男湯も女湯も泡だらけ、悪質ないたずら誰が…豪雨復興の熊野川温泉を見舞ったトラブル

衝撃事件の核心
泡だらけになった「熊野川温泉さつき」(新宮市提供)

 和歌山県新宮市熊野川町にある市運営の温泉施設「熊野川温泉さつき」で8月中旬、洗い場やジェットバスが大量の泡であふれるトラブルが発生した。ボディーソープなどを使った何者かによる悪質ないたずらとみられ、施設側から相談を受けた新宮署が偽計業務妨害の疑いで捜査している。同施設は平成23年9月の紀伊半島豪雨で被害を受け、26年4月に営業再開。大勢の地元住民らが訪れる“復興のシンボル”のような施設で、関係者は心ない行為に憤っている。(尾崎豪一)

泡だらけ…

 「浴槽や洗い場が泡だらけになっている」

 8月17日午後2時ごろ、男性入浴客から施設の内線電話からフロントに連絡が入った。男湯に駆けつけた従業員の目の前には、泡だらけになった浴場が広がっていた。

 男湯の洗い場、ジェットバス、内湯すべてが泡であふれただけでなく、女湯のジェットバスも泡まみれになっていた。男湯には、空になった備え付けのボディーソープ5本とシャンプー3本のボトルが残っていた。

 このことから何者かが男湯に侵入し、ボトルの中身を湯にまき散らして泡だらけにしたとみられる。女湯へは配管を通って泡が入ったようだ。

 施設側はその日の営業を中止。翌18日は午前11時から営業を再開したが、ジェットバスなどは清掃に時間がかかり、完全復旧には3日を要した。

 施設を管理する市は悪質ないたずらとみて、8月中旬に新宮署に被害相談。同署は偽計業務妨害の疑いで捜査を続けている。市の担当者は「迷惑このうえない。こんなことは本当にやめてほしい」と憤りを隠さない。

犯行は〝空白〟の1時間に

 担当者によると、犯行は従業員のいないわずかな隙を狙って行われたという。従業員が男湯の浴槽の温度チェックに訪れたのが午後1時ごろ。このときは異常がなかった。入浴客からの連絡で駆けつけたのが午後2時ごろで、この1時間程度の間に泡まみれにされたことになる。

 担当者は「ジェットバスの勢いのある水流などを考えると、1時間あれば泡だらけになる。当初は『まさか』という感じで、いたずらというより、故障ではないかと思った」と話す。

対策強化も

 同施設は檜風呂や露天風呂などがあるアルカリ性単純泉の温泉施設で、年間約1万8千人が利用。かつては宿泊施設もあった。紀伊半島豪雨では屋根付近まで水没するなど大きな被害を受け、26年4月に日帰りの温泉施設のほかにレストランや物産販売所を備えた施設として営業を再開した。

 今回のトラブルでは一時営業停止となったほか、故障の有無を確かめるために複数回、湯の出し入れをするなどジェットバスの点検費用もかかったという。

 業務を妨害する狙いがあったのか、単におもしろがるためだったのか。仮に偽計業務妨害罪で有罪となれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑。施設側の損害を考えれば、とてもいたずらでは済まされない行為だ。

 トラブルを受け、市は新たに防犯カメラの設置も検討。担当者は「“復興のシンボル”として親しまれる施設が、犯罪の標的となったのはとても残念。対策を考えていかざるを得ない」と話している。