秋田・由利高原鉄道(上)/大雪原の中の小さな駅

鉄道アルバム・列車のある風景
雪原にぽつんと建って列車を待つ吉沢駅(左)=秋田県由利本荘市(川辺-吉沢)

 駅は純白の広い雪原の中に、ぽつんと立っていた。小さな青い屋根の駅舎が目印だった。それが目に入らなければ、通り過ぎてしまったかも知れない。

 出羽富士と呼ばれる鳥海山に続く山麓を流れる子吉川が削った、平坦地に広がる田園の冬のお昼前。駅へ向かう雪道に、大小2つの足跡が仲良く並んで続いていた。それ以外に人や車が通った跡はない。足跡には新しい雪がうっすらと積もっていた。そこへこの日、多分3人目の足跡をつけながら歩いた。

 由利高原鉄道鳥海山ろく線吉沢駅は、今回訪れた中で最も小さな駅だった。もちろん無人で、土手にあるため階段で短いプラットフォームに上がる。4メートル四方ほどの駅舎が、利用客数を物語っている。駅から見えるのは遠くの県道沿いに並ぶ少しの民家のほかは、雪原と雪山と川。遠くへ来たものだと、これほど強く思わせてくれる景色もない。

 駅を離れて待っていると、雪が舞う中を駅舎の屋根と同じ色の単行列車がやって来た=写真(1)。でも誰もいないホームに動くものは何もなく、到着した列車から降りる人もない。鋭い汽笛を短く鳴らし、列車はすぐに出発した。

 由利高原鉄道の列車はカラフルさが魅力。青、緑、オレンジ-。どれも白い雪原に良く映える。次に来たオレンジ色の列車は吉沢駅を後にすると、再びの雪景色の中を、日本海側の町・由利本荘へ向けてゆっくり走っていった=写真(2)。

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 各地で相次ぐ大雪被害にお見舞い申し上げます。

      (藤浦淳)