。

有料化断念の過去も

 「県も市町も財政は厳しい。議論が持ち上がった背景には、少しでも支出を抑えたいという事情もある」と自治体関係者は漏らす。

 県は今年度当初予算でレジャー客やボートの規制、外来魚回収などに約2600万円を計上した。ただ、清掃費やボランティアへの支援などを含めると実際の費用は何倍にも膨れあがる。

 一方、有料化は過去にも議論され、そのたびに断念してきた経緯がある。小型船舶を対象にした「湖面利用税」や「レジャー利用税」が検討されたが、いずれも利用者の把握や課税対象の線引きが困難で実現には至らなかった。

 また河川法上、琵琶湖は「川」だが、漁業法上では「海」とされ、川釣りのように入漁料を取ることができないという事情もある。県の担当者は「琵琶湖は広くどこからでも入れるため利用者の特定が困難。一律に税金を課すのは現実的ではない」と苦い表情を浮かべる。

新しい仕組み模索

 そこで県は現在、任意で入山料を徴収している富士山や遊漁料を徴収している山梨県の河口湖など国内外の事例を調査している。

 利用者に負担を求めることに対しては、すでに県や市町に電話やメールなどで意見が寄せられている。業界団体が有料化に懸念を示したほか、漁師からは「バス釣りを有料化するとバスの存在を認めることになる」との反発も。一方、意外なことにバス釣り愛好家からは「有料化されることで釣り人の質が上がる」と歓迎する声が目立つという。

 こうした中、県が注目しているのは富士山のように任意で入山料を徴収し、代わりに記念品を贈呈する仕組み。今年度中に調査結果をまとめ、具体的な方策を議論する。担当者は「良心的な利用者が損をする制度は本末転倒。失敗した税金以外の形で、新たなシステムを作りたい」としている。