たわわな柿があるのに「手が届かない」…九州北部豪雨被害で畑へ通じる道路寸断、柿の出荷断念 朝倉の柿農家

 
豪雨の爪痕が残る畑で柿を収穫する足立謙一郎さん=12日、福岡県朝倉市

 7月の九州北部の豪雨で被災した福岡県朝倉市。柿農家の足立謙一郎さん(69)は畑が深刻な打撃を受け、今年の出荷を諦めた。同市は全国的な柿の主要産地の一つ。「もう無理かも」「できるなら続けたい」。足立さんはわずかな可能性に希望を託し、支えてくれた知人らにおいしい柿を食べてもらいたい一心で収穫を始めた。

 「いい柿がなっとるけど、どうしようもない」。作業服姿の足立さんが示した枝には色づきの良い大ぶりな実がなっていたが、下の地面は崩れて絶壁のようになり手は届かない。朝倉市杷木志波の山あいには、豪雨の傷痕が残っていた。

 豪雨で流されたのは計40アールの畑の5%ほどだが、畑までの橋がなくなり、道は土砂に覆われた。大半の畑に、消毒器具や柿の運搬に必要な軽トラックが入れなくなった。「身に染みついている」という手入れが、ほとんどできなくなった。

 その後も本格再開に必要な道路などの整備は進んでいない。「畑に愛着はある」が、どうすれば良いのか分からない状態という。

 足立さんの柿は甘みが強く歯ごたえもあると好評。個人的に毎年渡していた知人らの喜ぶ顔を今年も見たくて、12月上旬まで収穫を続けるつもりだ。