廃線鉄道、活用に課題 JR三江線の地元自治体 - 産経ニュース

廃線鉄道、活用に課題 JR三江線の地元自治体

 島根、広島両県を結ぶJR西日本の三江線が31日、最後の運行を迎える。衰退する地域に観光客を呼び込もうと廃線後の鉄道資産の活用策も浮上するが、多額の維持・撤去費の負担が足かせになり、沿線自治体は二の足を踏んでいる。
 ▽観光資源に 三江線は、廃線を前に鉄道ファンらが殺到。3月初旬、石見川本駅(島根県川本町)のホームに列車の乗客があふれかえった。同町の人口は約3300人。1980年代からほぼ半減し、4割超が65歳以上だ。駅前を通りかかった下垣美耶子さん(80)は「駅前はだいぶ寂しくなった。廃線後どうなってしまうのか」と将来を懸念する。
 鉄道資産を観光資源として活用しようと昨年12月、島根県邑南町と広島県三次市の住民らが「江の川鉄道準備会」を設立。同市の伊賀和志駅を挟む邑南町の口羽-宇都井間で、レールの上を走るトロッコ型の乗り物などを楽しめる「鉄道公園」を構想している。
 ▽「負の遺産」
 鉄道公園の実現には、両市町ともJR西からレールなどの鉄道資産の譲渡を受ける必要がある。邑南町は、口羽、宇都井両駅のほか、4カ所の鉄道資産の譲渡を協議。4カ所は取得を進める方針だが、口羽、宇都井両駅は1年間の協議延長を申し入れた。
 問題は、ホームが高さ約20メートルの鉄橋上にあり「天空の駅」として知られる宇都井駅などの駅舎やレールの維持・撤去費。譲渡を受けなければJR西が費用負担し撤去するが、譲渡を受ければ将来の維持費と撤去費は自治体側の負担となる。
 三次市の担当者は「将来の負の遺産にしないことが大事」と話し、鉄道公園構想に慎重な姿勢をみせる。
 ▽危機感
 市同様に将来のリスクを懸念する町は、鉄道公園の実現化には、運営団体の法人設立など事業の具体化が必要としている。準備会は3月中旬、NPO法人を目指すことを決定。会長の日高弘之さん(77)は「協議が難航しているのは分かっているが、何もしなければ地域がなくなってしまう」と危機感をにじませ、「廃線間際の盛り上がりを途切れさせないように、できることからやっていく」と意気込んでいる。