「心がぐちゃぐちゃ」20歳女子大生〝愛の暴走〟…復縁断った「竹野内豊似イケメン」元カレを金づち、スタンガンで襲撃

衝撃事件の核心
元交際相手の男性に復縁を迫り、断られたことから、自室で金づちや包丁、果てはスタンガンで襲撃した女子大生。逮捕後、警察の取り調べに対し「自分があの人を好きなことを周囲に知ってもらいたかった」と不可解な動機を語った

 愛の中には、常に幾分かの狂気がある-。ドイツの哲学者、ニーチェはそんな格言を残しているが、狂気が凄惨な事件を引き起こすことがあるらしい。兵庫県西宮市で7月、復縁を断った元交際相手の男性(21)を包丁でメッタ刺しにしたなどとして、関西学院大に通う女子大生が殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。「自分が彼を好きだと周囲に知ってほしかった」。女子大生が捜査員に語った動機は不可解だった。周囲が「普通のカップル」と口をそろえる2人の間に何があったのか。

スタンガンでとどめの一撃

 「警察呼んだから!」

 7月23日午後1時ごろ。複合商業施設「阪急西宮ガーデンズ」にも近い西宮市田代町のワンルームマンションの4階に住む男性(41)は、ただならぬ叫び声を聞き、玄関ののぞき穴から外の様子をうかがった。

 同じ階の一室から飛び出してきたのは、近隣住民の間で「竹野内豊似のイケメン」と噂されていた若い男性。血だらけのまま走って階段を下り、おびえた表情で3階の住人らに助けを求めた。

 「元カノにやられた」

 「金づちで頭を殴られ、包丁で背中を刺された」

 事情を知った住人が110番し、男性は救急車で病院に運ばれた。だが、そこに元カノの姿はなかった。兵庫県警西宮署員が現場の部屋を訪れると、一人でぽつんと床に座り込んでいたという。

 殺人未遂容疑で現行犯逮捕された元カノは、関西学院大2年の女子大生(20)。男性は同じ大学のサークルに所属する1つ学年上の先輩で、約1年間交際した後、今年5月に破局したばかりだった。

 捜査関係者によると、男性は女子大生宅で昼寝をしていたところ、突然金づちで頭を1回殴られ、次いで刃渡り約20センチの柳刃包丁で背中や腕を5回以上刺された。抵抗すると、スタンガンを体に押し当てられた。全ての凶器を取り上げ、すぐに外に逃げ出したことが良かったのだろう。傷の程度は全治1週間の軽傷にとどまった。

 犯行時は比類なき暴力性を垣間見せた女子大生だが、取り調べには興奮した素振りを見せず、淡々と応じている。現在は事件を起こした理由を「私があの人を好きなことを周囲に知ってもらいたかった」と説明しているという。

 捜査関係者は「なぜそれが犯行につながるのか。さっぱり意味が分からない」と困惑気味だ。

「あいつは許さない」

 2人の間に何があったのか。

 実は女子大生は、男性から別れを切り出されて以降の約2カ月間、2週間に1回のペースで男性と会い、復縁の話し合いを続けていた。

 この日も女子大生が男性を自宅に呼び出し、「もう一回やり直そう」と要求。男性はかたくなに応じず、「嫌や」と繰り返しているうちに自然と寝入ってしまったところを襲われた。凶器はあらかじめ準備されており、同署は女子大生が周到な殺害計画を練っていた可能性が高いとみている。

 ただ、女子大生は大学内では「どこにでもいるような普通の学生」(関係者)だったといい、トラブルなども確認されていない。

 本人のものとみられるツイッターによると、奈良県有数の進学校を卒業後に関学大商学部に進学。「とりたてて感情の起伏が激しそうな印象はなく、どちらかというとおとなしそうな子」(捜査関係者)という評判らしい。

 一方、男性は身長約175センチ。黒髪でさわやかな印象の一見して女性にもてそうなタイプ。女子大生とは真剣に付き合っていたといい、捜査関係者は男性側に浮気などの落ち度があったとする見方については懐疑的だ。破局後、女子大生は周囲に「あいつは許さない」と語ったというが、取り調べには具体的に何が許せなかったのかは明言していない。

 捜査幹部は「何度も復縁を迫るほど好きだという気持ちが、希望がかなわなかったことで憎しみに変わったのかもしれないが、結局のところよく分からない。男女間で起きた事件では、事件を起こした本人ですらなぜそうなったのかという内心を明確に説明できないことが珍しくない。今回もそのパターンかもしれない」と指摘した。

独占欲に性差なし?

 恋愛関係のもつれなどに起因するストーカーやドメスティック・バイオレンス(DV)事案では統計上、加害者の大半は男性となっている。しかし、女性が男性に暴力を振るう事案も決して珍しくない。

 今回の女子大生が金づちや包丁、スタンガンで元交際相手を襲った背景には、独占欲の強さがあるのではないか-との見方は強い。

 だが、日本女子大の岡本吉生教授(犯罪心理学)は「男女関係において、男性が極端に支配欲が強く、女性が極端に独占欲が強いといった性差のようなものは存在しない」と指摘。「男女間のトラブルは、どちらかが一方的に良い悪いという問題ではなく、相互関係が作用して起きることが多い。表面的な状況だけで原因を解明するのは困難であり、個々の事例ごとに細かい分析が必要だ」と強調する。

 女子大生は犯行の約1週間前、ツイッターに「どれが自分の本当の気持ちかわからない。苦しみ。こころがぐちゃぐちゃしてる」と投稿していた。

 バラ色の学生生活も今は昔。元カレとの復縁に固執した代償は大きかったに違いない。