南海電鉄、伝説の観光案内図を廃棄…幻の鉄道路線図も描かれていたのに

 
南海沿線観光案内図は、はがれ落ちた部分があるなど劣化が目立っていた=平成27年11月、大阪市浪速区(奥清博撮影)

 南海電鉄高野線の起点、汐見橋駅(大阪市浪速区)に半世紀以上も掲げられてきた沿線観光案内図が撤去、廃棄されていたことが23日、分かった。かつて淡路島(兵庫県)に存在した鉄道路線なども描かれており、専門家からは「関西私鉄の歴史を示す貴重な資料だったのにもったいない」との声も上がっている。

■開業116年を迎えた駅の名物、貴重な資料なのに…「はがれ見栄えが」と廃棄

 沿線観光案内図は幅3メートルを超える大きなもので、昭和30年代に汐見橋駅の改札の上に掲げられた。和歌山県や徳島県内などの名所、旧跡をイラストで紹介。現在は廃止されて存在しない和歌山市内の路面電車や、深日(ふけ)港(大阪府岬町)と淡路島の洲本を結んでいた汽船の航路、淡路島を走っていた鉄道など当時の路線図もそのまま描かれていた。

 南海によると、案内図の劣化が進行し、はがれ落ちた部分が目立つなど見栄えも悪かったため今月1日に撤去。その後、案内図の修復は困難と判断し、廃棄することにしたという。

 これに対し、鉄道史に詳しい作家の小牟田哲彦氏は「南海が淡路島の鉄道と連絡運輸を行っていた当時の貴重な資料」と指摘。「奇跡的に残っていただけに、何とか修復して保存展示してほしかった。廃棄はもったいない」と惜しんだ。

 汐見橋駅は明治33(1900)年に高野鉄道のターミナル駅、道頓堀駅として開業。後に現在の駅名に改称された。大正14年に高野線が難波駅に乗り入れるようになると、高野線の支線(通称・汐見橋線)の終着駅になった。

 現在は30分間隔で2両編成の電車が発着する大都会のローカル駅として知られ、昭和レトロの雰囲気を残す駅舎とともに、色あせた案内図も鉄道ファンを中心に人気を集めていた。