神戸製鋼、消えぬ海外司法リスク 山口次期社長、業績への影響「現時点では読めない」

 
記者会見する神戸製鋼所次期社長の山口貢副社長=16日午後、東京都港区のホテル

 神戸製鋼所の次期社長に決まった山口貢(みつぐ)副社長は16日、東京都内で記者会見し、製品データ改竄(かいざん)問題に関連し「企業風土の抜本的な改革を進めることが責務だ」と決意を述べた。不正の調査を進めている米司法省には「誠意をもって対応する」と語った。

 山口氏は改竄問題で引責辞任する川崎博也会長兼社長の後任として、4月1日付で就任する。アルミニウム・銅や鉄鋼といった素材部門を中心にデータ不正が起きたことから、不祥事と比較的関係が薄い機械畑から異例の選出となった。

 山口新社長の下、製品データ改竄問題からの信頼回復へスタートを切る神戸製鋼所。組織改革、再発防止策の遂行など社内的な課題と並び、一連の不正による海外での訴訟リスクの高まりも、再建に向けて大きな壁となりそうだ。

 神戸製鋼は14日、データ改竄された同社の製品を使った自動車を利用した米国の消費者2人が、カリフォルニア州の連邦裁判所に損害賠償を求める訴訟を起こしたと発表した。同社はカナダでも同様の訴訟を抱えている。

 山口氏は16日の会見で「今後、同様の訴訟が起きてくる可能性は否定できない」との認識を示した。業績への影響については「現時点では読めていない」と述べるにとどめた。

 これに対し、白鴎(はくおう)大学法学部の楪(ゆずりは)博行教授(英米法)は「消費者保護の意識が高い地域の裁判所で訴訟が起こされている。別の地域で訴訟が広がらないよう、慎重な訴訟対応が必要だ」と指摘する。

 同社は米司法省からもデータ改竄に関する文書の提出を求められている。同省が不正の違法性の有無に関心を持っているとみられ、こちらも大きな懸念材料といえる。

 さらに、6日に発表した外部調査委員会による最終報告書で、OBを含め役員5人が不正を認識していたことが明らかになった。この点について、企業法務に詳しい山口利昭弁護士は「経営陣が不正を知って対処していなければ、積極的に関与したことと変わりない」と指摘。同省が違法性を認め、民事制裁金などを課す可能性があるとしている。

 この場合、神戸製鋼との取引先企業が株主代表訴訟を回避するため、同社への損害賠償訴訟を起こすことも考えられる。

 同社は今年1月、海外訴訟や同省に対応するため、4人態勢の専属チームを立ち上げ、法務部門を強化した。平成30年3月期は3期ぶりの最終黒字に転換する見通しだが、対応を誤れば、先行きは不透明なままだ。(藤谷茂樹)