韓国軍、1億3千万円ミサイル2発を「間違って海に落とした」…末期的ミスに国民ため息

軍事ワールド
米国製の対艦ミサイル「ハープーン」(模擬弾)。駆逐艦クラスなら1発で撃沈させるほどの威力を持つ(米ニューヨーク、2005年4月、岡田敏彦撮影)

 韓国海軍の対潜哨戒機「P-3CK」が対艦ミサイル「ハープーン」など計6発の武装を海に落としていたことが明らかになった。総額約4~5億円の武装を落とした理由について、軍は「乗務員の操作ミス」と発表。韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件で政情が不安定化しているが、軍のお粗末なミスで政権への批判は強まるばかり。さらに“悪影響”は日本にも…。(岡田敏彦)

初笑いで済まない

 韓国通信社の聯合ニュース(電子版)などによると、武装を海へ投げ捨てる信じがたい失敗が起こったのは1日午前6時10分ごろ。韓国北東部の江原道沿岸約60キロの海域で、飛行中だったP-3CK対潜哨戒機が搭載していた武装すべてを誤って海に投下した。

 爆弾やミサイルを搭載する軍用機には基本的に緊急投棄スイッチがある。これは敵機の奇襲攻撃を受けた際や、自身の機体のトラブル発生時に、機体を身軽にするために装備されている。特に主脚など降着装置のトラブルで不時着する際などに備えて必須のシステムだ。

 もちろん緊急時以外に誤って操作することのないよう、スイッチにはカバーがかけられるなどの安全装置がついているが、韓国海軍の説明ではなぜか「誤って」操作してしまったという。

 このミスで米国製ハープーンミサイル2発と魚雷2発、対潜爆弾(爆雷)2発の計6発が海底に沈んだ。ハープーンは長さ約4メートル、重さ約600キロで、1発約110万ドル(約1億3千万円)という高額ミサイル。落とした武装の総額は40~50億ウォン(約3億8800万~4億8500万円)。後日海軍はハープーン1発を回収したが、海水に浸かって使用不可能になっていたのはいうまでもない。

 朝鮮日報(電子版)によると、海軍関係者は「元旦から恥さらしな事故がおきて、国民に申し訳なく思う」といったコメントを発表したが、いまさらの話ではある。これまでに韓国軍が落としたモノは、伝説級の連発だった。

韓国軍「落とし物」伝説

 韓国空軍は2011年6月、ハープーン対艦ミサイル同様に物騒な空対地ミサイルAGM-142「ポップアイ」を2発、海に落としている。この時は旧式(米軍の中古)のF-4ファントム戦闘機を使い、同機からポップアイを発射する訓練中だった。3発のうち2発を機体から「発射」したが、この2発は機体から離れたものの、故障で推進部(ロケットモーター)に点火されることなく、海へボチャンと落ちたのだ。

 14年4月にはファントム戦闘機が滑走中に赤外線追尾ミサイル「サイドワインダー」1発が滑走路に落下。韓国空軍は「ミサイルは約2・4キロ転がった」と韓国メディアに発表したが、そうした距離を動力なしで「転がる」のは常識的に不可能で、ロケットモーターが作動していた、つまり発射していた可能性が高い。こうした事故のたび軍は「極めて異例」「事故原因を調査し再発を防止する」などと強調してきたが、そんな異例が止まらない。むしろ人命に関わる重大事故が続発してきたのだ。

 韓国空軍が保有するなかで最強の戦闘機は米マクダネル・ダグラス社(現ボーイング社)のF-15Kスラムイーグル戦闘攻撃機だが、この1機100億円を超える高額機を海に“落とした”こともある。中央日報(電子版)などによると2006年6月9日、訓練中だったF-15Kの5号機が海に墜落。夜間迎撃訓練中の事故で、乗員2人が死亡した。

農家危機一髪

 さらに危険だった事案もある。2006年10月4日には、F-15Kが韓国北部上空で訓練中に、2000ポンド爆弾「GBU-24」の演習弾(模擬爆弾)を誤って京畿道抱川市の畑に落とし、破片が民家の屋根を直撃。周辺のビニールハウスも破損した。聯合ニュースなどによると、落下地点には直径6メートル、深さ1メートルの大穴が開いたという。

 しかもこの事故は、ただの落下事故ではない。落としたGBU-24はただの爆弾ではなく、レーザー誘導爆弾だった。別名「ペイブウェイIII」と呼ばれるもので、母機が目標にレーザーを照射、爆弾はそのレーザーを頼りに小翼を動かして目標に突っ込むというものだ。

 しかし地元のKBSテレビなどによると、この事故では、演習弾は目標から約10キロも離れた場所に落ちたという。米国製の最新鋭戦闘爆撃機、米国製の最新誘導爆弾を使っていても、あさっての方向を爆撃するのでは、地上の国民はたまったものではない。

 さらに危ないのは韓国製ヘリコプターだ。

笑ってはいけない韓国陸軍

 韓国では、1970年代に米国の「500MD」ヘリを大韓航空でライセンス生産し、約260機を生産した。陸軍を中心にミサイルを積むなど軍用に用いられていたが、この韓国製500MDが老朽化で大きな問題となっている。朝鮮日報(電子版)が2011年に報じたデータでは、生産数の約2割にあたる50機以上が、機械の欠陥などが原因で墜落したというのだ。

 2006年秋に行われた陸軍の大規模演習では、多くの外国要人や駐在武官らが見守るなか、500MDの発射した対戦車ミサイル「TOW」のロケットが点火せず、地面にレンガのように落ちるという失態を演じている。

まさかの来日

 演習中の「ミサイルを落としました」なら、税金云々はともかく安全面では失笑で済むかもしれない。だが、冒頭のP-3CKのように実弾を全て落とすなど危険きわまりない。そんな「レベル」の韓国軍P-3CKが、実は日本の空を飛んでいたのだ。

 昨年7月4日午後、韓国海軍の「P-3CK」1機が親善訪問と親善訓練を目的に、海上自衛隊厚木航空基地(神奈川県)に飛来した。海上自衛隊と韓国海軍は2010年から海上哨戒機の作戦部隊間で交流行事を行なっており、2011年には厚木の第3航空隊のP-3Cが韓国を親善訪問したこともあるという。

 こうした交流で韓国軍が危険きわまりない「うっかりミス」を防げるようになる日は来るのだろうか…。