純愛ゆえか、異常な性愛か パジャマ姿の交際女性遺体と5日間夜を明かした男の胸中

衝撃事件の核心
保護責任者遺棄容疑で逮捕された男の自宅。死亡後の交際女性と約5日間、夜を明かしたという=11月16日、大阪府枚方市

 生死を超えた純愛か、それとも異常な性愛なのか。大阪府枚方市の民家で11月、なんとも奇妙な事件があった。体調不良になった交際相手の女性に医師の診断を受けさせなかったとして、この家に住む警備員の男(48)が逮捕された。発見時、女性はすでに布団の中で冷たくなっていた。男の供述によれば、少なくとも5日間は遺体と添い寝をして、夜を明かしていたという。「どうしたらいいか、分からなかった」。物言わぬ女性の横で、男は何を考えて眠り、朝を迎えていたのか。(桑村朋)

死亡女性の横で男がムクッと

 11月9日午前10時半、大阪府枚方市桜丘町。男の自宅を訪ねた知人は、玄関の鍵が開いているのに気がついた。

 中に入ってすぐに居間がある。大きな布団が敷かれていた。知人が呼びかけると、男だけがムクッと起き上がった。横に寝ていたパジャマ姿の女性は、ぴくりとも動かない。知人はほどなく、その女性が死亡しているのに気がついた。

 男はあわてたり、逃げようとしたりするそぶりを見せず、むしろ落ち着いていたという。知人の通報で消防、さらに警察が駆けつけた。

 男はこの日の夜、女性を体調不良のまま放置したとして保護責任者遺棄容疑で逮捕された。「4日の夜には冷たくなっていた」。男はそう供述した。

直前に母親も死亡、ショックが重なり…

 死亡したのは、15年来の交際相手という大阪市平野区の44歳の女性だった。司法解剖でも死因は分からなかったが、捜査関係者によると、何らかの持病が悪化した可能性がある。

 女性は頻繁に男の自宅に通っていた。今回は4日昼ごろに訪問。午後6時ごろに夕食を食べ、それから寝床についた。そして同9時ごろ、男は女性の体が冷たくなっているのを感じ取ったという。

 女性が4日夜に死亡していたとすれば、男は5日間、遺体と添い寝をし続けたことになる。いくら交際していた相手とはいえ、常軌を逸した行動に思える。

 近隣住民によると、男は10月に母親を病気で亡くした。よほどショックだったのか、男はそれ以降、仕事にも行かず、自宅にこもりがちになった。警察や消防が自宅に駆けつけたとき、遺骨はまだ手元にあったようだ。

 母親の死亡から1カ月弱で、今度は交際相手まで失うことになった。「どうしたらいいのか」と、男は思考停止に陥っていた旨を供述している。そして男が選択したのが、女性が死んだままの状態で、いつものように寝起きするというモラトリアムだった。

 枚方市などによると、病院以外の場所、たとえば自宅で親族が死亡した場合、家族らが警察や消防に通報し、救急隊員や警察官が状況を確認した上で、死亡診断書や死体検案書を書いてもらう必要がある。この書面を添えて、死亡を知った日から7日以内に自治体に死亡届を出さなければならない。

 最近は葬儀会社が手続きを代行する場合がほとんどで、死亡届は死亡したその日、もしくは翌日に提出されることが大半だという。

 今回のケースでは遺体を放置したことではなく、持病のあった女性の体調異変に気づきながら、措置をとらなかったことが重くみられた。

添い寝、過去にも

 今回のように、容疑者が遺体と一定期間をともに過ごす事件は過去にも起きている。

 平成23年7月、病死した妻の遺体を自宅に放置したとして、京都府警が死体遺棄容疑で夫を逮捕。妻の死亡時期は同年4月ごろで、発見当時、遺体はほぼミイラ化していた。

 「自分も死のうとしたが死にきれなかった。妻が好きで一緒にいたかった」

 夫は当時、捜査員にこう供述していた。

 秋口は死後48時間ごろから、遺体の腐敗が始まるという。5日も経てば死後硬直も緩んでいる。

 駿河台大の小俣謙二教授(犯罪心理学)は今回の事件について「死後に行う手続きなど単純に社会的常識が欠けていただけかもしれない」としながらも、「昔に比べ、死者に対する考え方が変わってきているのではないか」と死生観の変化にも言及した。

 知人が偶然見つけなければ長期間、遺体が放置されていた可能性もある今回の事件。男は自らの胸中について、まだ詳しくは語っていない。