「何としても安保法案廃案に」SEALDs、野党と〝共闘〟…内部から「多様な意見切り捨てた独善」と批判も

弁護士会 政治闘争(2)
京都弁護士会が開いた集会で、安全保障関連法案に反対して「廃案」や「違憲」と書かれた紙を一斉に掲げる参加者=平成27年8月29日、京都市

▼(1)人権擁護のはずが「安“倍”法制は憲法違反!」…から続く

 「若者頑張ってるよねとか、SEALDs(シールズ)もっとやれとか、よく言われます。でも頑張らないといけないのは、俺らだけじゃないですよね」

 平成27年8月26日、日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)。日本弁護士連合会(日弁連)が主催者として開いた集会で、国会審議が大詰めを迎えていた安全保障関連法案に反対する学生団体シールズ(解散)の奥田愛基が〝共闘〟を呼びかけると、約4千人(主催者発表)の聴衆がやんやの喝采で応じた。

 「安保法案廃案へ! 立憲主義を守り抜く大集会&パレード~法曹・学者・学生・市民総結集!~」と銘打たれた集会。社民党の福島瑞穂(61)、民主党(当時)の辻元清美(56)、共産党の市田忠義(74)ら安保法案に反対する野党の国会議員も応援に駆け付けていた。

 壇上に上がった「安保関連法案に反対するママの会」のメンバーは子供らとともに「だれの子どももころさせない。」とする横断幕を掲げた。日弁連副会長の伊藤茂昭(当時)は「何としても安保法案を廃案に追い込みたい。日弁連は法律家団体の責務として先頭に立ち、最後までこの行動を継続する」と宣言した。

 集会終了後、参加者は各地の弁護士会名が入ったのぼりに導かれ、デモ行進へ。シュプレヒコールで「安倍(晋三)首相は直ちに退陣を」と迫った。

「解釈改憲は立憲主義に反する」

 この8・26集会とパレードは、日弁連が展開した一連の反安保キャンペーンのハイライトだった。

 特定秘密保護法と集団的自衛権の行使容認、安保法制に関連して、日弁連が開いたイベントは昨年8月末現在で46件に上る。

 「戦争法制反対!」「あなたの子や孫を戦争に行かせないために」。そんなテーマで、各地の単位弁護士会が実施した集会や街宣活動などに至っては、実に800件を超えている。

 大阪弁護士会が27年6月に大阪市内で開いた野外集会は、参加者約4千人の多くは左派系団体のメンバーで、一斉に「アカン」と書かれた黄色い紙を掲げるパフォーマンスもあった。

 当時の同会会長は「安保法制に対しては会員の間にもさまざまな意見があるところだが、閣議決定による解釈改憲は立憲主義に反するという一点において弁護士会は一致し、反対する行動に出た」との見解を示した。これに対し、弁護士会の安保法案反対運動について「多様な意見を切り捨てた独善」と批判する同会所属の弁護士が、インターネットのブログで反論した。

 「寝ぼけたことを言うものではありません。少なくとも私はそのような意見には与(くみ)しておらず、(中略)人権侵害というほかありません」

「政治的中立性」めぐる訴訟に発展

 《各政党に共同街宣を呼びかけたところ、民主党、日本共産党、社民党、新社会党の各党の皆様にご参加いただけることになりました》。安保法案が国会審議中だった頃、弁護士の南出喜久治(67)は京都弁護士会から事務所に届いたファクスに嘆息した。この前後、反対署名の要請を含む文書が一方的に送られてきたという。

 中立性などどこ吹く風、日弁連と単位弁護士会は完全に「政治集団」と化していると感じた。脱退の自由がない「強制加入団体」に許されることなのか-。

 実は日弁連が30年前に行った国家秘密法反対決議に対し、一部会員が思想・信条の自由への侵害を理由に無効確認と反対運動の差し止めを求めた訴訟で、「特定意見を会員に強制していることにならない」として日弁連が勝訴した司法判断がある。

 それでも南出は27年7月、日弁連と京都弁護士会を相手取り、政治的中立性を損なうとして、ホームページ上に掲載された意見表明の文書削除などを求めて東京地裁に提訴した。訴訟で日弁連側は「法理論的な見地から安保法制に反対する趣旨の意見を表明した。特定の政治上の主義、主張、目的によるものではない」と強調した。

 同地裁は今年2月27日の判決で、強制加入団体の性格を踏まえ「政治的中立性を損なうような活動をしたりすることがあってはならない」と判示。その上で一連の意見表明が「法理論上の見地」から出たとする日弁連の主張を認め、南出の請求をいずれも退けた。

 「法理論に絡めれば、どんな政治活動も『何でもあり』なのか。非常識すぎる判決だ」。南出は控訴した。(敬称略) =(3)へ続く

 【用語解説】安全保障関連法 安倍政権が平成26年7月に閣議決定した憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認や、他国軍への後方支援拡大などを盛り込んだ法律。27年9月に成立、28年3月に施行された。自衛隊法や国連平和維持活動(PKO)協力法など10の法改正を一括した「平和安全法制整備法」と、他国軍の後方支援目的で自衛隊を海外に随時、派遣可能にする恒久法「国際平和支援法」で構成する。密接な関係にある他国への攻撃で日本の存立が脅かされる「存立危機事態」、日本の平和に重要な影響を与える「重要影響事態」、国際社会が脅威に共同で対処する「国際平和共同対処事態」を新設した。

▼(3)日弁連や単位弁護士会を「少数派の左翼系が仕切っている」