文化財被害26件超 重文財「普門院本堂」や国史跡「三連水車」

九州北部豪雨

 九州北部の豪雨により、福岡、大分両県で国や自治体が指定したり登録したりした文化財のうち、国の重要文化財「普門院本堂」や国史跡「三連水車」が土砂に埋まるなど、少なくとも26件が被災したことが16日、両県教育委員会への取材で分かった。被害の大きい地域で調査が進んでいないため、今後増える可能性は高い。被災者への対応が優先となり、修復は時間がかかりそうだ。

 両県教委によると、市町村からの報告などに基づき同日夕までに判明した被災件数は、福岡県で9件、大分県で17件。

 内訳は、福岡県で国指定が5件、県指定で3件、朝倉市指定のものが1件。大分県は、国が指定や登録をしているものが15件、県指定で2件となっている。

 福岡県朝倉市にある国指定重要文化財「普門院本堂」は、屋根の四隅が大きく張り出した「宝形造・総本瓦ぶき」の小堂。鎌倉時代末期の創建とされる。縁側の柱が、大雨による土砂に埋もれた。被災者対応のため人手が足りないこともあり、詳しい調査や修復のめどは立たない。

 朝倉市にある国指定史跡「三連水車」は、一部が土砂や流木で埋まり動かせない。同市指定の有形文化財で、江戸時代のものとされる石橋「久保鳥の石造桁橋」は、川の増水で流失した。

 シュロの木を使い獅子舞用みのを作る技能で、福岡県が「選定保存技術保持者」としていた朝倉市の井上輝雄さん(89)は濁流にのみ込まれたとみられ、犠牲になった。

 大分県日田市では、江戸時代の城下の町並みが残り、国の重要伝統的建造物群保存地区となっている豆田町で、大部分が床下浸水。国指定史跡で6世紀の装飾古墳「ガランドヤ古墳」は、覆っていた盛り土が崩れた。

 福岡県教委は「今後、市町村と一緒に調査を進めて修復への対応を検討したい」(文化財保護課)としている。大分県教委は被害額を算定するため、現場に職員を派遣する。