熊本地震の被災マンション解体進まず 熊本市、半数近く合意難航

 
被災した熊本市西区の分譲マンションで、解体に向けた手続きの状況を説明する管理組合理事長の松本一さん

 昨年4月の熊本地震で熊本市に公費解体を申請した被災マンション18棟のうち、半数近くの8棟が所有者の合意形成が難航するなどして解体の見通しが十分に立っていないことが13日、分かった。14日で地震発生から1年7カ月。専門家からは「簡易な手続きが必要」との声も出ている。

 解体は民法上、所有者全員の同意が必要だが、政府は昨年10月、熊本地震に被災マンション法を適用、一定以上の資産価値を失ったマンションは所有者の8割以上の同意で解体が可能となった。

 ただ解体の合意ができても、熊本市は建物に残った家財道具の処分などに関する同意書の提出を求めている。市は「過去の災害で家財が残ったまま解体しトラブルになった事例も踏まえた措置」と説明する。

 熊本市内のマンションは少なくとも約600棟が被災し、市は公費解体申請を今年10月4日に締め切った。申請のあった18棟のうち2棟で解体が完了、8棟はめどが立った。しかし、4棟は被災マンション法に基づく合意に至らず、別の4棟も家財道具の処分などの話がまとまっていない。

 熊本市西区にある築43年、7階建ての分譲マンションは昨年4月16日の「本震」で全壊。柱は傾き、1階駐車場の車はつぶれ、今もほぼ手つかずのままだ。

 所有者でつくる管理組合によると、昨年末の総会で8割以上の同意を得て解体を決定。しかし家財道具の処分に同意しない人がいたほか、連絡が取れない人もいた。管理組合理事長の松本一さん(80)は「避難先がようやく分かり総会にこぎ着けたが、家財の問題が障害になるとは予想外だった」と話す。

 仙台市のマンション管理士で、東日本大震災などの被災者支援に取り組む萩原孝次さんは「行政がトラブルを警戒するのも分かるが、一刻も早い復興も必要。簡易で迅速な手続きが求められる」と話した。