「初めて」のアピールを警戒 2025年万博誘致、仏撤退も露などライバルの出方は…

関西の議論
握手する大阪府の松井一郎知事(中央右)とBIE調査団の崔在哲団長=7日午後、大阪市北区の大阪市役所(渡辺恭晃撮影)

 政府が大阪誘致を目指す2025年国際博覧会(万博)の開催地が11月に決定するのを前に、博覧会国際事務局(BIE)の調査団による大阪視察が3月8日まで行われた。今年に入り、最大のライバルとみられたフランスが立候補を取り下げ、日本には追い風ともいえそうだが、政府や関西財界は逆に危機感を強めている。誘致に向けた国内の気分を引き締め直す一方、ロシアなどの競争相手が「万博初開催」という、日本との違いを魅力として打ち出すことなどを警戒している。(牛島要平)

 計画は「良好」

 BIE調査団は8日午前、会場予定地の大阪湾の人工島・夢洲を視察した。団長を務める崔在哲(チェ・ジェチョル)BIE執行委員長は午後に大阪市内のホテルで記者会見し、日本の計画を「調査団の暫定的な考え方としては良好だ」との認識を示した。

 関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は9日、「日本の熱気をしっかり訴えることができた」と手応えを語った。

 開催地は11月のBIE総会で、加盟国170カ国の投票で決まる。日本を含む4カ国が手を挙げたが、フランスが突然の戦線離脱。フィリップ首相が財政上の問題を理由に、2月4日付でBIEに万博誘致の断念を通知したのだ。これで日本とロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)との三つどもえの争いとなった。

 仏取り込み重要

 フランスは開催地決定の投票をめぐっては欧州(BIE加盟47カ国、中央アジア含む)に加えて、かつて植民地を持っていたアフリカ(同49カ国)にも強い影響力を持っていたとされ、日本の前に立ちふさがる壁とみられていた。

 その壁が消えたわけだが、フランス支持票が残る3つの立候補国の草刈り場となり、動向次第では有利にも不利にも傾く。松本氏は「1カ国が脱落することで(ロシアなどの)他の立候補国がさらに強力に攻勢をかけてくる可能性がある」と楽観論を戒める。

 万博を所管する経済産業省博覧会推進室の東哲也・博覧会国際企画調整官も2月2日、大阪市内での講演で「フランスの撤退で誘致競争の構図、BIE加盟国への働きかけの仕方が大きく変わる。そもそも、フランスの支持を得ることが大事だ」と語った。

 もしフランスが日本支持を表明してくれれば、欧州票やアフリカ票を獲得する上で大いに有利に働くことは間違いない。

 初開催アピールか

 政府には「ロシアとアゼルバイジャンは一度も万博を開催していないことをアピールしてくるのでは」との警戒感が強い。日本が1970年大阪万博、2005年愛知万博などを開催した経験を訴えているのを逆手に取った作戦だ。

 また、ロシアは10年万博にモスクワ、20年万博にエカテリンブルクでの開催を立候補して、いずれも敗れている。過去の誘致合戦を通じて、すでにBIE加盟国に一定の支持を広げている可能性もある。

 関経連は2月から、BIE本部のあるパリに事務所を開設し、スタッフを派遣。加盟国の外交官らに支持を働きかける活動をスタートさせた。松本氏は先月、京都市内で行われた関西財界セミナーで「誘致合戦に勝つために、これからが瀬戸際。今はそれで頭がいっぱい」と話し、関西財界の結束を求めた。