政治闘争の一方で権益拡大のため与野党と〝全方位外交〟 「立場」使い分ける日弁連

弁護士会 「左傾」の要因(5完)
日本弁護士政治連盟(弁政連)のホームページ画面。弁護士の活動領域拡大などを訴えている。役員は日本弁護士連合会(日弁連)の役員出身者らが多い

 《国会議員の先生方の政策立案、立法活動を強力にサポートできる専門職は、弁護士をおいて他にない》

 弁護士でつくる政治団体「日本弁護士政治連盟」(弁政連)のホームページに大きく掲げられた「政策秘書は弁護士から!」の文字。クリックすると、冒頭の説明と、国会議員からの問い合わせ窓口の電話番号が表示される。

 弁政連は国会議員へのロビー活動を通じ、日本弁護士連合会(日弁連)が求める政策の実現を目指す団体だ。平成27年の政治資金収支報告書によると、会費納入者数は約2500人で、同年の弁護士数約3万6千人の1割にも満たない。

 28年度の活動方針に「国民視点に立った弁護士の活動領域の拡大・確保」「司法制度改革の推進」などを掲げ、与野党を問わず、弁護士活動に理解のある議員の選挙応援や献金を実施している。さらに各政党と懇談会を開催し、要請活動を行ってきた。

 こうした活動は行政書士や医師、歯科医師といった他の士業団体も日常的に行っており、それ自体は問題視されるべきことではない。ただ、安全保障関連法の反対運動など野党と軌を一にした政治闘争を繰り広げてきた日弁連とは対照的な全方位の姿勢が意外なのだ。

日弁連と弁政連、明確な役割分担なく

 弁政連が「組織運営の基本方針」として掲げているのは、(1)日弁連と一体で動く(2)クリーンで透明な運営をする(3)政治におもねらない-の3点。

 政治的な意見表明を乱発してきた日弁連の姿勢に、反発を覚える会員が少なからずいることは、本連載第1部で指摘した。

 本来望ましいのは、強制加入団体として政治的中立性が求められる日弁連は政治問題でなく、弁護士の職域拡大などの権益活動を行い、弁護士の間でも意見が分かれる政治的声明は任意団体である弁政連が出す-という形だろう。

 「『弁政連は日弁連と一体』とうたうのであれば、なおのことそうであるべきだ」。日弁連の偏向的姿勢を問題提起してきた弁護士、高池勝彦(74)=東京弁護士会=は語る。事実、弁政連の役員は日弁連の役員出身者らが多く、現トップの理事長、山岸憲司(69)も日弁連会長経験者だ。

 しかし、双方の組織が政治性の有無を考慮しつつ、明確に役割分担をしていこうという気配はない。

 「政治におもねらない」という信条はどうか。各政党との懇談会には日弁連と弁政連の幹部が参加している。これまでの議題は、自民党とは司法修習生への経済支援や法曹の活用拡大など実利的なものである一方、民進党とは憲法改正、公明党とは死刑制度廃止など観念的なものだった。

「根っこは同じだ」

 「クリーンで透明な運営をする」という原則も、お題目だけのようだ。

 産経新聞は4月、弁政連に(1)力を入れてきた政策(2)日弁連との役割分担(3)応援する政治家の基準(4)「政治的声明は日弁連ではなく弁政連で出すべきだ」との意見の受け止め-などについて取材を申し込んだ。

 しかし、弁政連は「取材には応じられない」と回答。取材拒否の理由についても「差し控える」と一切答えようとしなかった。

 「弁政連と日弁連は根っこは同じで、異論を受けつけない体質は一緒だ」と高池は語り、こう続けた。「弁護士でありながら、少数派の意見を無視している傲慢さを自覚しないのだろうか」

 ある単位弁護士会の会長経験者も言う。

 「内部で左の連中と議論していてもむなしくなる。絶対に譲らないから。今日の少数派は明日の多数派かもしれない。弁護士会はもう少し謙虚に国民の声を聞くべきではないか」

 独善とも映る左傾体質を持つ弁護士会。なぜ、このような体質になったのか。次回の第3部では、戦後日本に刻んできた政治闘争の歴史を分析し、現在の左傾体質の理由を考える。(敬称略)

=第2部おわり

 【用語解説】日本弁護士政治連盟(弁政連)

 日本弁護士連合会(日弁連)の政策を国政に反映させることを目的に昭和34年に設立。日弁連などの強制加入団体は中立性が必要とされ、政治的活動が制約されていることも設立の背景にある。弁護士であれば誰でも加入することができる。年会費は1万円だが、登録5年未満の弁護士は無料。各政党との懇談会や若手向けの勉強会などを開催している。