ブルーインパルスの華麗な演技、F-15の急上昇…10万人超は当たり前 人気集める「航空祭」へ行ってみよう

軍事ワールド
密集隊形からブレイクするブルーインパルスのT-4。5月5日の岩国フレンドシップデーでのひとこま(岡田敏彦撮影)

 北朝鮮の核・ミサイル開発や米軍の空母派遣など、朝鮮半島情勢の緊迫化により、日本を守る自衛隊にも注目が集まっています。その活動の一端を国民に公開する航空祭は、アクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」の華麗な演技などで10万人超が集まる人気イベントともなっています。今回は航空祭の魅力と、より楽しむための注意点などを、11月19日に行われた岐阜基地航空祭ルポも含めご紹介しましょう。(岡田敏彦)

 人気一番は「ブルーインパルス」

 今年の岐阜基地航空祭は4年ぶりにブルーインパルス(以下「ブルー」)が参加し、来場者は13万人。昨年は約6万人ですから、「ブルー」の人気の高さがわかります。真っ青な空に白いスモークをひいて一糸乱れぬ編隊飛行を見せる姿は、飛行機に興味のない人たちも魅了してきました。

 昭和39(1964)年の東京五輪で、大空に五つの輪を描いたのは有名ですが、現在も「描きもの」に秀でたチームとして世界でも認知されており、スモークで大きなハートを描き、矢で射貫く「キューピッド」や、星を描く「スター&クロス」は注目の的です。こうした航空祭のメーンイベントたる「ブルー」を多くの人に楽しんでもらえるよう、演技の時間帯も午後一番あたりに設定されることが多いようです。

 その演技を見るにあたっては、いくつかの下準備をしておけば、より楽しむことができます。

 航空祭にルールあり

 「ブルー」の演技のプログラムは当日の天候などによって第一区分~第四区分に分かれており、雲の高さが1万フィート(約3千メートル)以上なら第一区分、といった具合です。雲が低いと、高度を要する演技は観客席から見えなくなってしまうため変更が必要になるなどの理由です。

 また演技項目は50以上あり、どの項目を行うかは第一~第四区分によって組み合わせが異なります。演技項目は航空自衛隊のホームページで公開されているため、当日会場で「この雲なら第1区分ができるかな」などとある程度予想できます。

 また、使用できる交通機関や駐車場の有無を調べておかないと「渋滞に巻き込まれているうちに演技が終わった」ということにもなりかねません。

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 近年は観客増加により様々な注意事項が喚起されています。自家用車や二輪車駐車場の有無は、年ごとに変わったりします。周辺の交通渋滞により地元住民に迷惑をかける可能性があるための措置です。また持ち込み禁止の指定もあり、どの会場でも危険物やドローンは持ち込み禁止です。ほかアルコール類▽三脚や脚立、テーブル▽子供が乗れる四輪カート▽大型のクーラーボックス▽スケートボード-など、会場となる基地によって様々な持ち込み禁止ルールがあります。

 また、写真撮影を目的とするマニアも多く集まるため、滑走路に面した最前列は「先着順」で取り合いとなります。些か不毛な競争ですが、今回筆者も参加しました。

 目指せ1列目

 今回の岐阜基地航空祭は、開始は午前8時半。午前7時には入り口前に長蛇の列が出来ると聞いていたので、「最前列」を取るなら早朝到着は必須ですが、現地に近いホテルはどこも満杯。自家用車で行くにも来場者専用駐車場はない、というわけで前日に車で現地到着し、一般の有料駐車場で車中泊することに。同じ事を考える人は多いようで、午後8時ごろには駐車場は満杯になりました。

 さて、翌朝5時40分ごろに駐車場を出発、徒歩約10分で岐阜基地正門に到着するも、すでに長蛇の列…。「門の前で徹夜で並んだ方が良かったのかも」と思いつつ、敗北感漂う寒空の下、開門まで待ちます。

 開門と所持品チェックのあと会場の滑走路わきへ向かうも、確保できたのは2列目という微妙な結果。とはいえ、とりあえず航空機の滑走状態(いわゆる“ころがり”)は1列目の人の隙間から撮れそうです。ちなみに撮影機材はAPS-Cサイズの一眼レフカメラと200-500のズームレンズ。昨年来場したときは後列すぎてさっぱり撮影できなかった「ころがり」ですが、今回は-。

 南か北か

 離陸は遠すぎて見えず。では着陸はというと、陽炎でユラユラな画像を大量生産です、冬なのに。もはや機材や撮影技術以前の問題だと言いたい。

 北会場は逆光気味(特に午後)のため筆者は南会場を選んだのですが、着陸後の機体移動は北会場に近い誘導路を利用していて、北側ならゆっくり移動する機体をアップで撮れたようです。南側から陽炎の影響なしに撮れたのは真横から後ろ姿。結論としては「当日の早朝に電車で来た方が良かった」というところ。

 とはいえ、「ころがり」を見る・撮るのが航空祭の全てでは決してありません。むしろ飛行機なのだから飛んでいるところを見てナンボです。

 今年は各務原飛行場創設100周年にあたり、記念塗装を施したF-4ファントム戦闘機が機動飛行を行いました。下面に書かれた「各務原飛行場百周年」の文字を見えるように機体を傾けつつ飛ぶ大サービスに、周囲のファンも大喜び。もちろん上空を飛ぶので1列目も2列目も関係ありません。大いに戦闘機の機動飛行の迫力を体験できましたが、このあと問題が…。

 曇と雨

 重い望遠レンズを振り回していい加減腕が痛くなったところで、1回目の戦闘機や輸送機のフライトが終了。しかしこのあたりから曇り出しました。しかも雲が低い。「ブルー」は午前11時25分スタートの予定ですが、晴天用の“フルメニュー”ともいえる「第1区分」などできそうにありません。

 筆者は「曇り空で絵にする(いい写真を撮る)のは難しいんですよね」などと思いつつ撤収準備を開始。「ブルー」の白いスモークは青空に映えますが、雲がバックでは今ひとつ引き立ちません。というわけでカメラをしまって肉眼で楽しもうと芝生に座り込んだ矢先に、「ブルー」が単機でスモークを引きながら超低空でフライパス。周囲の子供連れの家族も歓声をあげて手を振るなど、曇っていても盛り上がりました。

 そしてショーは続く

 「ブルー」の演技がお目当てなら、前列を狙うよりも会場中央近くにいる方が得策のようです。ブルーは演技にあたって、主に会場中央に「正面」を設定し、その位置の観客から見て最も見栄えのする演技を行うからです。機動飛行などの撮影も、マニアは下調べのうえ会場外のポイントから超望遠レンズを使って撮影する場合も多く、基地祭にかかわらず平日も離着陸を待ち構えるマニアも少なくありません。筆者も岩国基地で「待ち」をしましたが、お目当ての機体が飛ぶかどうかは運まかせですから、やはり(天候問題を除けば)確実に飛んでくれる基地祭は一般の人々にとっては有りがたいものです。

 むしろ基地祭で最大の問題は、水分補給とトイレという“矛盾”です。

 自衛隊の取材でヘリに乗る場合、陸自でも海自でも、コーヒーやお茶は利尿作用があるので控えるように注意されますが、同様に航空祭でも控えた方が無難なようです。というのも、どの基地祭でもトイレは仮設で多数用意されているにもかかわらず長蛇の列で、この列がはけるのは「ブルー」が飛ぶときだけと言っても過言ではありません。

 今年の航空祭は9、10日の那覇基地(沖縄県)が大トリですが、来年は3月から順次、日本各地で航空祭が開かれる予定です。